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手造り陶芸:穴窯の焼成条件


更新日:平成12年5月7日


穴窯内部の温度分布と還元雰囲気について
1.熱電対の指示温度が、1250度Cのとき、   置き火上部表面付近、1340度C   煙突の出口付近の炎  780度C(還元焼成) でした。   温度勾配から考えて焼成効率は最高に近い状態でした。 2.1250度C以上の攻め焼成工程においては 常に還元雰囲気に   保持するのが、自然釉焼締の作品に好ましいが、それには   松割木投入口の孔面積を出来るだけ小さくするか、鉄板等で余分な   空気の流入を防ぐことがのぞましい。 3.すなわち、小さな投入口から出来るだけ沢山の松割木を投入して   還元雰囲気とするのが望ましい。 4.松割木は松脂が多くて燃焼が速い。雑木は硬くて密度が高いので   燃焼速度は遅いが、置き火の持ちがよい(置き火がたまり易い)
穴窯:松割木の効率的な燃焼法について


1.松割木を挿入した時点では窯内温度は一時的に低下しますが

  その反作用としてその後に温度上昇をもたらします。

   松割木の燃焼カロリーは一定と考えられます。

   温度記録紙のデーターを見ますと温度低下と上昇が常にペヤー

   となっていることに気が付きます。



 2.松割木を挿入した瞬間では、還元焼成状態となります。

   しばらくすると酸化焼成状態に移行してきます。

     還元では温度上昇を抑制し、黒煙が出て炎は左右上下に揺れます。

     酸化では温度上昇が容易となり、炎はガスのように安定します。

     デジタル温度計よりもエントツの煙をみて松割木の挿入タイミング

     を判定します。酸化状態の炎が引き込んだときがタイミングです。



 3.温度上昇が欲しいときには酸化焼成状態を出来るだけ長く[我慢]します。

     その場合、デジタル温度計は一時低下しますが[無視]します。



 4.空気穴を広げすぎると温度低下を招きます。

    温度上昇の初期には出来るだけ空気穴は小さく、次第に大きくします。

    流入空気量を抑えて流入速度を高めるのです。カルノー定理参照:



 5.この穴窯ではロストルが無い構造なので、おきを作らないようにします。

    窯内では「おき」の温度が最高で、エントツの温度が最低です。

    穴窯では温度差(空気の引き)を最大にしてやれば最大燃焼効率が得ら

    れます。

       (カルノーの熱力学の定理)

    燃焼効率=(窯内最高温度ー最低温度)/最高温度。



     薄くて白く輝く[おき]が窯内熱源と考えましょう。黒赤色では熱効

    率はダメ。     

    松割木はそのカロリー供給源で、熱(温度)源ではありません。



 6.理想的温度上昇カーヴを提案します。

    100度Cまでは、薪が外部にありますのでカーヴには乗りません。

    100度Cになってから100時間目で打ち切る。たとえ松割木が

     残っても。



 7.松割木

    温度が低い時には、完全乾燥のできるだけ細い薪をつかいます。

    温度が最高時には、多少の水分も関係なく太めの薪を使います。

    挿入穴に一度に全部挿入するよりも左右を分割して挿入するのが

    酸化燃焼状態を一定に保ち、温度の上下変動を抑えます。



 8.その他

          粘土素材と松灰との相互作用について。  発色とビードロの関係。



穴窯の焼成条件の解析
                

攻め焼成工程 (平成11年10月2日〜3日) 

ねらし焼成工程(平成11年4月28日)        



穴窯の焼成行程でともに最も重要の両工程を担当させていただきまして

よい経験を積むことができました。そしてこのKH(ノーハウ)をフレッシュ

な内に記録簿を作成いたしました。

なお、これはあくまでも自分のための技術KHであって、決して専門家や

経験のある方々に読んでもらうためのものではありませんが、忌憚のない反論

やご批判ご指摘をもしいただけるなれば幸せです。



1.温度はどのようにして上昇するか?

  窯内温度が上昇または保持される要素には、松割薪の燃焼、置き火の火力、

  吸気の流れ、などの諸要素が絡みあって達成されますが、その最も中心的

  作用は、なんといっても[置き火]すなわち窯の底にたまっている火種です。



  それは松割薪の燃焼する温度と燃焼色とを比較して、圧倒的に置きの火力が

  高い温度を示していることから明らかです。ですから、松割薪の挿入作業には

  常に窯内温度を高める要素と低める要素が共存していることに気が付きます。



  同じように、松割薪の燃焼温度よりは高いが置き火温度よりも低めの窯内吸気

  の流れにも同様のことがいえます。窯壁を構成している耐火レンガ(SK32)

  にも同様のことがいえます。



  窯内温度を上昇させるには、置き火そのものの温度を高めてやり、その結果

  として、窯内の全ての物体の温度をリードさせるのがこつのようであります。



2.松割薪の燃焼度合いは?

  松割薪の水分含有量、体積/表面積比、松脂含有無、そして挿入ステップの

  全てが関係します。

  窯内温度が比較的低い段階では、よく乾燥した小型の松割薪が適していますが、

  だいた1100度を越えるころからは、太くて節のあるものが火持ちがして

  焼成温度の乱高下を抑える効果があります。



 3.吸気の流れは?

  温度が低い段階では、空気の流速度/総流量比を高めることがより燃焼効果を

  高めることができます。吸入口を狭めてエントツの流速を高めてやります。

  酸化雰囲気を保持する方が当然ながら還元雰囲気よりも温度上昇は速くなる。

  酸化/還元雰囲気はエントツの発煙状態で容易に判定できます。



4.松割薪の挿入ステップと温度上昇の関係は?

  松割薪の挿入は長期期間では温度上昇の目的ではありますが、挿入直後のごく

  短期間では温度を低下させます。 それは上記の松割薪が持っている燃焼条件

  に大きく関係があります。

  挿入された松割薪の、1.乾燥 2.表面炭化 3.置き火で完全燃焼

  の大きく分けて3工程に分けて考えられます。もちろん窯内温度が比較的

  低い状態では4−5工程に分割するほうがより効果的です。

  だいたい1100度以下では松割薪の有機物が炭化するまでの工程を上記に

  追加して考えなければなりません。







 5.松割薪の置き火での着火状態の判定は?

  この際、温度計を判定基礎に置いてはいけません。温度計はあくまでも上記の

  総合的結果を示しているのであって、燃焼の状態を示してはいません。また

  温度計の上下変動は、常に遅れて表示されることに気がつきます。

  すなわち、松割薪の燃焼状態は あくまでもエントツの[燃焼発煙]で判定します。

  温度計は、結果の確認計でありますので、あまり凝視しないことです。

 

 6.松割薪の燃焼状態のステップの推移は?

  1.松割薪の先頭を約1/3程度(目安)挿入しますと、温度の低い状態では

    メラメラと燃焼を開始しますが1200度近辺からはほぼ瞬間発火をします。

    そしてほぼ中間位置からも燃焼を開始し、その炎火は窯内に向かいます。

    炎が上方向に残っていてはいけません。

  2.もう一段、松割薪を押し込んでやります。表面の炭化が相当に進んでいます。

  3.置き火に松割薪を落とす瞬間の判定が最も重要で、緊張する一瞬です。

    その落とした瞬間のエントツからの燃焼発煙の形状によって、早すぎたか

    遅すぎたかがを判定するのです。

    この判定が窯内温度を安定に一直線に上昇できるか不安定で不規則になるか

    が決定されます。事実、1150度から1255度付近までほぼ一直線上に

    温度上昇させるこつを体得できました。そして全行程を約1日間の短縮につな

    げられました。

  

 7.エントツの燃焼発煙状態の判定は?

    エントツから黒い煙が出たり、炎が乱れたり、長くなったり短くなったりす

    るのは、燃焼が不安定で従って大概の場合は窯内温度の急激な低下を招いて

    います。

    きれいな炎がちょうどガスコンロの炎のように安定しており、できるだけ窯口

    付近の炎色に近くなるように努力します。

    松割薪を落下させた時は長い炎足で、しだいに短い炎足になります。そして

    エントツから炎足が引っ込む状態の時が最も窯内温度の上昇があります。

    しかしそのままでは、まもなく温度上昇が止まりやがて低下に向かいます。

    すなわちその前には次のステップの行動を開始しなければならないサインです。



 8.温度計の見方は?

   温度計の1度の変化は、もうすぐ5−7度またはそれ以上の変化の予兆として

   みなければなりません。しかしあまりあわてて次の作業工程をすると、場合に

   よっては、ますますその変化を大きくしてしまいがちです。どちらかと言うと

   ユッタリと構えて、2−3度の変化まで見据えてから間髪を入れずに次の工程

   に移った方が、結果的には全体の温度変化を小さくできる経験則があります。



 9.置き火によるコントロールは?

   置き火は原則的にはあまりいじらない方が安定です。どうしても置き火が

   多くなって空気穴をあけなければならないことがありますが、むしろ置き火

   の量をあまり増やさないことが安定な温度管理ができていることの証明である

   と考えるのがいいようです。 逆に、急速に窯内温度を低下させたいとき 

   には、この置き火をかき回すのが最も効果的です。 しかしできるだけいじ

   らないのが原則です。



10.直線的で急激な温度上昇がほしいときは?

   炊き口に挿入する松割薪を一度に押し込むよりも左右(上下ではない)を半分毎に

   分けて落とし込む方法が温度の安定上昇に最も効果的なことがわかりました。

   この方法によると5度以上の温度バラツキなしに直線的な急速温度上昇が望め

   ます。このとき、上下に2分割挿入しては効果はありません。むしろ松割薪の

   上下の燃焼差を抑えることの方がより重要です。



                               安藤倬二

              tomando@mb.infoweb.ne.jp