東京海外旅行
●北欧編番外〜幻のミードを探せ!(2003年5月)
 
 ことの始まりは、日頃からお世話になっているお友達、大角さんのサイト
「ルーン文字とヴァイキング」内で起こりました。サイトの掲示板を大角さん自らが日記代わりに使っていて、ネタ振りなんかをしているのですが、その中での話の一つにこんなものが。

 或る日、大角さんが新聞を読んでいると、日本でミードが静かなブームになっていると記事があったとのことでした。
 「ミード mead」と聞くと、ふ〜んそんな酒があるんだぁ。で終わってしまうんですが、これが「ミョード mjöd」になると話が変わってきます。

 ミョード。日本語で訳すと蜂蜜酒のことで、北欧神話にも出て来る伝説のお酒です。伝説の蜂蜜酒は、殺害された賢者クヴァシルの血と蜂蜜を混ぜて作られており、それを口にするものは誰でも詩人や学者になれるという代物。その素晴らしさにオーディンは実力行使でクヴァシルの息子、巨人スットゥングからそれを盗み、他の神々や才能のある詩人達に分け与えたという話です。
 さすがに殺害された賢者の血などという物騒なものはそうそう手に入るものではないので、神様ではない人間が実際に作ったのは、蜂蜜を発酵させたどぶろくのようなお酒。北欧世界では、新婚さんはこれを最初の一月間毎晩飲むという風習があり、そこから「蜜月=ハネムーン」という言葉が生まれたという、曰くつきのお酒です。
 
  大角さんが始めてミョードを飲んだのは、スウェーデンはガムラウプサラという場所にあるオーデンスボルグ(オーディンの砦)というレストラン。大角さん曰く「うまいものではありませんが、悠久の歴史に思いを馳せるというようなもので・・・。」とのことで、後にお土産に持って帰った一本を、私もありがたくご相伴いただきました。この写真がその証拠なんですが、ミョードよりもその横のキリンビールの方が目立っているのはご愛嬌。こちらも西暦2000年を記念して、紀元前のエジプトで作られた製法を元に復元したというプレミアムビール。当時、同行していた浮華さん(@呑歴〜酒類の歴史)が執念で応募して手に入った貴重な一本です。

 しかし、、本当にこのミョードならぬミードが、日本で静かなブームなんですの?

 北欧の暴れん坊ヴァイキングを愛し、伝承文学に思いを馳せる大角さんとしては、これはぜひとも調べてみなくては気が済みません。自身の掲示板で情報提供を呼びかけたところ、さすが大角さんのお友達達です。続々と情報が集まる、集まる・・・。

 それによると、北欧産のミョードはどうやら日本には入ってきていないらしく、あるのはカルフォルニア産のミードだったりフランス産のものだったり。しかも小売の需要は無いに等しく、売ってくれても業者と同じダース売りだったり。
 こんな状況で、本当にミードはブームなんでしょうかね?

 実はこの時点では、大角さんの掲示板を眺めつつ、完璧に他人事と思っていた私。確かにあのミョードがブームと聞けば「え?!」と反応はしてしまいますが、かといって自分で調べてみようという発想はこれっぽっちもありませんでした。
 
 が、そんな私にも、その時はやってくる。

「か、東京のかんなさ〜ん。あの連れて行ってもらった、なんとかという外国の商材の多いスーパーとかにないかな・・・(って、振ってどうする)」

 はるか大阪から、私を求める大角さんの角笛が・・・。大角さん及びその友達は関西圏の方がほとんどのため、関東地区で動けるのは私くらい。友から助けを求められたのなら、いつまでも傍観者で居る訳には行きません。大角さんご指定の外国の商材の多いスーパーというと、麻布のナショナルストアの事でしょうか。その周辺は用事があるため、よく訪れる場所です。呼びかけられたその週末にも出かける予定があったので、早速「調べておきますね。」と返事をしました。そして私にはもう一つの考えが。

 私が麻布のナショナルストアへ行くには、地下鉄の大江戸線を利用し、六本木で日比谷線へ乗り換えて広尾で降りるルートになります。
 六本木は、以前ご紹介した北欧の食料品屋さん、スカンジフードの最寄駅。ナショナルストアなんかより、スカンジフードのほうがはるかに置いてある確立が高いんじゃないの?

 すっかりその気になり、もう手に入れような気にまでなって、早速出かけました、六本木。

 
 
 六本木駅の右横、芋洗い坂を降りきると、六本木ヒルズのTV朝日エリアに辿り着きます。この写真の左奥がその昔、スウェーデンセンターのあったところ。もちろん今はヒルズの敷地の一部になっているんですが、スカンジフードだけは独立してお店を構えていたはずなんだけど・・・。と、辺り一帯をうろついてみたのですが、一向に見つかる気配無し。
 ・・・もしかして、無くなっちゃったのか?スカンジフード・・・!

 後日なんですが、諦めきれずにスカンジフードのサイトを検索し、本社へ直接聞いてみたところ、昨年(2002年)の8月にお店を撤退したんだそうです。現在はカタログ通販のみのお取引。でも、ネット通販も企画しているようなので、そうなれば店舗販売の頃よりも利用はしやすくなるのかもしれません。
 せっかく電話もかけたことだしと、試しにカタログ送ってもらったんですが、北欧といえば定番のスモークサーモンの他は、キャビアに甘エビなど、ちょっと高級志向の食材がそれなりのお値段で売られておりました。ああ、私がもっと金持ちだったら、と、ちょっと悲しくなったりして。でも、他にもニシンのワイン漬けや、鯖のスモーク、トナカイのサラミなんかもあったりして、一度は試してみたい食材ばかり。会費集めてホームパーティで試食会やっても良いかもしれません。

 と、ついつい話が食べ物の方にそれてしまいました。肝心のミョードについてなんですが、スカンジフードのカタログによると、取り扱っているのはアクアビットというジャガイモの蒸留酒のみ。蜂蜜酒無くて芋焼酎ってことですね。む〜ん。

 最後の希望を胸に、麻布のナショナルストアへ行ってみる私。
  
 ここは土地柄、大使館や外国企業のお偉いさんの家族が生活しているところでして、そんな場所で外人さん向けの食料及び日用雑貨を取り扱っているのが、このお店。だがしかし、いい加減有るだろうと思っていた予想はあっさり裏切られ、ここでも収穫は無しでした。お酒の基本的なラインナップが、まずワイン。そしてウイスキーやバーボン、ブランデーが少々といった感じで、いかにも浅くて広いんですよ。ビールも取り立てて特徴があるわけでもなく、これでミョードがあったら逆に不思議といった感じでした。
 結局、東京でのミード探しは一本も見つけることが出来ずに惨敗でした。悔しいなぁ。
 しかし、しつこいようですが、本当にこのミョードならぬミードが、日本で静かなブームなんですの?
 
 今回私が探したのが、お手軽に散歩できる範囲の2件ばかりだったので、見つからなくても仕方ないのかな。

 ちなみに今回の主役、大角さんですが、執念で岡山県の養蜂場で販売されている蜂蜜酒を探し当てました。そちらのサイトによれば、なんでもミードは蘭学者・宇田川榕菴(うだがわようあん)の著書にも登場する健康酒なんだそうです。これに対する味の感想や、その他についてはぜひとも大角さんのサイトをご覧下さい。

 そしてこちら、我が「東京散歩」では、東京でミードの買えるお店が発見できたら、早速情報を追加する予定です。ここでだったら手軽に買えるという情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報を下さいませ。よろしくね。