東京優良物件

 

● 2003年4月 二子玉川編
 関西圏の方たちにどの程度まで知られているかは分からないのですが、「二子玉川」といえば、ちょっと今時の高級住宅街、というイメージが東京及び近郊ではあるようです。昔は何も無い河原っぺりの、しけた遊園地と映画館がある程度の場所だったんですが、交通の発達と地価の高騰、そしてバブルによって発展していった宅地開発によって、気が付けばこの場所は渋谷から急行で20分の、デパートも温泉も兼ね備えたお洒落な住宅地となったのでした。今年2003年からは路線も延び、電車にそのまま乗っていれば渋谷から銀座、さらにその先の錦糸町方面など行くことも可能です。
 学生時代は渋谷から20分「も」電車に乗って毎日通学するのが面倒くさく、新興住宅地だけに綺麗だけれど所詮田舎だとか(注:世田谷です。)恐れ多いこと考えていたりとかもしていました。大人になった今、素直に謝ります。こんな立地条件良くて都会なところ、宝くじにでも当たらない限り物件買えません。ごめんなさい。

 まあそんな訳で、今回のご紹介はこの二子玉川の中でも特に和む場所、土手沿いをご案内したいと思います。
  二子玉川の駅は、多摩川を臨むように建てられており、そのため駅を出て少しうろうろとしてみれば、簡単に土手沿いの道へ出ることが出来ます。私が今回写真を撮りに行ったのは春。ちょうど桜が満開の時で、土手沿いには桜並木が咲き誇っておりました。土手っぺりなんで春風がダイレクトに吹いてちょっと肌寒かったりするんですけど、ここの並木の眺めは最高です。とにかくのんびりのんびりと、景色を愛でつつ土手沿いを歩いてみてください。そのまま10分ばかり歩いていると、しばらくしてあることに気が付かされます。

 ・・・ここ、なんかやたらに犬の散歩率が高いんですよ。

 まあ、こういう庭付き一戸建ての多い地域だ、必然的に犬飼っているご家庭が多いのも納得はいくんですが、でも、犬飼い同士、仲良くお話しながら連れ立って歩いているところを見ると、なんとなく、ただの散歩には見えません。そして土手沿いに開けた広場に目を転じてみると、
 
  
  
 なんですか?この犬+飼い主さんの集団は???
 
 実はこれ、特定非営利活動(NPO)をされている、日本同伴犬協会さん主催の犬のしつけ教室だったんです。毎月2回、日曜日の午前中に会員さんを対象にしつけ教室をしているとのことで、この二子玉川と世田谷公園を交互に会場として使っているのだとか。
 今現在犬は飼っておらず、猫飼いな私ではありますが、本来犬も大好きなんですよ。早速このしつけ教室を見学させていただくことになりました。

 今回参加された会員さんは35組ほどだったとの事ですが、これはしつけ教室に参加したのが、という意味。多頭飼いをされている方も結構いるので、
「今日はこいつのしつけの番。お前はここで見学していてね。」
と犬を杭に繋いで置く飼い主さんがちらほらといました。そしてそんな暇そうな犬達をナンパしまくる私。
「あら〜、ご主人様はあっちに行っちゃったの?んじゃ、私と一緒にいようね〜?」
なんて言いつつ、犬の横に座ります。ああ、幸せ・・・。
 
 お留守番犬が見守る中、参加犬も少しずつ集まってゆきます。自分が大型犬好きなため、ついついごっつい系ばかり写真に収めてしまいますが、生後4ヶ月のミニチュア・ダックスなんかも足元をうろついていたりして、犬種は選り取りみどり。
 しつけ教室が実際に始まるまでの時間、犬達は思い思いにくつろいでいます。回を重ねるにつれ、犬同士でも仲の良い犬とかグループができるらしく、お気に入りの子を見つけた途端はしゃいだりとか、そうかと思えば誰彼となく挨拶するのに忙しいのがいたりとか、ここら辺人間と変わりません。実際、飼い主さん同士もご挨拶やらおしゃべりやらで忙しそう。この時間は犬も人も仲間との交流を広げたり深めたりと、有意義に過ぎています。一見、そういう時間って効率悪そうに思えるんですけど、生き物を飼うってその対象物と自分だけの一対一では終わらないと思うんですよ。犬も人も社交性を身につけるという意味において、すでにこの時からしつけ教室は始まっています。
 
 まあ、そんな固いことは後からこうして文章起こしていく中で分かることでして、この犬まみれになっている最中は、ただひたすら犬と戯れるのみ!
 すっかりカメラ小僧と化して写真を撮り捲る私ですが、飼い主さん達はみなさん快く撮影を許可していただきました。感謝です。
 ここ、二子玉川園には観光スポットとして「いぬたま・ねこたま」というテーマパークもあります。そこのいぬたまエリアでは有料の広場があって、お金を払って入場すれば、犬を放して一緒に遊べるというシステムになっています。一方こちらのしつけ教室は、受講料は払うものの、場所は基本的に公共施設の河原。通りすがりの見物客や、散歩途中の見物犬など、見るだけだったら誰でもカモ〜ンな状況。逆にそういう誰でも来られる場所でやるからこそ、参加側は回りに迷惑をかけない、という点を嫌でも意識しなければならなくなるし、通りすがりの見物客は、犬のしつけについて自然に理解できるようになるんではないかな、と思います。

   
 
 さてさて、肝心なしつけ教室の中身ですが、今回私が見学させていただいた内容では、先ず最初に4つのグループに分けられていました。しつけ教室は初めてもしくはまだまだ発展途上、の初心者さんコース。「おすわり」「お手」なんかはしつけてみたけど、その後はどうしたら良いの?な状態の中級者さんコース。しつけ教室は毎回通っているけれど、まだまだ頑張るわよ、な上級者さんコース。で、多分ですが、中級者さん上級者さんコースから希望者を募ってつくられたと思われる、障害競走なんかさせてみたいぞ、の競技コース。計4つです。
 どのコースも、しつけは指導を受けつつ飼い主さん本人がするので、調教師さんが自分ちの犬をしつけるのをぼんやり見ているなんて、消極的なことはありません。
 特に初心者さんコースは、犬のしつけ以前に犬を飼うこと自体が初めてな飼い主さんがほとんどなので、まず犬への接し方を教えてあげたり、どちらかというと飼い主さんのしつけ教室といった感じ。でもこれって重要ですよね。

 初めて参加の場合、教室が始まるまでの時間はただむやみにほえて駆け回っていた犬なんかでも、終わる頃にはすっかり引き綱つけてきちんと飼い主さんの左をキープしつつ歩いているので、その短時間での成長振りは目を見張るほど。ほんのちょっとした飼い主さんの心配りで、犬って本当に変身します。引き綱を持つときの手の位置とか、声を掛けてあげるタイミングとかね。

 春の風に煽られつつ、お留守番ゴールデンレトリーバーの横に体育座りして教室見学しながら、幸せな光景を見ているなぁ、と思っていました。犬はしつけをしなければいけない生き物です。犬の本能と人の生活が違う以上、お互いが上手く共存していくには毎日のしつけが重要で、そしてその重要なしつけをきちんと考えて実行しようと努力している飼い主と犬の姿って、とても幸せな光景だと思うんですよ。
  「しつけ」と聞くとなんだか威圧的で一方的な行為のように誤解される向きも有ると思うのですが、しつけは押し付けに有らず。
 
 なんだかすっかり犬に対しての熱い思いをぶつけてしまいました。「優良物件」なのかと突っ込まれると返答に困ってしまいますが、犬好きからすれば十分に優良ということで、お許しください。(かなりこじつけてます。)
 多摩川の河原での教室は月に一度しかしておりませんが、それ以外の日もここは普通に犬の散歩コースになっています。まあ犬よりも何よりも、河原はぶらぶら散歩にもってこいの場所ですので、二子玉川にいらした際は、ぜひとも訪れてみてください。