2002.8

↓時間軸





 光文社『ジャーロ』編集部のK村さんからメールをいただく。本格ミステリ作家クラブの事務局を担当なさっているかたなのでファーストコンタクトではないのですが、用件にはびっくり。次号(9月発売)に山前譲さんによる氷川インタヴューを掲載したい、とのことです。
 うわあ、こりゃまた光栄な。バックナンバーがすべて手元にあるわけではないのですが、あらためて見直してみると(巻末の色つきページですね)若竹七海さんとか加納朋子さんとか、けっこうビッグネームが登場しているではないですか。この前なんか土屋隆夫さんだし。ぼくなんかが出ちゃっていいんでしょうか。いいんでしたら、もちろんお受けしたいですよね。いい宣伝になりますし。
 しかし、インタヴューって初体験だからなあ(どきどき)。
 当然ながら写真はNGってことになるんですが、それでいいんでしょうかK村さん(<ちゃんと直接交渉しろよ)。あんまり自作について語りすぎることを潔しとしていないんですけど、それでもいいんでしょうかK村さん(<だから、ちゃんと直接……)。過去の経歴とか実生活についてとか、それほどしゃべれませんがいいでしょうかK村さん(<はよ光文社に電話せい)。
 ……嘘です(笑)。ちゃんと電話して、正式にお引き受けしました。しかしわれながら、インタヴューに向かない小説家だなあ。

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 中日・川上が、ジャイアンツ相手にノーヒットノーラン達成。これはもしかして、清原がいなかったからなのでしょうか?

 それはさておき、耳に飛びこんできたのは「プロ野球史上70人め」(A)、「セリーグでは31人め」(B)、「ジャイアンツ相手は8人め」(C)という3つの命題。おや、と思ってしまいました。
 まずAとBをつきあわせると「あれ、セよりパのほうがノーヒッターは多いのか、おかしいな昔からパって打高投低でDH制もあるのに?」という疑問が湧きました。次にBとCをつきあわせてみて「6チームもあるのに、31人のうち8人がジャイアンツ相手? ジャイアンツって、実はめちゃめちゃノーヒットノーランやられやすい球団なの?」と考えました。
 ……構造主義者はしばしば歴史的視点の欠落ゆえに誤りを犯す、の見本ですね(<何じゃそりゃ、偉そうに)。
 つまり命題A・Cと命題Bとでは、条件がちがうんですね。Bは「セリーグでは」というからにはセントラルリーグができて以降の数字。対して、考えてみればあたりまえですが、AとCは「1リーグ時代」(戦前ずっとと、戦後ちょびっと)を含んだ数字なわけです。「セとパに分裂する以前、プロ野球は1リーグ制だった」、「ジャイアンツは日本最初のプロ野球チームで、当然ながら1リーグ時代から存在していた」という歴史的知識を見失わなければ、全然不思議はない話でした。
 もう一つの論点は「一人の投手が複数回ノーヒットノーランをやることもある」ということで、実際セでは金田(国鉄)が2回、外木場(広島)が3回やってます。つまりBとCのつきあわせに関しては「31人中」ではなく「34回中」と考えるべき。

 で、気になって調べてみました。やっぱりパはセよりノーヒッターが少なかったのはいいとして、命題Cを「セリーグで」に限定してカウントしなおしてみると……7回。34回中7回って、やっぱ多いじゃん(笑)。ところが広島は何と8回もやられているのでした(中日も7回やられてます)。びっくりしたのがヤクルトで、「お荷物球団」呼ばわりされる激弱ぶりだったそうな国鉄時代も含めて、たった2回しかやられていません。

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 新札発行が発表されました。漱石が消えるのは寂しいなあ。野口英世って実はあんまり偉人顔ではないと思うし。女性を起用するなら樋口一葉より与謝野晶子がよかったと思うんですが、やっぱり「若さ」が魅力だったのかしら(<偏見)。でも、樋口一葉って24歳で若死にしてるんですよね。24歳以下の顔が紙幣の肖像になるって、世界的にも珍しいんでは(そんなことない?)。
 いずれにしても、「TVのニュース番組がすこしでも住基ネットを扱えなくするために、トップニュース級の新札発表をきょうやったのだ」という久米宏の説に、ぼくも一票。
 だいたい、住基ネットは「これで、全国どこの役所でも住民票がとれるようになります」、新札発行は「偽造防止のため」……いまの政府って、ほんとプレゼンがへただよなあ(ため息&笑)。

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 講談社ノベルスの新刊が届きました。
 三津田信三『作者不詳 ミステリ作家の読む本』のみ、遅れているのか同梱されておらず、届いたのは5冊。う〜ん……今月はみんな平積みになった場合、かなり圧巻と思われます。何しろ5冊中4冊がカヴァー表1は「少女」のイラスト。唯一そうでない篠田真由美『綺羅の柩 建築探偵桜井京介の事件簿』が逆にめだつくらいです。それにしても、辰巳四郎さんの装丁が1冊もないとはね……。
 で、「少女」イラストのうち、気になる密室本は佐藤友哉『クリスマス・テロル invisible×inventor』西尾維新『クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子』。ついにこの二人が同時刊行かあ。どっちを先に読むか、しばらく迷ってしまいそう。
 あと2冊の「少女」イラストは、西澤保彦『人形幻戯 神麻嗣子の超能力事件簿』、そして霧舎巧『五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』……こ、このタイトルはさすがに霧舎さん、もはや笑いを取りに行ってるのでは? あ、ほめ言葉ですよもちろん。しっかり取られてしまいましたし(笑)。

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 住基ネット稼働。
 反発のほとんどが「人間が番号をつけられて管理される」ことへの感覚的な嫌悪にすぎない、という意見はたぶん正しい。そうなると、運転免許証にせよ健康保険証にせよ、あるいは社員証にせよ学生証(う、微妙に『五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』ネタだ)にせよ、日本人はとっくにナンバリングされてるんだから――さらには、クレジットカードの番号だってプロヴァイダーに発行されるネットIDだって、広く言えば「ナンバリング」にほかならないわけだから、いまさらそんなの感情論でしかないでしょう。番号をつけられることは身分証明のためにはやむをえない、これが現代社会です。……と、こういう見かたをひとまずはしてみる必要があると思います。
 そのうえではじめて、「いや、全国規模になると情報の価値が増大するから危ないんだ」とか、「セキュリティ保全があまりにも信用のおけないものだ」とか、「公務員が違反した場合の罰則が甘すぎる」とか、理性的な意見の出てくる余地が生まれるのです。杉並だって国分寺だって横浜だって、何も住基ネットそのものに反対しているわけではない。
 で、まあ結論的にはこのタイミングでの強行には絶対反対。「政治責任が生じないよう、何が何でも稼働させる」と結論先行型発想であるのなら、2代前の首相が「前提」と明言した個人情報保護法を絶対に成立させねばなりませんでした。したがって、世論(特にマスコミ)に反発を買わないような法案を提出する必要がありました。ならば、官僚の出した案がはちゃめちゃなら絶対に押しきられてはならなかったはず。事前にこの程度の逆算もできなかったわけですから、これは「政治主導」を唱えた小泉内閣、最大の失政なのでは。
 それから、「氏名・住所・性別・生年月日の4項目だけなんだから心配ない」って言いつのる小泉や片山の(<思わず呼び捨て)貧困な想像力には愕然。あのね、特定の個人の住所がすぐにわかるってのはものすごく危険なことですよ。たとえばある女性の顔と名前だけ知ってる男がもしも××××××××××だったら、簡単にストーカーできる手段を提供しちゃうのではないですかね。
 さらに言うと、性別や生年月日を社会的にはあくまで隠しておこうという人間だって、決して少なくはないはずです。年齢をサバ読んでる芸能人とか、性同一性障害に悩む人たちとか、あと氷川透とか(笑)。

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 佐藤友哉『クリスマス・テロル』(講談社ノベルス)読了。
 むむ……この作品に対してなすべきリアクションを、ぼくは持ち合わせていません。したがって、沈黙。

 ……で終わらせたいのだけど、そうも行かないか。しかたないので、以下ネタバレ反転でコメントします。『クリスマス・テロル』を未読のかたは、絶対に読まないようにお願いします。

 本来ならどんな「あとがき」よりも「あとがき」そのものにほかならない内容なのに、なぜ「終章(作品の一部)」なのか。どうしても、そこが気になりますよね。もっとも、そこからまったく正反対の二つの仮説を導けてしまったりもするんですが。
 いや、そんなことより。いちばん言いたいのは、ぼくは佐藤友哉の才能に明確に期待しているので、また新作が読みたいということ。だから、この終章はマジであってほしくない。ネタだと思いたい。次作でどんな「ネタでした、てへっ♪」をかましてくれるのか、それを心から楽しみにしています。


 珍しく、「なまもの!」ネタに反応してみたり。あ、でも先方が隠し日記なので直リンク貼るわけにはゆきません。あしからず。
 うわ、勉強になりました。紫式部の肖像が二千円札に使われてるなんて、きょうのきょうまで知りませんでした(なるほど、樋口一葉が「戦後はじめて紙幣に起用される女性の肖像」ってのは思いっきり誤報なわけですね)。……てか、いまだに一度も手にしたことないんですけど二千円札(爆)。政府が二千円札を「なかったこと」にしたがってるのはそのとおりでしょうが、それ以上に国民の多数が二千円札を紙幣として最初から認めていないのでは? さらに言うと、実態を知らないのでは?
 それと、紫式部が男だったら「逆紀貫之」というのがわかりませんでした。「女だと思っていたら、実は男」なんですから、逆ではなく同パターンなんじゃ?

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 光文社まで出向き、雑誌『ジャーロ』のインタヴューを受ける。インタヴュアーは、山前譲さん。
 とはいうものの、氷川はそもそも実生活や自分の実態について他人様に語るのはできるだけ避けるように心がけており(このサイトについてを参照)、そのうえ今回とりあげてくださる『追いし者 追われし者』(原書房)が非常にコメントしにくい(何を言ってもネタバレになる)小説で、はてさてインタヴューとはいうものの、何を語ればよいものかきわめて悩ましい気分のままその場に臨んだのです。
 で、そのまま小一時間問い詰められて(笑)、インタヴューは終了。どんな内容かは、9月発売だそうな本誌をお楽しみに。何だか熱くなって、つい「本格」観なんか語っちゃったような気もしますが。
 そのあと、カッパ・ノベルスのS木さんと会食。密室本を書きあげたあと(<いつの話?)の新シリーズ立ち上げについて話しあい、基本線で合意に至る。内容については、まだ内緒。年内に書きあげて来春には刊行、みたいな景気のいい話も出たりしたのですが。はてさて、どうなることやら。

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 徳間書店のH間さん(トクマ・ノベルズ編集長)と、渋谷の喫茶店でうちあわせ。あんなのとかこんなのとかいろいろ構想を語っているうちに何となく話がまとまり、いよいよ出版の話が具体化してきました。実を言うと、ちょっとばかりシリーズ化しにくいような設定を考えていたんですが、そこにまことにナイスなアイディアを助言いただいたり。それから、「講談社ではクイーンやデクスターを追求するなら、こちらではチェスタトンをやるなんていうのは?」なんてヒントをいただいたり。え? だって、影響を受けた100冊でもとりあげてないのに……あ。あああ、そうかこんな手も……なんて感じでめらめらと執筆意欲が(<ほんと?)。こちらもやはり、2003年前半の刊行をめざすことになりそうです。
 でもいまはとにかく、講談社の密室本をがんばらねば(切実)。

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 西澤保彦『人形幻戯』(講談社ノベルス)読了。といっても、書きおろしの「怨の駆動体」を除けばすべて『メフィスト』誌で既読でしたけど。
 あらためて通読して思うのは、この「神麻嗣子の超能力事件簿」シリーズって、ものすごく安定しているな、ということ。それはかならずしも水準のことを言っているだけではなくて、むしろ作品の性格のこと。各作品を単体で見ればずいぶんと無茶も強引もやってるように見えて、全体を貫く印象をたとえばタックシリーズとくらべれば「意外と保守的で、不動」なのではないでしょうか。超能力があたりまえって世界設定だからこそ、推理小説としての「型」の部分では逸脱を避けているのかな。いっぽう、日常に足をつけたタックシリーズでは『依存』(幻冬舎)みたいな超逸脱作(?)をかましてみたり。だとすれば、西澤さんのバランス感覚はやっぱり絶妙ですね。

 そして、次なる神麻シリーズを読むため、『メフィスト』(講談社)を買ってきました。
 すると、おお、のみならず「ミステリー・シアター」というイヴェントで上演された西澤さんのオリジナル脚本も掲載され、さらには佳多山大地さんの「往復電子書簡 RALLY」がとりあげているのも西澤さんの『聯愁殺』(原書房)。何と、1冊のなかで西澤保彦3連投。これは、ファンは見逃せないですね。

 それにしても『メフィスト』ですが、むむ、何だか微妙にラインナップが変わりつつあるような……いちばん驚いたのは、全ページごっそり書体が変わっていたこと。文芸書にはわりと多く使われている、大日本印刷お得意のちょっと癖のある明朝体だったのが今回からは、ファッション雑誌にも使われそうなスマートな石井中明朝体に。これはひょっとして、イメチェンを図っているのかメフィスト? 考えすぎかな。

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 テレビ朝日系のタイムショックが終了し、フジテレビ系のミリオネアもすっかりみのもんたのキャラクターショーになってしまって、いっときのクイズ番組熱も冷めてきたので始めてみたのがウィーケストリンク(フジテレビ系)って理解でよろしいんでしょうか(<誰に言ってるの?)。つまり、クイズの要素もあるけどそれ以上に他人を陥れあうゲーム的部分を楽しんでもらおう、という企画。おかげで、何だか伊東四朗が好きになりました。
 でも、ゲーム的というなら見ていてさらに楽しいのは、やはりフジテレビ系の深夜枠でやってるバッテンクイズHEXAGONですね(放送されていない地域もあるんでしょうか)。BSフジから地上波に進出してきた番組らしいですが、仮にゴールデンで1時間番組にしても視聴率は取れるでしょう。そのくらいのおもしろさ。ただ、出場者のキャラがわからないと楽しめないので、一般人を出場させてもだめ。毎回、芸能人大会にならざるをえませんけど。

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 住んでいる自治体から、問題の「住民票コードの通知」が届き、ぼくも自分の11桁を知りました。
 ところが、その通知の取り扱いを見て、はっきり言ってキレました。ふざけんなてめえ。何考えとんじゃ。……い、いや、失礼しました。でも、それにしたってねえ。1枚の通知を3つ折りにして封筒に詰めてるんですが、氏名、住所、性別、生年月日の4情報と住民票コード、この5点をまとめて記している部分を、あろうことか3つ折りの外側になるように折ってるんですよ。信書において、第三者に知られるべきでない部分は内側に折りこむことくらい、常識以前のあたりまえだと思うんですが。試してみましたけど、それなりの方法を用いれば(公序良俗のため伏せることにします)開封しなくても太字の住民票コードは透けて見えることがわかりました。
 まじめな郵便局員さんたちを疑いたくはないけれども、でもなかにはおかしな人だっているかもと警戒すべき。それでなくても集合住宅の場合、ポストに届いた郵便物を誰に覗かれるかわからない。
 まったく、行政がここまで無神経な対応しかできないのなら、あらためて住基ネットに反対せざるをえないですね。区長宛てに通知を送り返して、「住基ネットによるいっさいの行政サーヴィスを辞退しますから、そのかわりわたくしの数字を抹消してください。東京都や国に提出してしまったのなら、そちらにも抹消申請を出してください」くらいの意思表示をしてやらないと、もう気がおさまらない。そんなこと言ったって無視されるだろうけどね。とにかく、ぼくは怒っているぞぉぉぉ!
 ……と、お盆休みの真っ最中なのに頭に血がのぼっている氷川でした。密室本があがらないストレス?(笑)

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 終戦記念日には、やはり靖国神社が気になります。靖国神社の存在そのものが憲法違反(政教分離にもとる)とぼくは思いますが、それに代わる国立の参拝施設をつくったら、それもやっぱり憲法違反ではないかと。あたりまえになってしまって見えなくなっている人が多いかもしれませんが、そもそも「参拝」という行為自体が一定の宗教的な立場に基づくもの、したがって宗教の一部であり、ならば政治はそこから分離されねばなりません。だったら、すでに亡くなった人に頭を垂れるための国立の施設をつくったりすることができてはおかしい(日本国憲法第20条3項「国及びその機関は、(中略)いかなる宗教的活動もしてはならない」違反)。
 欧米では政治判断にも暗黙裡にキリスト教的な価値観が前提にされているのでしょうが、宗教というものを極限まであいまいに扱うこの国ではそういうわけにはゆかないんです。ほかの先進国にモデルを求めることができないという点で、日本にとって最も困難な問題の一つではないか、なのに安直に語られすぎでは、と思わずにいられません。

 英国はじめヨーロッパのBSE(いわゆる「狂牛病」)事情を知ろうとする努力さえしていれば……と考えるなら、肉骨粉育ちの牛の肉を大量在庫させていたこと自体が業界および各メーカーの不見識と言えなくもない。なのに、ある意味で国民に断わりもなくそれを救済しようとした「牛肉在庫買い取り制度」は、まさしく税金の無駄遣いにほかならない。ここまではもはや、共通了解でしょう。そのうえそこに悪用を許すような「ずさんさがあった」と認めるのなら、農水相は今度こそ引責辞任するべきなのでは?
 BSEの発生そのものには現大臣の非はないと思いますが(直後のパフォーマンスがひどすぎて国民の不安をあおりましたけどね)、この買い取り制度に関しては全面的に彼の落ち度でしょう。思えば、雪印食品の件が発覚したときにこれは問題にされてしかるべきでした。
 まあいまとなっては、9月の内閣改造で首を切られるのが見え見えだから、本人もどうでもいいと思っているし、マスコミも追及しないんでしょうね。

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 おかげさまで、50000アクセスを突破しました。みなさまのおかげです。心より、お礼を申しあげます。

 いまの日本では囚人数が刑務所の定員をオーヴァーして諸問題が噴出しているというニュースと、続々と摘発される密輸ガメを引き取っている上野動物園が「もうスペースがない」と悲鳴をあげているというニュースを、同じ日に知りました。まあ、囚人とはいえカメといっしょにされたくはないでしょうが、でも問題の根は同じですよね。
 最近やたらと殺人事件の報道がめだつのは、一つにはムネオもマキコも旬を過ぎてネタにしづらくなったからとも言えますが、それでもたぶん犯罪の発生そのものが増えているのでしょう。

 日本では「火をつけられる」事件が増えたと思ってたら、ヨーロッパでは洪水か。チェコ・プラハの動物園でゾウが安楽死させられたというTV報道を痛ましく思っていたら、毎日新聞によれば殺されたのはゾウだけでなくライオン、クマ、カバも。しかも「銃で処理」しても動物の場合は「安楽死」なんでしょうか?

 ……あ。何だか、毎日新聞社のサイトばかり紹介してしまいましたが、他意はありません。裏金ももらってないし(<んなわけありますかいな)。

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 霞流一『首断ち六地蔵』(カッパ・ノベルス)読了。
 最初に断わっておきますが、ぼくにとっては霞作品ほぼ初体験です(「ほぼ」と言うのは、短篇なら『密室殺人大百科・上』(原書房)所収の「らくだ殺人事件」を読んだことがあるから)。したがって、霞さんが「バカミスの帝王」のような好評を得ていることを知識として承知してはいますが、作品によって実感させられたことはない。そういう読者によるコメントだと思ってください。
 連作短篇形式の仕掛け(若干ネタバレ気味ですがご容赦ください)としては、ちょっと例を見ないくらい真っ向勝負で、かつ核心的(推理小説というジャンルにとって)ではないでしょうか。これだけは、どうしても言っておかなくては。
 ただし、作者みずからが言うところの――たとえばカヴァー袖での「頭から尻尾まで謎解きだらけの作品」とか、「あとがき」での「『毒入りチョコレート事件』へのオマージュ」とかの物言いには、あまり信頼を置かないほうがいいかもしれません。そういうものとして読むと、ことによると不満をおぼえてしまう可能性があるからです。だって、提出される「推理」はどれもこれも「憶測」とか「妄想」とか「思いつき」と呼ぶしかない水準のもので、「覆される」ことがあらかじめ予想されてしまう。さらには、それぞれの事件で「正解」とされる仮説にしたって強固な論証を裏づけとしているわけではなく、はっきり言ってしまえば「物語の要請」によって「正解」になっているにすぎない。
 とはいうものの、途中まで読んでやはりこういう意見を持ったかたも、どうかぜひ最後まで読んでください。ラストでまちがいなく、この作品に対する評価は一変します。上で述べたことはかならずしも弱点じゃない、むしろ作者のねらいなのかもしれない、と思えてくる。すくなくとも、ぼくはそう思ってしまいました。とりわけ、二つの先行作の影響を邪推してしまったのです。西澤保彦さんの『聯愁殺』と、殊能将之さんの『黒い仏』。
 そう、『首断ち六地蔵』もまた『黒い仏』と同様、(以下ネタバレ)後期クイーン問題に向きあっていると読むことが可能です。(以下ネタバレ)真犯人がねらってにせの手がかりを残した場合、探偵がそれを見破ることなんてできるのか――これが後期クイーン問題だとすれば、いっそのこと真犯人が探偵の役割までやっちゃえば話は早いんじゃないの、というようにこの作品のメッセージを読み解くこともできるからです。霞さんがそこまで意図していたかどうかはともかく、そういうふうに読めたのでぼくは満足。おおいに刺激されました。

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 光文社『ジャーロ』編集部K村さんからFAXが。おお、先日のインタヴューが早くも山前さんによって原稿になっているぅ。ぴったしとポイントを押さえていただいて、言うことなしですね。しかし何しろ初体験だから、いろいろと神経質になったりしてしまいます。しゃべった言葉が文字になるって、なかなか数奇な体験なんですよ。しゃべったときにはいきがっていたつもりでも、文字になってみるとまるっきりおマヌケだったり。まあ、こんなこと本来あたりまえなのでしょうが、やっぱり実際に味わってみるとあらためて「なるほどなあ」って感じですね。
 さっそく最低限の修正と要望のみを入れて、光文社にFAX返送。あとは、『ジャーロ』の完成を待つばかり。9月中旬の発売だそうです。

 e-NOVELSの「週刊書評」で円堂都司昭さんが拙作『追いし者 追われし者』を評してくださいました。それも非常に軽妙な書評で、読んでいてくすりとさせられたり、でした。ほんとうにありがたいことです。
 それにしても、市川尚吾さんによる『人魚とミノタウロス』評に続いて天下のe-NOVELSにとりあげていただけるなんて、まさしくラッキーなかぎりだと思います。

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 サッカーU21代表、中国1−0日本。
 U21の、それも単なる親善試合をゴールデンタイムに生放送というのは異例だそうですが、あきらかにW杯効果をあてこんでのことですね。さらに言うと、前回のシドニー五輪チーム(中田英、中村、小野、稲本、柳沢、高原、戸田、明神、宮本ら)の印象が強烈だったしそれがW杯に直結した観も強いものだから、さあ今度はアテネ五輪で盛りあがろう的な商売っ気もあったのでしょう>フジテレビ系。
 しかし、W杯で急にサッカーに関心をいだいたばかりの人が「よし、次の主役はこいつらか」とこの試合を観たら……ちょっと心配ですね。とにかく内容が悪すぎました。単純に言って、敵ボール時のプレスが緩すぎ、マイボール時のバックパスが多すぎる。あまりにも消極的。それは、基本的に中国も同じ(攻めの拠点をサイドにつくろうという意識が統一されていたぶんだけ日本より内容はよかったけど)で、高温多湿な悪コンディションというのを差し引いても、正直言って退屈な試合でした。先々月のW杯とは、もうほとんど別の競技に見えてしまったくらい。

 もしかしたら山本監督は、トルシエ体制下でのコーチ経験からそのアンチテーゼを提示しようとしたのかもしれません。つまりシステムをがちがちに構築してそこに選手たちをあてはめてゆくのではなく、とにかくピッチに出る11人だけを決めて「まずは自由にプレイしろ」「組織戦術よりも先に、個々の特徴を生かしてみなさい」「そのなかで連携を見つけ出せよ」的なアプローチをとろうとしたのかも。でもそれにしては、正直なところ個々の能力(技術だけでなく戦術眼や判断力も含めて)がどうにも食い足りないんですけどね。

 思えば4年前には、シドニーのチームの立ち上げを見て(中田英、柳沢、高原はいませんでしたけど)、アルゼンチンに勝ったという結果ではなくその内容から、「こいつら、A代表より強い」とつぶやいてしまったものです。そこで言うA代表とはもちろんその数か月前にフランス大会で3戦全敗してきたチームのことだったわけですが、何がそう言わせたのかと考えれば、敵ボール時のプレスの果敢さ、マイボール時の積極性(バックパスの少なさと、突破を試みる頻度)、そして落ち着き(おそらくは、預ければキープしてくれる小野や中村がいるがゆえの)でした。そのシドニー世代が中心となってA代表が飛躍的に強くなったいま、きょうの試合を観て唇から漏れたのは「何か、昔の(弱かった)A代表みたい……」だったりして。くり返しますが、プレスの緩さとバックパスの多さ。このチームに何よりも必要なのは、自信なんじゃないのかな。「この調子ではアテネの本大会はおろかアジア予選も厳しい」ってな論調が当然ながら湧き起こるでしょうが、どう立てなおしてゆくか見守りたいと思います。

 あ、いまJリーグで絶好調の田中隼磨(東京V)と石川直宏(FC東京)はやっぱりめだってましたね。それだけはほめとかないとフェアじゃないかな。

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 氷川透が影響を受けた100冊を更新しました。

 それから、掲示板の発言が600を超えたので、掲示板過去ログを新設しました。ニフティの掲示板は、発言を700までしか保存してくれないらしいのです。で、掲示板の外で対処することにしました。もしも過去にさかのぼって「×××番の自分の発言は残されたくない、削除してほしい」というご要望がありましたら、メールでお知らせくださいませ。

 さらに、上記「CONTENTS」のうち「掲示板」を除く各項に、最新アップデートの日付を添付しました。ご参考になれば幸いです。

 どわあ。西澤保彦さんがサイト日記(8月16日〜24日ぶん)で、拙作『追いし者 追われし者』に言及してくださいました。それもなかなか好意的に。さらに言えば、鯨統一郎さんの新作『ふたりのシンデレラ』(原書房)といっしょに。まことに、どうもありがとうございます。
 いえいえ、決して「礼を逸している」なんてことはないと思いますよ>西澤さん(マジで)。ただ、「氷川さんも鯨さんも」って言いかたを3回、「氷川さんや鯨さん」を2回連発されると、何だか鯨さんに申しわけないかなあなんて思ったり。ぼくごときといっしょにされてだいじょうぶでしょうか>鯨さん。
 ともあれ、西澤さんの書いていらっしゃることはジャンル的な重要課題だと思いました。ある意味、「一般の読者を置き去り」にせざるをえない状況とどう折り合いをつけるべきなのか。ほんとうに、まじめに考えてみないといけないと思います。
 ただし、最後の「老人の繰り言」うんぬんにはちょっとだけ引っかかりました。『ふたりのシンデレラ』は未読なのですが、すくなくとも拙作よりはうんとツイストをかましている『聯愁殺』の作者が、何をおっしゃいます。西澤さんこそ、この重要課題のまっただなかですがな。

 (追記)鯨統一郎さんから、はじめてメールをいただきました。ぼくといっしょにされるのは「ダイジョーブです(笑)」とのこと。ごていねいに、ありがとうございます。

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『明智小五郎対怪人二十面相』(TBS)はヴィデオ録画しましたが、まだ観ていません。観てないで言うのもどうかと思いながら――これって、キャスティングが逆なのでは。
 いま田村正和が探偵をやったら古畑がだぶるのは避けがたいだろうし、多くの役者が挑んできた明智小五郎(確か、稲垣吾郎みたいな若手までやってたような)において、その条件は不利すぎるでしょう。いっそ、たけしに「とんでもない明智」をやらせたほうが意味がある。いっぽう二十面相は「妖しさ」がないといけないわけで、そっちのほうがマサカズには適任のような気がしますが。

 さらに言うなら、二十面相に特定の役者を使わず(固定した顔や声をつくらず)、最後まで化けの皮をはがさないまま進行する(彼が扮していた人物の役の俳優がそれぞれ、逃亡シーンまでずっと「変装している二十面相」を演じる)ってのが演劇的には最もおもしろいと思うんですが、これはきっと前例があるでしょうね。

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 三津田信三『作者不詳 ミステリ作家の読む本』(講談社ノベルス)読了。
 去年のデビュー作『ホラー作家の棲む家』(講談社ノベルス)は、若干の本格ミステリー的要素を土台にしながらも展開のさせかたは怪奇小説というか幻想小説というか、とにかくジャンルを定めがたい作品で戸惑わせられたものでした。それは今回も基本的に変わっていませんが、本格ミステリー的な部品の量はかなり増えましたね。そしてそれ以上に、作品の力がぐっと増したように思います。たぶん、これまた前作から存在していた「メタフィクション的な趣向」が前面に押し出されたからではないかな。入れ子構造がもたらす眩暈感というか、虚実がないまぜになるスリルというか……あと、林泰広さんの『見えない精霊』(カッパ・ノベルス)との共通点として、(以下ネタバレ/両作とも既読のかたのみ反転ください)作中作では謎がリアルの枠内で思考されているのに、その外の「現実」部分では超現実がまかり通ってしまうという構造が興味深い。より意識的かつ執拗にやっているのは『作者不詳』のほうでしょうけど。
 ノベルスですが厚くて1500円ですから万人にお薦めはしにくいですが、「本格」と幻想風味との関係を考えたい人には多くのヒントをあたえてくれそうですし、連作短篇ネタの「本格」が好きな人も読んで損はないでしょう。何より、額縁小説にときめいてしまう人にいちばんお薦めかな。
 とにかく、不思議な作風のかたですね。微妙に自虐的というか……ぼくなんかまだまだだな、と思います(謎)。

 原書房ミステリー・リーグの新刊を送っていただきました。うわさの、鯨統一郎『ふたりのシンデレラ』。同リーグとしてはかなり強烈な装画、これまた眼をひく帯の色、そしてコピーは「史上初の大ワザ炸裂! 1人8役!!……?」。ジャプリゾの『シンデレラの罠』がああだから、こちらは当然そうなるわけか。
 楽しみに読ませていただきます。



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