太陰暦(たいいん れき)
紀元

太陰暦
太陰月(たいいん げつ)を基準にして作った暦のことをいう。
太陰月は朔望月(さくぼう げつ)とも言い、朔(さく)は朔月(さくげつ)つまり新月で、望(ぼう)は望月(ぼうげつ、もちづき)つまり満月のことで、結局朔望月とは月が満ち欠けする周期のこと。平均29日12時間44分2秒8(29.5305788日か)だそうである。
で、太陰暦は、この太陰月を29.5日として、一月を29日か30日、一年を12ヶ月とするものである。
今日でもイスラム暦(ヒジュラ暦という)で使われている。また、広義には太陰太陽暦を含めていうこともある。

さて、この太陰暦、一年は354日((29+30)×6=354)である。しかし太陽はだいたい365日かけて同じ位置に戻る。これを一回帰年といい、365日5時間48分46秒(365.24219879日か)である。季節は太陽の動きに影響を受けるので、この11日のずれは3年たてば約一月のずれとなり、やがて月日と季節の不一致を招く。
というわけで、太陽太陰暦が登場する。

太陽太陰暦
太陽太陰暦は、太陰暦と太陽暦とを折衷(せっちゅう(折中):あれこれと取捨して適当なところをとること)した暦で、19年に7度の閏月(うるう づき)を設けて平均させる。この19年の周期をメトン周期という。中国では太陰章と言ったとか。
太陽太陰暦はギリシア暦、中国暦、ユダヤ暦などで使われている。

中国では、二十四節気(にじゅうし せっき:太陽年を太陽の黄経に従って24等分して季節を表す)というものがある。正節(節気)、中気の順に並んでおり、正節から次の正節までの間を節月という。節月は約30日で、1朔望月(29.5日)よりも長い。よって、暦と季節とのずれが蓄積されてゆくと、中気を含まない月が生じることになる。この中気を含まない月を閏月としている。

メトン周期
メトン周期(Metonic cycle)はギリシアの天文学者メトンさんが紀元前433年に発見したもので、ある月日の月相(月の欠け方)が次に一致するまでの周期のことである。これが235朔望月である。
19年は閏月を入れないと228ヶ月(19×12)なので、235との差分の7ヶ月をどこかに入れてやればよいということである。

19太陽年と235朔望月は1.9時間ほどずれていて、13回分(247年)で1日程度ずれ、・・・。
なのでやっぱり時々改暦する必要があるとか。


八朔
八朔(はっさく)という言葉がある。みかんのことである。
いや、みかんは置いといて、実は旧暦八月朔日(ついたち)のことである。
この日、贈答をして祝う習俗があり、これを「田の実」と言うらしい。
「田の実」は、陰暦八月朔日に新穀を贈答して祝った民間行事で、田の実すなわち稲の実りを祝う。「たのみの祝」「たのむの節」「たのむの日」「たのも節供」などともいうらしい。

八朔の雀(はっさくの すずめ)
八朔の日に、数珠玉の枝につけて贈る綵雀(つくり すずめ)のこと。
(「綵」は、いろどり、模様の意)

八朔の苦餅(はっさくの にがもち)
八朔の行事につくる牡丹餅(ぼたもち)。
この日以後、午睡(ごすい:ひるね)がなくなり、夜業(よなべ)が始まったとか。
「八朔の泣饅頭」「八朔の涙飯」とかとも言うらしい。

数珠玉
イネ科の多年草。熱帯アジアの原産。畑地などに自生、栽培もする。
高さ1m余で、株を作る。ハトムギはこの変種。

ちょっと話が逸れるが(もともと逸れているかも)、「憑」と書いて主君へ太刀、馬、唐物などを贈り、主君からも物を返し賜る「たのみ」もある。鎌倉中期から武家の間に行われ、室町時代には幕府の重い儀式となり、憑総奉行を置いたとか。
八月朔日に関係なさそうで実は、徳川家康の江戸入城が八月朔日だったので元日と同じく重い式日とし、諸大名は賀辞を述べ太刀献上の事があったとか。

蜜柑(みかん)の八朔
ちなみに、蜜柑の八朔は、文旦(ぶんたん)と他の柑橘類との交配種のことなんだって。
文旦はザボンの一品種で、果実は洋梨形でザボンより小さい。生食するほか、果皮を砂糖漬とする。九州南西部で栽培。「ぼんたん」とも言う。

ザボン
ザボン(朱欒、香欒)は「zamboa」でポルトガル語。ミカン科の常緑高木で、アジア南部の原産。
実はでかい。果肉は黄色だが、紅紫色のものもあり「うちむらさき」という。グレープフルーツは同類。

柑橘類
柑橘類とは、ミカン科ミカン類の常緑樹の果樹および果実の総称で、原産は東南アジア。数十種の野生種が知られる。分類学上はミカン属、キンカン属、カラタチ属に分けらる。
しゃぁ、オレンジと言ったら。
ミカン科の果樹および果実の総称だけれども、特にインド原産ダイダイ類のネーブルオレンジ(nabelは臍の意味)とかバレンシアオレンジを指す。皮はむきにくく、生食、ジュース用に大規模に栽培されている。

橙(だいだい)
ミカン科の常緑低木。葉は卵形、透明な小油点を有し葉柄に翼を持つ。果実は冬に黄熟するが、翌年の夏に再び緑色にもどるので回青橙の名がある。暖地に栽培、皮は苦味健胃薬。また正月の飾りにも使用。オレンジ、三宝柑(サンボウカン)、夏蜜柑(ナツミカン)、鳴門蜜柑(ナルトミカン)は同類、また臭橙(カブス)はこの変種。