ヴィンテージ・ギターFAQ(よくある質問と回答)

質問
ヴィンテージについて
001.ヴィンテージ・ギターの定義ってなんですか。
002.古いギターはいい音がするのですか。
003.オールド・ギターが高価なのはなぜですか。
004.オールド・ギターの保管法で気を付けることは何ですか。
005.オールド・ギターの賢い買い方ってありますか。
006.リフィニッシュって何ですか。
007.リフレットって何ですか。
008.今持っているギターは20年後にヴィンテージ・ギターになりますか。
009.ヴィンテージ・ギターは投資に向きますか。
フェンダー編
010.ストラトキャスターの人気年代ってありますか。
011.ストラトキャスターの人気色ってありますか。
012.テレキャスター、ストラトキャスター以外のギターは価値がありますか。
ギブソン編
013.レス・ポールって何の名前ですか。色々な形のギターについてますが。
014.TVモデルって何ですか。
015.ES−335とES−330の違いが分かりません。
016.P.A.F.はいい音がするのですか。
017.ネックは1ピースの方がいい音がするのですか。
現状、将来編
018.次に標準になる機種は何ですか。
019.手作りと工場生産、どっちがいいですか。



001.ヴィンテージ・ギターの定義ってなんですか。

それが言われ始めた頃は、1950年代までのギターのことだったようです。次第に1960年代もありになって、1970年代もそう言われることがあるそうです。
大量生産による品質の低下が、古い時代のギターを神格化させたようですが、それが言われ始めた1970年代のギターを最近ではヴィンテージと呼ぶ傾向があることには、僕はしっくりきません。
また古いだけのギターをヴィンテージとは呼ばず、ただの中古品と呼ぶわけですが、ヴィンテージと中古の線引きは、一般的にははっきりしていません。僕がそれを判断するときは、発売時の価格より市場価格が高いものはヴィンテージ、安いものは中古、という基準を用います。
物価の上昇等を考慮すると、自然に古いギターがヴィンテージ化してしまいますが。
一時的なブームによるプレミア価格のものをヴィンテージと呼ばないよう、製造後20年以上は経っているギターをヴィンテージと呼びたいところです。

002.古いギターはいい音がするのですか。

いつまで経ってもいい音にならないギターってのもあります。また新品で店頭にあるときからいい音のギターもあります。
弾き込まれて鳴るようになる、という説がある一方、作りが悪いギターは弾かれていくうちに接着部がはがれたりして悪くなります。
長く弾けるよう最大限に努力して作られたギターは、かなりの確率でいい音になる、と思われます。しかしいい音がしているオールド・ギターが新品の時どんな音だったか、誰にも分かりません。

003.オールド・ギターが高価なのはなぜですか。

経済学的には、それを欲しい人の数と現存するギターの数のバランスで決定されます。ヴィンテージが神格化されると、それを欲しがる人はどんどん増えます。しかし「過去に作られたギター」は増えません。供給量が一定で需要が増える一方なら、価格は上がり続けることになります。
しかし人気に支えられた相場ですから、今後も上がり続けるという保証はありません。ヴィンテージの王様、サンバースト・レス・ポールも、不人気のため1961年に製造打ち切りの目に遭った過去をもっているくらいですから。
また、現在同じ材料と手法で同じ物を作ろうとすると、とんでもない金額になってしまうギターもあります。
象牙、ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)は、ワシントン条約により、新たに制作するものの材料に使うことは難しくなりました。条約発効前に加工されたものである証明が必要で、その数は限られていますので、高騰しています。当然それを使ったヴィンテージ・マーチンを再現するには、相当な金額が必要です。
木材は、いいものの入手が年々難しくなってきています。いい材料を使って作られたものがヴィンテージとしてありがたがられているということです。
とはいえ、ギターミュージックを聴く人がいなくなれば、値段は下がるでしょう。

004.オールド・ギターの保管法で気を付けることは何ですか。

常に湿度計とにらめっこして、乾燥してきたら加湿、湿ってきたら除湿を・・・・している人もいますが、僕は必要ないと思います。
直射日光に当たりっぱなしとか、風呂場並の湿度とか、そういう非常識な場所に置いておくのでないかぎり、普通に置いておくのがいいと思います。
むしろ木材の乾燥不足による狂いが出切ってしまっていて、新品より気を使わないでいいくらいです。
よく弾けば、悪い箇所がすぐ分かりますから、深刻なダメージを受ける前に環境を変えることができます。保管法とは、弾き切れない数のコレクションをコレクションルームに何年も保存している人が気にすればいいことです。

005.オールド・ギターの賢い買い方ってありますか。

目的をはっきりさせ、それに合った店で買うことです。
コンディション最高ランクのものをそれに見合った高値で販売する店と、適当に弾き込まれたものをそれなりの価格で売る店がありますので、自分が欲しいのはどちらかをはっきりさせて買いましょう。
ただ、将来そのギターへの愛が冷めてしまって手放したくなる日のことを考えると、リセールバリューのある「状態のいい高いもの」がいいかも知れません。このあたりはご自分で判断を。
海外の店から直接個人輸入する強兵もいます。国内の店より割安なことが多く、珍しいものも数多くあるのですが、実物を一度も見ずに買うわけですから、コンディションのチェックは充分に行いましょう。向こうが初めから騙すつもりなら論外ですが、そのつもりはなくても、コンディションに対する見解が食い違うことは良くあります。何事も謙譲の美学の日本の感覚で接すると、自己アピールの国アメリカの業者と必ずやトラブルとなるでしょう(笑)。瑕疵があっても「聞かれなかったから答えなかった」と良心の呵責を感じずに言える風土の人、ということを忘れずに。

006.リフィニッシュって何ですか。

雑誌の広告で「リフ」「リフィン」等書かれていますが、これらは 再塗装、つまり塗り直しのことです。オリジナリティが下がるため割安で買えます。しかしカラーバージョンが珍重されるようなストラトキャスターを、珍しい色に塗り替えたからと言って高くはなりませんし、塗り込められた元のボディがフェンダー製かどうか判別しにくくなるので、鑑定眼に自信のある人以外には薦められません。
またオーバースプレーと言って、元の塗装の上から保護のためクリアラッカーを塗装する場合があり、これはオリジナルを確認しやすいのでリフィニッシュほど評価を下げません。

007.リフレットって何ですか。

フレットを打ち直すことです。消耗品なので仕方ありませんが、オリジナルにこだわるならもっと弾かれていないものを探すしかありません。
既に使えないフレットの状態なら、自分の好きなものにリフレットしてもらって安く買うという手もあります。

008.今持っているギターは20年後にヴィンテージ・ギターになりますか。

分かりません。70年代のラージヘッド・ストラトが値上がりするなんて考えられませんでしたよ、当時。

009.ヴィンテージ・ギターは投資に向きますか。

分かりません。
既に評価の確立した「サンバースト・レス・ポール」「ブロンド・テレキャスター」「メイプルネック・ストラトキャスター」「プリ・ウォー・マーチン」は今後もゆっくり上昇するんじゃないでしょうか。しかし他の資産運用法と比べておいしいかどうかは分かりません。
今は注目されていないオールドを買い集めて高騰したら売る、というリスキーな方法がお好みなら、どうぞ始める前に僕にどの機種でやるか教えてください。でも恐くて僕には乗れないでしょう(笑)。

010.ストラトキャスターの人気年代ってありますか。

発売時から既に完成されていたストラトキャスターですので、まずファーストイヤーの1954年製が一番人気です。ここから1960年まではメイプル・ワンピース・ネックでどれも人気があります。
1960年から1962年までの「スラブボード」がそれに続きます。以降の「ラウンド・ボード」も、1965年までのスモール・ヘッドは人気があります。
こうしてみると、ストラトの場合は、古いほど人気があるようです。

011.ストラトキャスターの人気色ってありますか。

同年制作の同コンディションのものなら、サンバーストよりカスタムカラーの方が人気があります。
何色が特に高いという訳ではありませんが、ブロンド系はジミ・ヘンドリックス、リッチー・ブラックモア、イングヴェイ・マルムスティーンといったストラト主義者が愛用しているので、一番人気です。ただカスタムカラーの中では多く作られた色なので、際立って高いという訳でもありません。

012.テレキャスター、ストラトキャスター以外のギターは価値がありますか。

発売当時はストラトキャスターより上位モデルだったジャズマスター、ジャガーですが、音楽シーンの変化から不人気となっていました。
しかし1990年前後、ストラトに手が届かないけどオールドを使いたいグランジ系ミュージシャンがこぞってこれらを使い始めたため値上がりました。しかしまだストラトキャスターの位置にまでは上っておりません。
竹中尚人(チャー)氏の使用により、マスタングは日本でのみ人気があります。

013.レス・ポールって何の名前ですか。色々な形のギターについてますが。

人名です。レス・ポール氏がギブソンと契約してレス・ポールの名を使用することを承認しているギターにレス・ポールの名前がついているので、ソリッドボディのシングルカッタウェイのあの形のギターだけをレス・ポールと呼ぶわけではありません。
今で言うSGにもレス・ポールの名前がついていたことがありますし、セミアコースティック、アコースティックもあります。
しかし一般にレス・ポールと言えばレス・ポール・スタンダードを指し、それ以外の場合はわざわざカスタムとかジュニアとかの機種名を明記します。
名前の使用権はギブソン、オービル、エピフォンしか持っておりませんので、レス・ポールの形をした他社のギターはレス・ポール・タイプと呼ばれます。

014.TVモデルって何ですか。

マホガニーを生地着色でライムドイエローにしたカラーをTVフィニッシュと呼びます。マホガニーボディのジュニア、スペシャルにこの色が見られますが、ジュニアにこの処理をしたものをギブソンでは特にTVモデルと呼んでいます。
レス・ポールだけでなくSGにも存在します。
TVの名前の由来はテレビ映えする色だからという説と、当時のテレビのキャビネットの色から来たという2説があります。

015.ES−335とES−330の違いが分かりません。

良く似たミッキーマウスの頭のようなルックスを持つ2モデルですが、最大の違いはセンターブロックの有無です。335はセンターブロックを持つセミアコースティック構造であるのに対し、330はボディ内部が空洞なシンライン構造である、ということです。

016.P.A.F.はいい音がするのですか。

セス・ラバーが開発しギブソンが特許を取得したハムバッキング・ピックアップですが、その特許が認められるまでは、ピックアップ裏に特許出願中シールを貼ってありました。これは英語ではPatent Applied Forと書かれていて、単語の頭文字を取ってP.A.F.と呼ばれています。この時期が1958年から1962年頃までで、その時期のギターを理想と考える人の間から、P.A.F.信仰が生まれたようです。
たしかにこの時期のレス・ポールや335はいい音がしますが、それは楽器全体の評価であって、ピックアップだけが優れているわけではありません。
また特許が下りてすぐのピックアップはP.A.F.と同じ材質、同じ構造ですので、音は変わりません。これをコレクターは「ナンバード」と呼び、P.A.F.に準じる扱いをされています。
次第に材質や工程が変化していき、音が変わってきましたが、その出現時であるP.A.F.に合わせて作られたアンプはP.A.F.搭載のギターが一番いい音になるように設計されていますので、P.A.F.信仰にも一理あるわけです。
つまり業界標準がP.A.F.である以上、これに近いピックアップは良い音のピックアップで、これから遠いピックアップは個性的なピックアップとなってしまいました。

017.ネックは1ピースの方がいい音がするのですか。

ギブソンでは高級品の方がメイプルの張り合わせネックを採用しています。
普及品のマホガニーにしても、音響特性としてはピース数はあまり関係ないと思いますし、レス・ポール氏もインタビューでそう答えています。
これはむしろ工場の材料管理の問題で、素材の品質が一定していなければ、3ピースを張り合わせた方が狂いが生じにくいでしょう。
他が全く同一で、ネックだけが1ピースと3ピースの2本のギターを弾き比べられるならはっきりしますが、一本ずつ違うギターであるため不可能です。
ただネックを作るのに、張り合わせないと使い物にならないマホガニーしか入手できなかった時期のギターは、全体もそういう素材で作られていて、いい音がしないと考えられます。

018.次に標準になる機種は何ですか。

ストラトキャスター、レス・ポールの次に標準器になるギターは何かを巡って各メーカーが日夜鎬を削っていると言うのに、素人の僕が何か予言できるとも思えませんが、スタインバーガーの出現は衝撃でした。
グラスファイバー系の素材でいくつでも同じ品質のボディができることと、ヘッドを廃した斬新なデザインが新鮮でした。
しかしストラトやレス・ポールを押し退け主流になったことは一度もありません。
レス・ポールやストラトを標準に設計されている周辺機器を使うため、それ以外は「個性的な音」にしかならないためです。
ピエゾ・ピックアップも充分個性的ですが、これはアコースティックの代用的に使用されることが多く、主流になっていませんが、ポジションは獲得しています。
もし次の標準器が出現するとしたら、現状のアンプやエフェクターを使わない、ギターからアンプまでトータルで音作りを考えた新機種になるのではないでしょうか。例えば拾った振動をデジタル処理して、デジタルのままアンプから出せれば、信号ロスも減るし、音色の加工もしやすいでしょう。
しかし拾う前段階であるボディ、ネックに関しては、標準を外すことはできないと思います。答えになっていなくてすいません。

019.手作りと工場生産、どっちがいいですか。

現在は手作りを誉めるのが一般的ですが、例えば木材の調達一つとっても、大量に購入する大口の工場に優先的に安くていい材が供給されますし、その後の含水量管理も工場の方が徹底しています。
アウトラインを正確に切り出すことにしても、それを人間がやる必要がある部分は材の選別程度で、機械がやるのが正解です。
量産のために省かれている工程としては、塗装工程や仕上げが挙げられます。こちらは手作りならいくらでも凝れて、しかも目に付きます。
大メーカーには大抵特別注文を受け付ける部門があり、カスタムショップと言うような名前が付いています。工場の設備を使い、入荷した中から良い材を選べて、仕上げやパーツを指定できるという点で、カスタムショップ製が価格的にバランスが取れているんではないでしょうか。
いわゆる工房系のギターの値段は、殆どが人件費でしょう。納得できる人はそこで買えばいいし、僕には払えない、というだけのことですね。


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