Tompeiが学生の頃より考案していた2群3脚式6脚歩行ロボット。2つのアルミハニカムフレームに直角に取り付けられた3脚を交互に接地(自重支持)・引き上げ(遊脚)する間にフレーム間をスライド・旋回することで移動する(構造下掲図参照)。構造が簡単で、わずか8自由度で急傾斜斜面や階段を移動できる。35度の階段や土斜面を自動で登降坂できる。重力方向の自重支持動作と水平移動動作が直交に分離・独立されている上、脚の自重支持時は負作動型電磁ブレーキでロックしていて自重支持エネルギは殆ど無い。水平移動エネルギも加減速ロスのみであり、水平移動エネルギ効率が非常に高い。脚先にスライド式接地検知機構(特許)を備え、脚接地を高速かつ軟着地でき、歩容制御は自動であり、オペレータは移動方向と登り降りのみを操作するだけでよい。本ロボットの特徴が評価され、 全重4t の急傾斜育林ロボットが開発試作された。尚、このロボットは社内コンテストで初代機が具現化され、その改良型であるが、全ての機械設計およびパワー系含む制御系電子回路、そして制御ソフトウェアの殆どをTompei自らが設計した愛機である。職務時間外に有志と作ったアングラ研究開発ロボット。2003年9月の日本ロボット学会デモにも参加し、現在尚稼動する高信頼機である。
高さ約3mの丘を降坂するLAND MASTER-3。人工構造物よりもこのような屋外の土の自然地形を歩行するほうが安定している。色々な歩行ロボットが発表されているが、この程度の屋外歩行を実証している事例は案外少ない。
| 竣工年月 |
1990 / 9 |
| 総重量(*1 |
82kg |
| 全長 |
1403±310mm |
| 全幅 |
1260mm |
| 全高 |
958〜1918mm |
| 最大歩幅 |
620mm |
| 最大登坂角(*2 |
最大歩幅時 |
30° |
| 歩幅半分時 |
36° |
| 最大歩行可能横傾斜 |
40° |
| 最大歩行速度 |
平坦床上(*3 |
6.2m/min |
| 30°登坂時 |
3.2m/min |
| 最大超堤高 |
910mm |
| ペイロード |
約30kg |
駆
動
機
構 |
脚伸縮 |
最大発生力 |
440N |
| 最大伸縮速度 |
450mm/s |
| モータ |
110W/24V |
| フレーム間スライド |
ストローク |
±310mm |
| モータ |
40W/24V |
| フレーム間旋回 |
ストローク |
±48° |
| モータ |
40W/24V |
| 電源 |
シールド鉛 |
24V/12Ah |
| 制御装置 |
PC9801改造 |
i 80386相当 |
| 操縦 |
無線ジョイスティック操作 |
階段(1段蹴上がり18cm、角度約30°)を登坂するLAND MASTER-3。操縦は無線操縦で行う。2本のジョイスティックのみで簡単に行える。脚は3段伸縮式でストロークは約1m。最低姿勢約1mのロボットが自分とほぼ同じ高さを乗り越えられるという事例もあまりないであろう。
*1:制御装置、電源など全て含む
*2:歩幅によって異なる。仮に歩幅0であれば43°登ることができる。
*3:10cm以下の起伏はあっても同じ
人工芝が張られた30度の坂を降りるLAND MASTER-3。設計上36°まで登降坂できる。3脚づつの交互の接地歩容は全て自動化されており、進行方向ジョイスティックを操作しながら踏み変えボタンを押すだけで簡易に操作している。傾斜センサを搭載しており、常に水平が保たれる。このような登坂・降坂を10回程度含め、連続20分歩行できるバッテリ容量である。そのための高効率FETサーボドライバはTompeiが設計し、後に改良型が「Titech
Driver-1」として製品販売化された。
プロモーションイラスト。上の大型作業ロボット様のものは実際に急傾斜育林ロボットで実現した(Tompei画)
急傾斜や階段を自在に移動できるのに6脚伸縮と移動方向を決めるsliderとrotatorの計8軸のみというのがTompeiの設計信条:「Simple
is Best」に合致していて嬉しい。
80cmの台を乗り越えるところ。最高乗り越え高さは90cmであり、その時最大高は190cmに達する。立って自重を支えている3つの脚は負作動電磁ブレーキ(電源OFFでロックする)で立っているのでエネルギ消費は非常に少ない。勿論その間に地面や台が陥没したりして傾くと、即座にブレーキを解除しサーボモータが駆動され転倒を防ぐ。
製作中の状況。脚が付いていない下のフレームと上の四角いフレーム間が旋回し、四角いフレームと脚の付いている上のフレーム間が直進スライドする。3枚のフレームはそれぞれ厚さ40mmのアルミハニカム板。
最低高姿勢状態。上掲の図面の高さ958mmの状態。アンテナの基部周辺の機器がメインコンピュータ、電源分配盤など。最頂部の黄色のパトライトを載せた箱は入出力インタフェースボードの入ったバスラック。また下段のフレーム下に吊り下げている黒っぽい箱状のものは着脱式バッテリ。
無線遠隔操縦で小山を登降坂するLAND MASTER-3。移動方向は指示するが、歩容制御、各脚の接地確認等は全て自動化されている。この試験では、25〜40度の斜面を有する土山で昇降や等高線方向移動等を行い、写真の山頂付近で方向転換などして、不整地における自在な移動能力を実証した。
トラックの荷台に乗り上がるLAND MASTER-3。荷台の高さは約70cmで、LAND MASTER-3は自重で重量で荷台が傾くと自動で傾斜補正を行い水平を保った。このように自分で乗り降りできるロボットであると段取りが随分と楽である。
LAND MASTER-3の優れた特長である脚着地時2段減速機構。脚先接地部が脚先端部に対しスライド式になっていて、脚が完全に浮上している際(@)は脚は高速で下降する。やがて脚先接地部が接地(着地)し、脚先接地部が脚先端部に対してスリップする状態になると(A)、脚伸長を減速する。やがてスリップ端に達し、脚がロボット自重を支えるに十分な荷重を受けると(B)、脚伸長を停止して脚伸縮ををロックしシーケンスが完了する。この方式により、脚を高速で下ろしても最終的には脚は軟着地でき、かつ接地脚へ自重支持荷重が移る際の脚の地面等の不要な込みを抑えている。
LAND MASTER-3の図面。最大伸長状態を描いており、全高は1918mmとなっており、最低時は958mm。その差の960mmが脚ストロークである。メカストロークは1000mmであるが、両端部ストロークリミットに約各20mmを取っている。上面図にあるsliding
stroke 620mmが直進時の歩幅、rotational stroke 96°が歩幅中心時の旋回ストローク角度となる。