リハビリ効果の森林指定へ [読売新聞社:2004年10月04日 14時36分]  林野庁は、森林浴によって健康増進やリハビリに効果が期待できる山林を 「森林保養地」に指定することを決めた。近く、全国から候補地を募る。  森林浴の効果を医学的に分析したうえで、森林セラピスト(療法士)の資格を設け、 リハビリの指針となる「森林療法メニュー」も作成する。  「この森に行って、毎日このコースを歩いてみてください」――。 森林療法が普及すれば、病院でこんな処方せんを言い渡される時代が来るかもしれない。  ストレス解消や癒やし効果があるとされる森林浴だが、 医学的な根拠は、まだ十分に解明されていない。 そこで、林野庁は今年3月、民間企業や医療関係者らによる「森林セラピー研究会」 を発足させ、産官学で研究を進める体制を整備。 7月と9月に千葉、長野両県で実験を行った。  約20人の大学生が森林と都市部を歩き、その前後の血圧やストレスホルモンの量 などを比較、樹木が発散する芳香性物質のリラックス効果などについて調べた。 結果は分析中だが、森林を歩いた後は、ストレスホルモンの濃度が下がる などの効果がみられたという。  同庁は、こうした実験で森林浴効果の実証を重ねながら、 健康増進やリハビリに適した森林を「森林保養地」に指定し、森林療法の拠点作りを進める。 今月中旬に指定のための要項を発表し、自治体などから候補地を募集。 地方の天然林や都市郊外の里山など、タイプの違う森林を数か所選び、 1年間、実験を行って効果を確認した後、保養地に指定する。  過疎に悩む山村にとっては、地域振興につながることも期待され、 すでに約30の自治体から、同庁に問い合わせがあるという。  効果的な森林浴には、アドバイザーが必要なため、同庁は来春にも、 森林セラピストの資格制度を設け、人材育成を図る。 公益法人や学会などが認定する民間資格にする予定で、看護師など医療関連の国家資格 を持つ人が対象になる見通しだ。  また、症状や年齢に応じて、森林浴の時間やコース、滞在中の過ごし方などを示した 「森林療法メニュー」も作成。 リハビリだけでなく、生活習慣病の予防に効果的な健康増進メニューも検討したいという。  日本では、サラリーマンの約6割がストレスを感じているという調査結果もあるだけに、 同庁研究普及課は「今回の取り組みで森林療法を体系化し、普及させたい。 働き盛りの世代などに需要は多いはず」と、意気込んでいる。  ◆森林浴=森林内を歩くことで、樹木から発散される「フィトンチッド」と呼ばれる       芳香性物質や、小鳥のさえずりなど様々な要素によってリラックスできるとして、       ブームになっている。海外では「森林療法」としての実践例も多い。       特にドイツでは120年の歴史を持ち、約400の森林保養地で       年間約1000万人が療養しているという。