お嬢転落顛末記・・・出演 ひなた
 

 2001年10月29日。ひんと一緒にご飯を食べて帰宅する。玄関を開けるといつものように「飯くれなぁ〜ん!」とお出迎えという名の催促をしに、うぶみさん登場。いつでもマイペースなカイちゃんはめったなことでお出迎えに来てくれないので良いとして、いつもならうぶさんにつられてやってくるひなちゃんの姿が見えない。なんとなく不審に思いつつ、靴を脱いで上がる。台所にてカイト発見。・・・で、ひなたは?すこしずつ不安が増す私とひん。

 ひなたの名を呼びながら、押入や薄暗くて狭そうな、調子の悪いときに猫が逃げ込みそうなところを探し回る。・・・いない。

 我が家はマンションの6階に位置していて、道路に面した部分が風呂場となっている。こんな目立つところをスパイダーマンよろしく這い上ってくる泥棒も居ないので、常時風呂場の窓は換気のため開けているのだが、もしかして、もしかするのか?不安で鼓動が早くなる私。だが、いくら探してもこの狭い家にひなたは存在しない。それならば、考えられるのはただ一つ、窓からの転落のみ。カリカリ(ドライフードの意)の入っている瓶を掴むと、やにわに家を飛び出す。すでに時間は22時をとうに回っていたが、かまわずマンション玄関横の管理人室の窓口を叩く。

「す、すみません!うちの猫が一匹行方不明で、もしかしたら転落したかも知れないんですが、心当たりとかってないでしょうか!?」

 こういうとき、ペット可を条件に入居して本当に良かったと後からしみじみ思うのだが、今の自分にそんな事を考える余裕はない。管理人は同じ猫飼い仲間として心配してくれたが、そのようなケガをした猫の報告は受けていないとのこと。ともかく外に出ると、わざと音を立てながら瓶を振り回し、ひなたの名前を呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ。

「ひなた〜!ひなちゃ〜ん!」「ぅ、ぅにぁ・・・ん。」

 かすかに聞こえるひなたの鳴き声。

「ひなちゃん!」

 1階入居者の庭の茂みでうずくまるひなちゃん発見。転落の際、多少顔を打ったらしく鼻血がこびりついていたものの、その他の外傷は見あたらずひとまずほっとする。しかし本人(猫)はよほどショックだったらしく、腰が抜けた状態で、ひたすら薄暗いところでうずくまるのみ。

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 翌日から始まった動物病院通いで、特に異常が見あたらないとの診断を受けたのは不幸中の幸いでしたが、その後続くひなちゃんの心の傷の癒しは、やはり一月は掛かりました。猫、特に我が家の3匹の猫の中で一番人間への依存心が高く、野性味の少ないお嬢さんはとても繊細で、こんな突然襲いかかってきた自分の出来事に上手く対処できなくて、かなりのショックを受けていたようです。食欲不振に、口数が減って、いつでも隅でうずくまってばかり。ただでさえ鈍くさいひなちゃんがまるで一気に歳取って、おばあちゃんになったかのようでした。

 病院の先生の見立てで、事故後一ヶ月位してから関節炎が出るかもといわれていたのですが、やはりその言葉通り治りかかった動きがまたぎくしゃくして、でもその痛みが去るのと同じ時期にようやく本人の心も復帰してきたようです。相変わらず鈍くさいお嬢さんですが、ひなちゃんの魅力の元の天然ボケと明るさが戻ってきてくれて、本当に良かった。

 今回のひなた転落事故を気に掛けてくれた皆様、ご心配をおかけしました。そして気に掛けていただいて本当に感謝します。ありがとうございました。ひなたはもう大丈夫。元気に毎日を過ごしています。

左手が痛くて地面に着くことが出来ない頃のひなちゃん。
もちろん今は普通に両手着いてます。(^^)