さて、これまでテーマ選びや形式について述べてきました。次は、「研究とは何か」という、最も本質的な問題について考えていきましょう。
卒業論文は研究の成果を述べるものです。皆さんは、これまで(高校生まで)与えられた課題を、「まとめる」「暗記する」「応用する」といった学習をおこなってきたと思います。しかし、大学で行う研究とは、そのようなものではありません。
ときどき学生さんの中には、いろいろ辞書や論文に記載されていること(内容)をまとめたもの、または論文に書かれていることに対して、自ら調査したデータによる分析なしに、意見(感想)を述べただけのものを提出する人がいます。もちろん、その行為自体は悪いことではありません。
でも、それだけでは研究にはなりません。研究とは、自らのテーマ(研究対象となる語)について、調査し(用例を集める等)そして分析を行うことによって、その語にどのような意味・用法があるのか、またどのように変化しているのかを明らかにするものです。
さて、調査と分析とはどのようなものでしょうか。
@古典作品や小説、実際の談話、メディア(マンガやアニメ、映画、テレビ番組)等から、自らがテーマとする語(句)を採取する。(→以下の電子データを利用する手もあります)
マンガ → 各登場人物の台詞を、入力していく。(もしくは、主人公・お嬢さま等、必要な人物の台詞を入力)
ドラマ → 全話できれば良いが、(例えば15話)入力するのは大変な場合、しぼって入力する(例えば、1と8と15話のみ)。ビデオ等に録画して、文字興し。
映画 → 同じく全部文字興しするのが好ましいが、大変な場合、場面を区切って入力していく。
Aそれらの語を、意味・用法など、自分の研究の目的により分類する。(また、同時代の他の語と意味・用法、または他の使用層の語と比較する。他の時代の意味・用法と比べるなどおこないます)
例:おぼっちゃま・お嬢さま → 代名詞・疑問形・命令形などにしぼって分析する。 → 表をつくって整理する
B(現代語であれば)作例による内省により、その語の用法を考える。
実際、慣れないとなかなか難しいものだと思いますが、常に上記のことを意識しながら、研究をおこなってください。
【おまけ】
資料に関しては電子データ等も利用してみましょう。
古典に関しては、
国文学研究資料館…電子資料館 http://www.nijl.ac.jp/contents/d_library/index.html
(岩波古典文学大系のすべてのテキストが入手できます。但し、登録が必要)
近代〜現代文学等に関しては、青空文庫もお手軽です。http://www.aozora.gr.jp/
(けど、そのまま論文に使うのはやめてくださいね)
個人のHP
○大阪大学・岡島昭浩氏 http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/index0.html
(日本文学等のテキストデータが入手できます。古典・近代文学等)
○東北大学・後藤斉氏 http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/kanren.html
(様々な言語研究に関する情報が入手できます)
また、図書館にはCD−ROMがあります。新潮文庫の100冊,角川古典大観源氏物語 等
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