Les Paul 59 vintage

ギブソンによる自社製品のコピー、レス・ポール59ヴィンテージ(1983)


「レス・ポール59ヴィンテージ」という名前の製品


1968年の再発売以降、レス・ポール・モデルはギブソン社の考える数々の「改良」によって、どんどんオリジナルから離れて行き、それにつれてユーザーの支持を失っていきました。他のモデルでも苦戦しているギブソンは、レス・ポールのオリジナル回帰を目指す事にしました。その最初のモデルがレス・ポール80で1980年から数年売られていました。再現モデルを1959年型に定めたそれは、完璧なコピーとは言い難く、それなりに良い製品であるにも関わらず人気があまりないようです。

GEDOさんとおっしゃる方より「オリジナル回帰の最初のモデルは’79カラマズーではないか」とのご指摘を受けました。カラマズーはメイプルネックなので気付きませんでしたが、そう言えばセンター合わせ2ピーストップです。今まで僕はカラマズーを突然変異位にしか考えておりませんでしたが、80へと続く回帰路線のスタートと位置付ければすっきりします。ありがとうございました。

レス・ポール80に失望したためか、その後大手ショップや代理店がそれぞれの思う「オリジナル」仕様のレス・ポールをギブソン社に発注し始めました。その頃ギブソンが作ったレス・ポールの種類は大変多く、ギブソン社自身にも完全な記録が残っていないようです。

そんな時期に、日本ギブソンが発注した一本がこのレス・ポール59ヴィンテージです。


仕様

・トップはアーチをつけたメイプル(カエデの一種)、バックはマホガニーというハイブリッド・ボディ。

トップのメイプルは虎目が鮮やかなものが選ばれた。木目のゴージャスさと音質の間には何の関係もない。

・ネックはマホガニー1ピース

つまり1本の木から削り出されていて、張り合わされていない。ギブソンは1969年頃からレギュラーモデルのネックを1ピースから3ピース張り合わせに切り替えていたが、オリジナル復刻の要望はここにも生かされている。1ピースを3ピースに切り替えた理由は、強度の向上が目的であり、木を無駄無く使うための経済的動機も大きい。音質的に劣るかどうかは諸説あって分からないが、オリジナルの開発者であるレス・ポール氏は無関係だと語っている。

・ピックアップはニューPAFを2個

PAFとは1957年からギブソンのエレクトリックに装着され始めたハムバッキング・ピックアップのうち、最初の3年辺りに貼られている「特許出願中(Patent Applied For)」シールが貼られたピックアップのことで、その後のものより音が良いとされている(単に希少性の問題とも思えるが)。
ニューPAFはオリジナルPAFをシールだけでなく素材や製法まで似せたピックアップで、高級モデルに使用された。

(no picture)

・ブリッジはチューン・オー・マティックの細いタイプ。テールピースとのコンビネーション。

3弦からラウンド弦(巻弦)だったころはこの細いタイプでオクターブピッチは合わせられたが、音楽の変化に合わせて、3弦がプレーン弦(単線弦)になると、もっと幅広なブリッジでなければ対応できなくなった。ギブソンはナッシュビル・チューン・オー・マティックという幅広ブリッジに変更していたが、復刻を望む声はルックスを重視し、音楽的な正確さは犠牲にした。もっともプロミュージシャンならブリッジを交換するだけのことである。

・トップを鮮やかなチェリーサンバースト塗装する。

(ピックガードを外しただけで、同じギターです)


その後ギブソンが正規の製品としてレス・ポール・リイシューを発表し、ヴィンテージスタイルのレス・ポールはどこでも入手可能になりました。年々改良が加えられ、再現度が向上しています。しかし完璧復刻を望むユーザーからの発注により、ヒストリック・コレクション・シリーズがスタートし、ほとんどのユーザーの希望はかなったようです。

ヒストリック・コレクションと59ヴィンテージの大きな違いは、59ヴィンテージの方がネックとボディの接合が浅いことと、ピックアップ配線用の穴が大きすぎる点。

そんな現在、59ヴィンテージは完全復刻への道の途中のモデルとして、評価が宙ぶらりんなのです(笑)。結局トップの木目が良いものが評価が高い。繰り返しますが、木目と音質の間に相関関係はありません。

当時の価格はこちら



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