2002.4

↓時間軸





 横浜の新市長はナカダさんだと思うのですが、パルマの10番の影響かニュース番組はかなりの比率でナカタさんと呼んでましたね。失礼では?

 西澤保彦『聯愁殺』(原書房)読了。
 よくこんなこと思いつくなあ……と、うなってしまいました。脱帽。文句なく、今年のベスト候補。
(以下ネタバレ)ミッシングリンク、ABC理論、密室、性別誤認、操り……とまさにぜいたくきわまる「本格」アイテムのてんこ盛り。くわえて、目次を見てもちんぷんかんぷんなのですが、読み進むうち「あ、この章のタイトルはこういう意味かぁ」と納得する楽しみもナイス。何より、前評判どおりに問題篇2割解決篇8割みたいな、『毒入りチョコレート事件』方式を極めた西澤節炸裂がたまりませんなあ、しかも理屈のこねかたが何となくモース警部っぽくて、「西澤式のバークリー+デクスター」の看板に偽りはありませんぞ、と喜んでいたら……うわあ!
「メタミステリー(あるいはメタミステリ)」という言葉が非常に安易に使われていることにはかねがね眉をひそめていて、芦辺拓さんが『グラン・ギニョール城』のあとがきでおっしゃっている表現を借りれば「その作品が探偵小説であること自体が探偵小説としての仕掛けにつながっている作品」のみをそう呼ぶべきと考え、かつ、そんな作品ははたしてこれまで存在したろうかと疑っておりました。でも、ひょっとするとこの『聯愁殺』は史上初、真の「メタミステリー」かもしれないと思います。すくなくとも、「メタ本格」であることはまちがいないかと。興奮。
 殊能将之さんと並んで最も批評性の高い「本格」作品を発表されている西澤さんは、『依存』(幻冬舎)以来あからさまに「本格」の存立基盤を問う実験作を重ねていらっしゃると思います。一つの到達点がこの作品ではないでしょうか。もう一度、興奮。

(追記)なぜこの作品がメタミステリーないしメタ本格なのかを、もうすこしだけ語りたくなりました。で、以下ネタバレ反転。『聯愁殺』を未読のかたは絶対にお読みにならぬようお願いします。
(以下ネタバレ)ミステリーすなわち謎解きというものは、ましてやそこで「本格」を名乗ろうとするものは、どうしたって「問題篇」と「解決篇」に二分された構造を持たざるをえません。もちろん「問題篇」のうちから謎解きの一部をおこなうことはまったくかまわないんだけれども、その逆はできない。つまり、「解決篇」に入ってからはじめて重要なデータを出したりしたら、それは即刻「アンフェア」になってしまうのです。だから形式上は「問題篇」と「解決篇」の二分は、絶対に崩れない。これが、「本格」の掟であるはずです。
 ところがこの作品がやったことと言えば……まず、問題篇が2、解決編が8、みたいなアンバランスな構造を実現させた。そこでアリバイとして使われたのが、バークリーだのデクスターだのといった先例を巧みに(風評として)用いることによるミスディレクションです。小説のほとんどが解決篇であり、そこでは終始ああでもないこうでもないといった推理合戦が展開されているんですよ、という図式(これはこれで、ほんとに実現させたらものすごいことですが)を読者に信じさせた。しかしその実、裏でおこなわれていたことと言えば……解決編ではじめて重要な情報を出しつつ、「本格」のスタイルを守るという離れ業なのです。
 この作品の見かけ上の「問題篇」と「解決篇」はもろともに、より上位の「本格」における「問題篇」として機能しています。それに対する「解決篇」も最後にちゃんとある。形式主義的に言えば、これは文句なしに「メタ本格」の達成です。こんなもの、前例を知りません。だから、この作品は凄い。
 したがって、「解決篇になってはじめて出てくる情報が多すぎて興がそがれる」とか「そこで提示される仮説もみんな恣意的に思えてしまう」とかいう批判は、まるごとこの作品の凄さに飲みこまれてしまうほかはないと思うしだいです。


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『オイディプス症候群』と格闘中だというのに、今月はまた気になる本がずいぶんと出るなあ。先日ご紹介した「カッパ・ワン登龍門」もそうですが、講談社ノベルスの新刊見本が届いて、何と7点。うち、密室本が3点も。当分、積んでおくしかないのかしら。『レイクサイド』も『非在』も未読なのに……。
 ともあれ、その7点とは。柄刀一『奇蹟審問官アーサー 神の手の不可能殺人』(主人公は『サタンの僧院』(原書房)のアーサー・クレメンスなのかな?)、高里椎奈『蒼い千鳥 花霞に泳ぐ』(薬屋探偵シリーズ第8弾)、大塚英司『多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件』『多重人格探偵サイコ 西園伸二の憂鬱』(いずれも、角川スニーカー文庫の旧作に加筆)。
 密室本は、積木鏡介『芙路魅 Fujimi』(ひさかたぶりの登場です)、舞城王太郎『世界は密室でできている。』(前2作とは装丁ががらりと変わってポップです)、そして……霧舎巧『四月は霧の00密室 私立霧舎学園ミステリ白書』(「00」は「ラブラブ」と読みます)。すごいでしょ、このタイトル。でも装丁はもっとすごいぞ。舞城王太郎よりも佐藤友哉よりも西尾維新よりも、「この表紙がほんとに講談社ノベルスなのかあ?」と戦慄しました。みなさん、お楽しみに。
 でも、実はもう袋とじを破って「あとがき」を読んだのですが、かなり考えさせられました。なかなか重要な問題を提起していると思います。この手の装丁が苦手な人も、毛嫌いしたら損かもしれません。ま、作品そのものの感想はいずれ。

 mauさんがまたもやサイトで拙作『人魚とミノタウロス』に言及してくださいました。ただしネタバレ爆発ですので、読了くださったかたのみ飛んでください(^^)。

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 ジャイアンツほどではないにせよやっぱり阪神もマスコミにひいきされてるよなあとか、去年までだってシーズン中に1回は首位に立ったりしていたわけでそれが最初に来ただけなんじゃないのとか、そういうことを言ったらあきらかにやっかみですね。井川の成長、ムーアと片岡とホワイトの獲得でチームに柱ができた。強くなったと思います。

 しかし阪神も凄いけど、ベガルタ仙台も凄いぞ。J1昇格早々の開幕5連勝、前年王者の鹿島にもアウェイで勝ってしまった。小村、森保、山田、岩本、山下とこれだけ代表経験者がいて外国人の質も高いからもともと戦力はあるんでしょうが、サポーターの力も大きいのかな。浦和に替わって、と言ったら怒られますが、仙台は新たなサッカーの都になるのかも。
 岩本テルなんか、連携など考えるといまからでは遅いんでしょうけど、1年前だったらまちがいなく「代表復帰」の声がかかって「左サイドはますます激戦」とか言われてたでしょうね。

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 黒田研二さんフクさんがサイトで『人魚とミノタウロス』を評してくださっている。光栄の至り。
 さて、ふと思ったのですが。ぼくとしては拙作に言及してくださっているサイトと、自分の読者(ないしその予備軍)とを結びつけたくて、そしてそれは作者本人がやるのが最も手っとり早いと考えて、ここからリンクを貼るわけです(もちろん、リンクフリーと謳っていらっしゃるかたのみ)。でもこれって、そういうサイトの運営者のかたがたには迷惑かもしれない。だって、「この作者は自分のサイトを見ている」って明確にわかってしまうわけで、人によっては以後ぼくの作品を評しにくくなる(もっとはっきり言えば、けなしにくくなる)という展開はじゅうぶん考えられるじゃないですか。それどころか極端な場合、いかにも日本人的な「遠慮」を強要し、「しっかり見張ってるからな、これからは甘い評価をしろよ」と誘導しているとすら受け取られかねない(笑)。
 それは本意ではありません。かねがね言っているように、作品をどう読むかは読者の自由に属する問題であり、作者がとやかく言うべきことではないと思います。たとえ作者の意図からすると完全な誤読であっても、その「読み」は尊重されるべきでしょう。第一、ネット書評の世界って「好きなものについて好きなように語りたい」という情熱が支えているのでしょうから、作者への遠慮なんて不健全ですよね。したがって、これまでにリンクした、あるいはこれからリンクするかたがたに申しあげたいのは、今後もしいずれかの拙作に対して「あ、これはつまらない」とお思いになったらどうぞご遠慮なく厳しい評価を書いてください、というしごくあたりまえのことです。
 この際、開きなおったほうがたぶんいいのでしょう。ええ、ここからリンクを貼るのはぼくにとって好都合な(意図の通じた)「読み」だけです。手厳しい評価に貼ることはおそらくないでしょう。それだけの話です。手厳しいからこそありがたいというケースもあるし、そういった「読み」ももちろん尊重いたしますので、くれぐれもご遠慮なく。
 それとも、こういう問題に関してネット書評の世界にはすでに確立したモラルがあったりするのでしょうか? たとえば、「みんなが伸び伸び感想を書けるように、作家は読者のサイトに顔を出したりリンクしたりするべきではない」とか何とか。でもいっぽうでは、「作家も読者もない、みんな同格なのがネット」ってこともあると思いますが……ご意見をお持ちのかたは、ぜひご教示ください。

 あ、それと……ぼくごときが言うまでもないかもしれませんが、今週の浮遊研究室(VOL.20)は、すごくためになるなあ。

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 黒田研二さんから、新刊の『嘘つきパズル 究極の名探偵★誕生』(白泉社My文庫)を送っていただきました。
「イラスト:魔夜峰央」という情報は事前に知っていたから『00密室』のときのような衝撃はなかったけど(というか、媒体的にはこれでナチュラルなんでしょうか)、それにしても濃い表紙カヴァー。口絵もすごいぞ。『パタリロ!』の作者、さすがのインパクトですな。
 でも黒田さん、あとがきで自作を「下品で馬鹿馬鹿しくくだらない」としつこいぐらい繰り返すのはいかがなものか(笑)。いや、もちろんこれはほめ言葉なんでしょうが。そう言えば、彼は活字の世界ではサイトの存在を公表してこなかったんですね。今回はじめて気がつきました。その理由が、サイトの「内容があまりにも下品すぎるため、作品のイメージまで悪くなったら困る――と」「これまでひた隠しにしてきた」って、わはははは。そうかそうだったのか。謙遜しすぎだと思うなあ。
 しかし、小説家が自分でサイトを運営する場合、作品のほうとイメージを一貫させるってすごく難しいことで、実はむしろ少数派なんじゃないでしょうか。森博嗣さんの去年までの日記が最もみごとな例でしょうが(何しろ、本になっちゃうくらいですから)。確かに黒田さんはギャップがあるほうかもしれませんが、クールな作風のかたがウェブ日記では意外にアツかったり、掲示板で意外にとっつきやすかったり、そういうのは珍しくないような。殊能将之さんは、あれでけっこう一貫してるのかな。いちばんギャップがあるのは、古処誠二さんですかね(笑)。
『嘘つきパズル』の感想は、いずれ。『オイディプス症候群』、まだ読み終わりません(青息吐息)。

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 車に轢かれそうになりました。
 大きな交差点で信号が青になったので歩きはじめたら、右折車が歩行者を無視して横断歩道に突っ込んできたのです。とっさに歩道に飛びのいて事なきを得ましたが、頭に来たなあ、もう。
 ま、信号を盲信してはいけないわけで。赤でも渡っていいときはあるし、青でも絶対安全とは限らない。東京の道を歩いていると、車を運転していいだけの知能がないとしか思えないドライヴァーは珍しくないですし。

 みずほ銀行に口座を持っていまして、今月はじめて通帳記入。何が起こっているかとわくわく(笑)したのですが、異常は何もありませんでした。ちょっとがっくり。なんて書いたら不謹慎かな。

 ジュビロ対アントラーズは、解説者が絶讃したほどのいいゲームだったかなあ。どっちもミス多すぎ。決定的な場面をつくられる前につぶしあってるだけという印象で、魅せるべきプロの試合としては感心しません(ま、W杯直前で「結果重視」モードに選手全体が入っているのかな)。とくに鹿島は、本山がちょっと深刻なのではないでしょうか。
 ところで、中村俊輔やっぱすごいなあ。本番のメンバーに選ばないと、きっと後悔するよ。

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 笠井潔『オイディプス症候群』(光文社)読了。
 ……ふう(心からのため息)。堪能しました。あ、〆切過ぎてるのにすみません>原書房I毛さん(業務連絡)。でも、しっかり刺激になりましたので。
 最大の印象は、会話の不自然さですね。こんなしゃべりかたする連中いねーよ、と数限りなくつっこんでしまう(これが新人の作品だったら、こっぴどく叩かれるかも)。でも、おそらく笠井さんはわざとやってる。「翻訳調」という演出なんでしょうね。「とりあえず日本語で書いてる小説だけど、実際は誰が何語でしゃべってるのかに意識的でいよう」という姿勢が如実に感じられますからね。一例を挙げると、頻出する「不在証明」という用語。出てくるたびにルビがつくんですが、それが「アリバイ」になったり「アリビ」になったりする。これは不統一ではなく、その用語が出てくる発言がなされたのが英語かフランス語かによって使い分けているわけです。語り手ナディアはフランス人ですから、地の文や彼女の発言においては基本的に「アリビ」。ところが、フランス語を解さないアメリカ人相手に彼女が英語でした発言に出てきた場合は「アリバイ」になるわけ。これって書いててものすごく気疲れするスタイルだと思うんですが、さすがに綿密ですね。
 毎度おなじみ哲学談義には、しびれました。マジでおもしろい(ただ、これは受けつけない人も多いかも)。現象学者カケルを構造主義者ミシェル・フーコー(作中ではダジール)に挑ませるというのも大胆だなあ。これまではヴェイユとかバタイユとかハイデガーとか、基本的に20世紀前半の存在が相手でしたからね。次はサルトルかメルロ=ポンティか、ひょっとしてブランショかと思ったらまさかフーコーとは。カケルの「ならびみ」「むきあい」「わたしみ」三元論とフーコーのパノプティコン論との対決とか、実に刺激的。読み進みながら「あ、これはフーコーだ」とか、「あ、ここはジラールだなあ」とか、元ネタを察する楽しみもあるし(<意地悪?)。
 それと、そもそもオイディプス症候群って、現在ではもはや常識のあの病気(エイズ)のことですよね?
 さて、かんじんの「本格」としての評価ですが……若干の留保点はあります。「それって、アンフェアじゃ?」とか「ここは論理が不充分」とか感じた箇所があるんですね。でも、犯人を特定する手さばきは眼がくらむほどみごとだし、これだけの複雑な迷宮をとにもかくにも収束させたのはさすが。何より、ラストシーンがめちゃめちゃ感動的です。やっぱり、今年のベストを争うでしょうね。
 法月綸太郎さんが喝破したとおり前作『哲学者の密室』がエラリー・クイーンの影響を受けていたとするなら、今回最大の影響をあたえたのは綾辻行人さんだったのではないか、なんていうのは蛇足(笑)。
 ただ、あまりにも誤植がめだったのは残念です。これだけの分量になると、著者も編集者も校正で根気が続かないのは無理ないのかな。

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 サッカー国際Aマッチ、日本1−1コスタリカ。
 純粋に勝ちにゆくならば、の話ですが……いったい何ですか、あの選手起用。前線の3人が鹿島、両サイドが清水、で、うまくゆかないとみたら前半のうちにC大阪の二人をピッチに。全部、いまは状態の良くないクラブの選手ではないですか。Jリーグをちゃんと見ていたら、ありえない選手起用ですね。とりわけ最悪だったのが小笠原から森島への交代。両サイドが市川とアレックスのときは森島は機能しないことがすでにウクライナ戦で証明されているのだし、途中から出したからには森島を引っこめにくくなって中村の投入機を逸してしまった。
 後半、福西を入れたのはヒット。で、この前提のうえで言うなら、勝ちにゆくなら後半15分で鈴木に代えて中村、以後は1トップが正解だったでしょう。中村を入れるのとほぼ同時に、彼のパスを受けて最も生きるアレックスを下げてしまったのも理解不能。
 ま、たぶん決勝トーナメント一回戦を意識して手の内を隠したってことでしょう。そう思いたい。そうでなかったら、ちょっとやばいぞトゥルシエさん。

 おっと、フランスと引き分けた? さすがに強いねロシア。

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 おかげさまで、10000アクセス突破。うれしいです。ありがとうございますm(_ _)m。

 霧舎巧『四月は霧の00密室』(講談社ノベルス)と黒田研二『嘘つきパズル』(白泉社My文庫)をあいついで読了(あ、ちゃんと仕事もしてますよ>原書房I毛さま)。
 いずれも、メフィスト賞作家がライトノベルやマンガの読者にもアピールしようとした新しい試みでしょうし(だから表紙はなかなか恥ずかしい)、でも最後まで読んでみればやっぱり「本格」じゃんというところも共通しています。ま、この二人がそうそう簡単に「本格」を離れるわけないってのは考えてみればあたりまえですけどね(霧舎さんの「本格/新本格」二元論は、正直なところちょっとわかりかねています)。

 さて、『00密室』。あとがきにある「金田一少年や名探偵コナンがせっかくマンガしか読まない読者の興味をミステリーに向けてくれたのに、推理小説書きがかれらをとりこむ努力をしなくていいのか」という問題設定には、一定の答えを出しているのかも。それは、「神の視点からの三人称叙述」です。同一シーンで複数の人物の内面を描写するような書きかたは俗に「神の視点」と呼ばれ、一部ジャンルを除いて現代小説ではタブーとされてきました。でも、これってマンガではわりとあたりまえの技法ですよね。ということは、マンガオンリー読者がはじめて読む小説としてはむしろ違和感がないという可能性がある(現代小説を読み慣れた読者であればあるほど、落ち着かないでしょうが)。

 いっぽう『嘘つきパズル』は、作者いわく「孤島連続殺人モンスターホラーラブコメディ」(笑)。う〜ん、「ラブ」の要素はあるけど、「コメディ」と続けちゃうとどうかな。あきらかに「ラブコメ」ではないですし。「孤島連続殺人モンスターホラーナンセンスギャグロマンス」とでもいうほうが、むしろ正確かも。ところが、ベタギャグと下ネタに圧倒されつつ読み終わってみれば、これは西澤保彦型「特殊ルール設定パズラー」と見なすべきでしょう。そして、どうやら本家に匹敵するできばえです。あいかわらず、プロットと伏線が絶妙ですしね。それにひょっとしたら、これまでの黒田作品のなかで「論理的」ということでは一番ではないでしょうか。疑いなく「緻密なパズル」だと思いますよ。
 ああ、そう言えば。推理小説の作者って、嘘をつけないんですよね(すくなくとも地の文では)。それってひょっとして……

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 石持浅海『アイルランドの薔薇』(光文社カッパ・ノベルス)読了。新しく立ちあげられた「カッパ・ワン登龍門」の1冊。
 舞台は外国、登場人物もほとんど外国人で、一人だけいる日本人が探偵役――どうしたって矢吹駆シリーズを連想しますね。でもナディアのような語り手はおらず、基本的に二人の男性を交互に視点人物にして三人称で物語は進みます。アイルランドを舞台にしたのは、実はきわめてユニークな閉域(クローズド・サークル)づくりの演出です。政情の不安定なところで、政治的な思惑から警察の介入が排除されて、さあ思いっきりパズラーしましょうという趣向ですね。限定された状況から「ありうる可能性」を徹底的に導き出す論理展開には、西澤保彦さんが推薦するのも納得。同好の士としてエールを送りたい……なんて言ったらかえって迷惑かな?

 林泰広『The unseen 見えない精霊』(光文社カッパ・ノベルス)読了。同じく「カッパ・ワン」の1冊。
 おお、おもしろい! はっきり言うと真相は無理無理なんだけど、無理無理だろうが何だろうが「この一点さえ成立すれば、これほどの不可能状況が現出してしまう」ってな論理展開は潔い。パズル感覚が横溢した傑作です。実によく考え抜いたすえの作品であることが伝わってきて、ああもう、ちょっとやそっとのやんちゃぶりには自然に眼をつむれてしまいますね(^^)。それにこれ、作品構造がちょっとゆがんでいて興味深い。(以下ネタバレ)この作品の核に、「オカルト的な現象を合理的に解く」というポーの『モルグ街』以来の定番ストーリーがあるのはあきらかですよね。ところが、それ自体が語られるのがもろにオカルト的な状況である(写真を見ただけでその人物の死を見破れる老婆による憑霊行為)、というこの二重性。オカルトによって成り立つ枠物語のなかでオカルトがありうるか否かを問うても……という危うさをはらみつつ、微妙なところで現代的なメタフィクションとして評価できると思います。(ネタバレここまで)。

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 東川篤哉『密室の鍵貸します』(光文社カッパ・ノベルス)読了。これも「カッパ・ワン」の1冊。
 平凡な大学生が日常生活のすきまから犯罪に巻きこまれ、しかも一つの舞台にとどまりつづけるのではなくテンポよく移動してゆくストーリー展開の速さが特徴になっていて、そのかぎりでは以前に論じた「井上−東野−歌野−貫井(−黒田)」路線を引き継いでいるような。でも、だったら小説がうまくないとしんどいわけで、「神の視点」はどうなのかなとやはり思ってしまいます(もちろん、自分でそう書いてるくらいですから東川さんはじゅうぶんに自覚的なんですが)。
 この密室トリックはバレバレでしょうが、作者はそこで勝負してはいませんね。もう一つのメイントリックのほうはまるで思ってもみなかったもので、正直びっくりしました。しかし、だったら謎解きの順番を変えたらもっとよくなるような気もします。
 そういうことをすべてひっくるめて、思索をうながすだけのものを持つ佳作です。体質的には、石持さんや林さん以上に好みですね。今後におおいに期待しましょう(って、えらそうだな(汗))。

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 おお、福岡ダイエーの寺原がプロ初勝利。4月のうちにとは早かったですね。やっぱり、ただ者ではない。
 先日は松坂−杉内の「同級生対決」がずいぶん注目されましたが、松坂−寺原が実現したらまた盛りあがるんだろうなあ。もっとも本来なら、ルーキーとの対決を大騒ぎするなんていまの松坂には失礼だと思いますが。けっこういい勝負になっちゃうくらい西武打線が打てない、ということか。

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 松坂の開幕5連勝には驚かないけど、ドジャースの石井もですか。へえ、たいしたもんだ。

 サッカー、日本1−0スロヴァキア。
 ……稲本が心配です。一つみごとなパスを通したけど、総体としてはあいかわらず実戦感覚がずれているような。そういう意味では、できれば90分使って、すこしでも勘を戻させたかったですけどね。
 本大会で、左サイドの小野に変えてアレックスをジョーカーとして出すとき、それは同時に「パスの出どころ」を一つ減らすことを意味します。中田英がハードマークにあっていたら、肝心のアレックスへ、誰がパスを出すのでしょう? 答えはボランチですね。稲本が万全なら、いらぬ心配です。でも現状では……小野を引っこめるのではなく、右にまわすしかないかも。
 もう一つ、中田英と小野のどちらかが出られなくなったとき(警告累積や負傷)を考えると、この問題は90分全体に拡大します。残ったほうの一人が唯一の「パスの出どころ」というのは絶対やばい。稲本が復調してくれないと、名波にも不安がある現状では小さからぬ問題でしょう。
 そういった意味では、1トップというオプション(アレックスと中村を併用できる)を試して機能し、そこで中村が存在を主張したことは大収穫ですね。
 柳沢の右サイドに関しては、ま、いっぺんやってみたかった、程度のものでしょう。そんなに騒ぐこともないのでは。



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