箱モノ・・・出演 カイト
 カイトと出会ったのは、3年前の夏のこと。花屋の前で血だらけのネズミが干からびかけている!と思ったら生後一ヶ月の猫でした。見捨てるわけにも行かずそのままうちの子になったのですが、いつまでも野良気質が抜けないカイちゃんの性格に、多少手こずりました。とにかく警戒心が強いんですよ。カイちゃんの心の中で信用できると思われているのは、うぶみだけ。家主の私も突然背後から物音立てようもんなら、一目散に逃げ出します。自分は決して鳴き声、物音を立てず、気配を消すのが大得意。「何考えているのか、わから〜ん!」と何度私が叫んだことか。そんなカイちゃんですが、さすがに2年半を過ぎた辺りから、私に甘えるということを覚えだしました。

 人の顔をじっと見つめながら、身近な家具の角々にヒゲの根本をこすりつけ、尻尾をぷるぷるとふるわせます。この間、始終無言。時々私の足下まで近寄ると、足を中心にぐるぐると回りだし、去り際に尻尾の先でちょっとだけ私に触れていきます。まるで何かの儀式のよう。これが「甘えているんだよ。」のサインと気付くのにちょっと時間が掛かったのですが、一旦分かればあとは簡単。カイちゃんが甘えたくなったときに散々甘やかし、人に対する必要以上の恐怖心や警戒心を取り除いて、次第に慣らしていきます。猫とか動物って、こういう発展する交流が楽しいんですよね。

 しかし、幾ら慣れたからといって元々の性格が全部変わるというわけではありません。未だに滅多に鳴かないし、一回どこかに行ってしまうと、家の中だというのに見つけるのは至難の業。で、どこに隠れちゃっているかというと、こんな箱の中だったりタンスの中だったりするんですよね。猫は暗くて狭いところが大好き。こうやって何気に置いた箱の中にも入らなくては気が済まない性格とかね、つくづく猫だなぁと思います。

 しかし、生後一ヶ月で拾われたくせに未だに野良気質の抜けない野生児カイちゃんを見ていると、「三つ子の魂百まで」ということわざをいつも思い出してしまいます。