2002年9月5日
半導体敗退の真相−終らなかった押売り協定
あの史上最悪の経済外交犯罪である半導体押売り不平等協定が、一応「解消」されたことに
なったのが96年ですが、それ以降も、日本の半導体産業は弱体化を続け、ついに99年6月
には半導体メーカーの雄である日立・NECがDRAM事業統合により「エルピーダ」の設立
を決め、単独生き残りを断念するまでに追い詰められます。
不平等協定の圧力が消えたにもかかわらず、何故ここまで・・・と言うと、事業戦略の失敗
だとか産業構造の変化だとか、言われていますが、果たしてそれだけなのか。97年段階では
まだ「微細加工」の技術での優位性が残っており、これをしっかり握って知的財産とし、技術
格差の拡大を図る道はあったにも関わらず、かつての不平等協定・押売り受け入れ指導で行う
ようになった、アメリカ企業との先端微細加工チップ共同開発による技術引渡しという愚を、
97年2月段階に行っている。何故なのか。
その答えは99年6月11日の新聞記事にあります。
「半導体主用生産国地域会合」で、日本市場のみを対象とした「外国製半導体販売促進」・
・・半導体協定の外圧のための対日本企業押売り受け入れ指導のための政策ですよ。ようやく
99年になってその廃止が、外国から認められたというのです。
つまり、96年時点で半導体協定が解消されたというのは、あくまで「形だけ」の事で、日
本企業の犠牲で外国メーカーを儲けさせるための政治的市場介入は続いていた。押売り貿易行
為は地下に潜っただけだったのです。
例えば政府関連機関が企業に指導して、外国製品を買わせるためにユーザー企業の出資と主
催で開くセミナー・・・それは当然「押し売り受け入れ指導」の場にならないはずが無い。
役所の肝入りで「主催者」の看板を押し付けられたユーザー企業の面々にとって、そのイベントの成功=輸入商談の推進が実現しなければ「恥をかいた」事に、そしてそれをやらせた役所の「顔を潰した」事になる。主催者自ら「成功」を演出するために、不利な商談でも応じなければならない・・・というのは、
誰でも解る事です。
また、「政府の介入につながる」日本市場での外国製シェア分析(89年の外圧受け入れ政策の
中で設立された「半導体総合研究所」が行っています)も、まさにこの99年に「外国が廃止
を認める」まで続いていました。
結局、通産省は日本の先端産業に対して「自傷行為」の強制を止めなかった。競争力がさび
え続け、それを挽回する戦略も取れないのは、当然なのです。考えてみれば、あの棚橋祐二だ
って、一時だけ影響力を封じられたものの、すぐに勢いを盛り返して反対勢力を追い出して、
隠然たる黒幕となっているのですから、当然といえば当然ですね。
半導体だけではない。通産省がジェトロを使って、産業全般での押売り貿易受け入れのため
に民間企業を「指導」するために90年頃に始まった「草の根輸入拡大」も、実はまだ続いて
いるのです。
最近になってようやく「併せて輸出支援も復活させた」というニュースがありましたが、輸
入拡大指導は止めていません。「輸入自主拡大」という市場原理を歪めて日本経済をズタズタ
にした官権介入が止まない以上、経済に明るさが見えないのは当然です。
しかも、このような最悪の規制行為をマスコミは今だに「貿易摩擦緩和」に役立ったなどと
ヨイショし続ける始末ですから、どうしようもありません。外国の利益にならない規制は「利
権漁りの官憲犯罪」として規制緩和を要求するくせに、甚だしい矛盾です。
あの輸入拡大指導が日本経済に、いかに巨大な傷を残したか、被害を受けた企業関係者は全
員、事実を闇に葬るべし・・・という合意が出来ているのだそうです。特にメーカーは、使い
慣れない輸入部品の組み込みを強制され、それがしばしば不良品の原因になった。外国部品メ
ーカーが小型のものを作れないが故に、輸入コンプレッサーを組み込んだ冷蔵庫が、接触によ
って過熱し煙を吹くという事件もまた、闇に眠っています。
あの時期以来、多くの企業が不良品事件を起こし、その原因はウヤムヤのままです。その何
割かは、ここに原因がある事は間違い無いでしょう。何より、強制された部品輸入で不良品事
件を起こして、誰が責任を取るでしょうか。それまで「不良品でユーザーに迷惑をかける」こ
とが絶対に許されなかった製造現場のモラルが、これでズタズタになった事は言うまでもあり
ません。雪印のような事件が頻発するのは当然なのです。
また、輸入のためにアジア・中国への技術指導の大サービスが通産省の音頭で官民総がかり
で行われ、今や中国などの製造技術のレベルは、完全に日本に追い付きつつあります。その技
術を使って彼等が何を作っているか・・・、言わずと知れた「模造製品」・・・それが日本企
業に多大な被害を与えています。
虎の子の技術優位を捨てさせられたのはメーカーだけじゃない。低価格の輸入農産物に対抗
すべく必死で品種改良を続け、高級品としての住み分けで生き残ろうとしている農家も、「開
発輸入」と称して種も栽培技術も中国農家に引渡され、「セーフガード」に頼って中国政府の
「対抗措置」に遭ったのはつい最近の事です。これもまたジェトロの指導の賜物である事は言
うまでもありません。「ルールに則っていようが日本が悪い」などと無条件で外国の肩を持つ
マスコミ・知識人は多いですが、本当に悪いのは日本人を裏切り、外国業者を甘やかし続ける
通産官僚でしょう。
間もなく、日本の黒字は完全に消滅するだろうと言われています。血と汗の結晶である製造
技術の優位が終る訳ですから、それで支えられていた日本経済もまた、地に落ちるでしょう。
貿易黒字をあたかも罪悪のように喚いていた対外迎合派マスコミ・知識人は、さぞかし満足で
しょう。彼等は平然と言います。「日本なんかに拘るのは時代遅れだ。英語をマスターして外
国にいけばいい。日本なんか捨ててしまえ」と。しかし、今まで日本の繁栄のために必死で働
き、この平和で豊かな国を築いた「普通の日本人」の立場はどうなるのか。我々の世代は、親
が築いた繁栄を食い潰した愚かな世代として、永遠にその歴史に刻まれる事になるのでしょう
か。そんな事を、あなたは許せますか? 私は許せません!
日本に取って変わる「世界の工場」として、今、中国が巨大な存在になろうとしています。
他国の繁栄が悪いとは言いませんが、中国はその力で、強権的な世界支配者たろうという野望
を隠していません。政府はいまだ共産党一党支配のもとで核ミサイルを含む軍備強化に血道を
上げ、台湾に対しては露骨な侵略姿勢。
そして軍は電脳テロの準備を大々的に行っています。その強力な規制支配の基では、無数の
ハッカーが育成され、「愛国攘夷」と呼ばれる過激な国粋発言で掲示板は埋め尽くされていま
す。「中国は神に選ばれた世界の支配者だ」「日本人男性は皆殺し、女性は全員性奴隷にしろ」
等々、ネット空間はナチスも真っ青の暴言が渦巻く酸鼻の巷です。
こうした対外偏見と軍国的風潮は教育・マスコミで組織的に拡大され、暴走する大中華国粋
世論に支えられたその対外拡張政策は、それを懸念するアメリカとの対立が露わになりつつあ
りますが。しかしこれは、基を糾せばアメリカの責任です。日本に対抗するためにクリントン
が「戦略的提携」と称し、戦後処理蒸し返しや通貨・経済政策などで、対日圧力のための共同
歩調で中国を甘やかした結果の増長なのです。対イランのためにフセインを甘やかし、湾岸戦
争を招いた図式と全く同じです。その中国の対外支配・攻撃欲の最大の標的は、他ならぬこの
日本なのです。
こうした状況を私達は「時代の不運」と嘆き、来るべき不幸な歴史に身を任せるべきなので
しょうか? それでは人間として、あまりに情けないと思います。
今からでも遅くない。外国の身勝手な日本叩きに国を売った通産官僚とその同調者の罪を追
及し、「日本の繁栄」を否定した媚外的弱日本主義思想を徹底的に洗い流すのです。そして失
った繁栄を取り戻すために、再び国民として団結する。90年代のアメリカは、そうやって繁
栄を取り戻したのです。我々が出来ない筈はありません。
[ホーム]