2003.9

↓時間軸





 掲示板のほうで『ニュース・ステーション』(テレビ朝日系)がちょっとだけ話題になったので、思いつきを少々。

 この番組にはいくつか感心したことがあって、一つは前にも書きましたが、日本のプロ野球を報道するにあたり「巨人(正確には読売)」とか「阪神」とか「西武」とかの呼称を使わず、意地でもそれぞれ「ジャイアンツ」、「タイガース」、「ライオンズ」としか言わないこと。それ自体で独立した存在であるべきプロスポーツに「親会社」が過剰に介入している現状への批判……なのかどうかはまったく存じませんが、ともかくこのこだわりには個人的に好感が持てました。

 それから、「身内」には敬称をつけないこと。メインキャスターの久米宏さん(彼が不在なら渡辺真理さん)は、以下のような表現を頻繁に口にします――「現場には、○○××(呼び捨て)が行っています。呼んでみましょう。○○さん?」。この○○××さんというリポーターは久米さん(または渡辺さん)にとって、「同じ番組をつくっているスタッフ」という意味で「身内」です。そして、身内のことをそうでない相手(この場合は視聴者)に向かって言及する際は呼び捨てにする、というのが本来なら日本語の敬語文化におけるあたりまえのルールです。会社員が取引先に向かって身内=社内の人間(上司だろうが社長だろうが)のことを語るなら呼び捨てにするべき、というのとまったく同じ。いっぽう、当人(この場合、○○××さんのこと)に直接呼びかけるならば、敬称をつけるのが一般的。したがってこの表現はまったくもって正しい。
 ぼくの知るかぎり、ですけど、日本のほかのニュース番組(NHKも含めて)でここまで徹底している例は見かけません。それどころか、リポーターが局アナ(完全な身内)であってさえ「現場に△△さんが行ってます。現場の△△さーん!!」みたいな感覚が蔓延しているような。
 ま、ニュースに限らずあらゆる番組で「敬語のルール」が崩れつつあるのが現在のTVですけどね。それがかならずしも悪いとは思いません。でも、「〜せていただ」かないと何もできない人々が多すぎたり(「今度、アルバムを出させていただくんですけど」って、「アルバムを出すんですけど」でええやん)、意味もなく二重敬語を使ったり(「さきほど□□先生はこうおっしゃられましたが」って、「こうおっしゃいましたが」でええやん)、ひたすらニュアンスをあいまいにしてゆく傾向がめだつのには、ちょっといらいらします。

 あ、自分のことを見直せば、「〜たり。」とか「〜ような。」とか「〜なのでは。」とかいう語尾がめだつぞ。思いっきりあいまいだな。他人様のこと言えないじゃないか(汗)。

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 おりょ、川口能活(ポーツマス/イングランド)がデンマークのFCノーシャランに完全移籍ですって?
 ノーシャランって名前に聞き憶えがなかったので(いえ、そもそもデンマークのクラブってブレンビーとFCコペンハーゲンくらいしか知らないんですけど)ネットで調べてみたら、去年までファラム(またはファーロム)と呼ばれていた(それが本拠地の都市名らしいです)チームで、今季から名前が変わったとか。
 う〜ん、それでもやっぱり聞き憶えがないぞ。さらに調べると、1991年に創設された若いクラブで、昨シーズンにデンマークのトップリーグにはじめて昇格していきなり3位になり、UEFAカップへの道もひらけたのだとか。おお、昇り調子のいいチームじゃんと思ったら、すでに開幕している今季は6試合終了時点で1勝2分3敗、12チーム中10位だそうな……
 いや、ま、とにかく川口にとっては試合に出ることが何よりもたいせつ。この時期の緊急補強ってことはGKに困っている可能性が高いし、何とかレギュラーの座をつかみとってほしいものです。はっきり言うと「試合に出られないんなら、とっとと日本に帰ってきたら?」なんて思わないこともなかった彼ですが、この移籍で開花するなら脱帽ですね。実戦経験を積むことさえできれば、何しろ名GKピーター・シュマイケルを輩出した国なんだし得るところは大きいでしょう。とにかく、がんばってほしい。

(追記)その後、「FCノーシャラン」は「FCノアシェラン」という表記が一般的になったようです。

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 講談社ノベルスの新刊見本が届きました。いつもありがとうございます。
 綾辻行人・有栖川有栖監修『新本格謎夜会(ミステリー・ナイト)は、「新本格誕生15周年」を記念して去年おこなわれた謎解きイベント&トークショーを再現したものとか。トークショーの参加者を敬称略で羅列しておくと、「東京編」が綾辻行人・有栖川有栖・山口雅也・竹本健治二階堂黎人・倉知淳・喜国雅彦。「神戸編」が綾辻行人・有栖川有栖・法月綸太郎・我孫子武丸太田忠司・麻耶雄嵩・西澤保彦・喜国雅彦。
 森博嗣『四季 春』は、話題の4部作第1弾。S&Mシリーズに登場した天才・真賀田四季の人生を追う内容になりそうです。実は個人的にものすごく期待していて、それはたぶん森さんはここで天才を主人公にすることによって「高度な思考」というものをつきつめてみるおつもりなのではないか、と興味深く感じるからです。この第1作では四季は5歳、どうやら密室殺人に遭遇するようです。
 三津田信三『蛇棺葬』も密室殺人もののようですが何しろこの作者のこと、ホラー風味が満点である模様。さらには2か月後にも三津田作品『百蛇堂 怪談作家の語る話』が出る予定らしく、どうもそれとこれとはメタ的な関係にあるんだかないんだか……油断できません。
 牧野修『黒娘 アウトサイダー・フィメール』は、作者いわく「猥褻で下品で不快でものすごく暴力的な女たちが、最初から最後まで反省することなくひたすら疾走する物語」。うう、好みかも(汗)。『メフィスト』に掲載されていたアレですね。

(追記) 『新本格謎夜会(ミステリー・ナイト)』のトークショー参加者について。マジシャンのヒロ・サカイさんと、司会者の九十九一さんを書き漏らしておりました。お二人とも、東京編・神戸編ともに登場しています。以上、お詫びして訂正します。

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 石持浅海『月の扉』(光文社カッパ・ノベルス)読了。

 非常に意欲的な作品だと思います。不当逮捕に始まるハイジャック事件という社会派サスペンスふうの物語のなかに、閉鎖状況での不可能犯罪という「本格」ミステリーの謎を押しこんでいる。これには、たいへんどきどきさせられました。帯にある「本格の新地平」をめざした作品であることは、まずまちがいない。いままでこういうことをやろうとしたのは島田荘司さんや谺健二さんくらいで、彼らのように「トリック命」ではかならずしもない石持さんがトライしたのは、とても高く評価したい。
 さらにはハイジャック事件の顛末が、武器の持ちこみから人質の確保から乗客乗員への通告、警察とのかけひきに至るまで、実にリアルでおもしろい(映像化に向いている、なんて思ったくらい)。パターンにとらわれた警察の捜査方針に風穴があく瞬間なんか、思わず物語的快感をおぼえてしまいました。ここまで楽しませてくれる物語は、なかなかありません。オススメです。

 ただ、そのおもしろさこそが、ひょっとすると両刃の剣かもしれません。ストーリー展開があまりにもおもしろすぎて「早く話の先が知りたい」という欲求を喚起するがゆえに、ていねいな手つきの謎解きが(「おっ、さすが石持浅海」的な切れ味には事欠かないのですが)むしろ読者にとっては「じれったさ」になってしまう、という陥穽をもたらしているような気がしないこともありません。本来ならそれこそが「本格」の味なんですけど、でも悲しいかなハイジャック事件の本筋からすれば関係ないわけですからね。そもそも、犯行グループ全員が乗客に背を向けて謎解きに興じているってな図には、何度か「おいおい、のんきすぎるんじゃ?」と感じてしまったものです。
 たぶん、これは「本格」にとって避けて通れない難問ですね。魅力的な物語のなかで、いかにその流れを止めてしまうことなく理詰め一辺倒の謎解きをおこなうか。どうやら、何らかの工夫を編み出さないといけないんだよな……自戒もこめて、思いめぐらすしだいです。

 ……以上、石持さんの資質に明確に期待するからこそ、えらそうに書いてみました。

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 東川篤哉『完全犯罪に猫は何匹必要か?』(光文社カッパ・ノベルス)読了。
 この作品のメイントリックに、ここ数年で最も「ああっ、なるほど!」と唸らされたことを告白します。いや、マジで。この点、賛辞を惜しまないつもりです。読者の「思いこみ」に基づく盲点を正確に射抜く点から言って、卓抜の仕掛けです。はい、「すべての猫は、殺人のための装置なのかもしれません」(<帯の惹句より)。
 また、ユーモア小説としての進歩も見逃せません。地の文のツッコミのみならず(それだけじゃ石崎幸二さんに勝てないよ、なんて前回書いてしまったような気も……ああっ、すみません!)登場人物の会話がボケもツッコミも、前2作よりもはるかに楽しい。このことだけはぜひ、特筆しておくべきでしょう。
 いちおうパズラーとしての弱点もあるような気がするのでそれを指摘しておくと、(以下ネタバレ、読了後のかたのみ反転ください)外部犯の可能性がなぜ否定できるのか理解に苦しみます。pp.301-302 でいちおう議論されてはますが、いささか説得力に乏しいのでは。(ここまで)でもまあそんなこと、この作品のパワーからすれば些事なのかもしれません。
 この作者の次作が、とても楽しみです。

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 乾くるみ『林真紅郎と五つの謎』(光文社カッパ・ノベルス)読了。
 ええと、たとえ「本格」と銘打たれていても、特に短篇レヴェルでは、しばしば次のようなことが起こります――いちおう名探偵が事件を解決して、その説明でとにかく辻褄は合ったんだけど、それでもなお……読者としては「何か、ほかにも説明のしようがありそうだなあ」などという印象が残ってしまう。これは本来、「本格」にとって致命的なことです。すくなくとも、ぼくはそう思います。読者に謎を提示し、しかるのちにその解決を見せて、「ああ、なるほど」と納得してもらうのが「本格」であるはずなのですから。でも、この点で危うい「本格」がとても多くなっている(自戒をこめて)。
 たぶん乾さんはこのことにたいへん自覚的なのだと思うし、この本からはそういった危機意識を強く感じました。まずは「いちばん奥の個室」と「ひいらぎ駅の怪事件」の2篇、トポロジカルな事件の把握と推理(つまり、現場の図面と人の動きに注目するということ)をことさらに見せつけています(何だか、拙作の手つきとちょっと似ているような気がしたんですが、乾さん、ご迷惑だったらごめんなさい)。でもこの2作は、そこから先が決定的にちがう。(以下ネタバレ)非常に堅牢な印象で終わる「いちばん奥の個室」にくらべ、「ひいらぎ駅の怪事件」は「え、うっそー!」と叫びたくなるような突飛な仮説が真相とされる。この傾向は実は「陽炎のように」や「雪とボウガンのパズル」にも共通しています。ほとんど「何じゃそりゃあ?」的な思いつきが、真相として選ばれている。探偵役が選んだんだからこれが真相なんだ、ぐだぐだ文句をたれるな――とでも言わんばかり。(ここまで)どう考えても、これは意図的だと思います。
 すると俄然気になってくるのが、唯一の書きおろし「過去から来た暗号」。探偵役の真紅郎が、自分が子どものころにつくった暗号をいっしょうけんめい解く話ですが(この設定がすでに、何かを狙っているっぽい)、彼の推理ときたらおよそ「論理的」とは言いがたく、「厳密に言えば……なのだが、それらは無視しても構わないだろう」の連続。ところが「とにかく答えを知りたい読者心理」はついそれらをやすやすと受け入れてしまいがちですよね。そうすると、(以下ネタバレ)真紅郎が導いた答えが正しいのかどうかは宙づり状態で物語は終わります。(ここまで)それこそがまさしく、作者の仕掛け。読者に「自分で解こう」という意気ごみさえあれば道はひらけるのです。この点を、ぼくは何より高く評価したい。要するに、これぞ「本格」です。ちゃんと自分で解読してくださいな、と作者が強く訴えているように思えます。
 もしかするとこれは、乾くるみが後期クイーン問題に向きあった作品なのかもしれませんよと強調しておきます(ひょっとして乾さん、ご迷惑だったらごめんなさい)。

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 原書房ミステリー・リーグの最新刊をいただきました。いつも、ありがとうございます。霞さんの『呪い亀』からちょっと間があいたけど、第2期(Second Stage)としてもう一回盛りあげてゆく模様。で、その始動は山田正紀『天正マクベス 修道士シャグスペアの華麗なる冒険』鳥飼否宇『本格的 死人と狂人たち』の2作で、「ベテランと気鋭、同時刊行」という謳い文句のようです。
 それにしても、う〜ん……『本格的』の装画(アランジアロンゾ)には、心を奪われてしまいました。マンガチックで、トボけてて、かわいくて、すばらしい!
 ところで、帯の裏には今後のラインナップが予告されてます。そのまま書き写すと、「谺健二、野崎六助、柴田よしき、歌野晶午、乾くるみ、笠井潔、二階堂黎人、飛鳥部勝則……以下続々予定!」とのこと。挟みこみのチラシには、さらに多くの作者名が挙げられています(あえて言いません、見てのお楽しみ)。

 サッカー日本代表、セネガル戦
 かりにもW杯ベスト8のチームです。今回はエースのディウフ(リヴァプール)が来ないことだけ騒がれましたが、それだけでなくW杯で主将だったシセも、10番をつけていたファディガも来てません。そもそも、監督も代わっている。でもまあ、いちおうのメンバーはそろえ、たっぷり調整期間をとって来日した(のみならず――これはわかりにくい冗談ですが、トルシエからアドヴァイスまで受けた)んですから、ふつうに考えて弱いはずはない。いくらホームでも、そんなチームに負けたことは決して驚くべき結果ではないんです。FIFAランクとは無関係に、セネガルは日本より格上だとぼくは思っています。結果だけをもってジーコ監督を叩くのは、理性的とは言えない。
 さてセネガルは、昨年のW杯で「アフリカのチームがこんなに戦術的に戦うのかよ!」と思わせた衝撃こそ薄れていたものの、試合序盤から最終ラインを押しあげ、中盤のプレスを厳しくかけてきました。そのプレスは単に勤勉なだけでなく、瞬間のスピードが速いし、リーチも長いから多少のフェイントではかわせない(コンフェデで戦ったニュージーランドとは対照的)。日本の選手はかなり戸惑っているように見えました。それが徐々に日本の攻撃における積極性を奪っていった、そんな前半だったと思います。
 後半に入って一転、セネガルは最終ラインをベタベタに下げてきました。日本の攻撃が活性化したのはあくまでそのおかげで、ハーフタイムにジーコから有効な指示があったからとは思いません。でも落ちついてボールを持てるようになってチャンスは作れても、それを決められないんだよな……特に、柳沢。日本のファンだから許してくれるけど後半13分のドフリーでのシュートミスは、サンプドリアでやっちゃったらサポーターから見離されるから、肝に銘じること(笑)。実は、前半でもいちばんミスがめだってたし。
 内容的に一般論を言うなら、ナイジェリア戦に引きつづき大きなサイドチェンジが少なすぎることが不満ですね。で、弱気なバックパスと精度の低い(なかばヤケクソな?)縦パスが多すぎる。中田、中村がサイドに開くサッカーをやっているわりには効率が悪すぎるのでは。二人の動きに、後ろの選手がついてゆけていない可能性を感じます。
 ただサイドチェンジって点では、小野が入ってからだいぶ改善されましたけど――ってことは、コンディションさえ戻れば、やっぱり小野を使いたい。でも、その場合に下げるべきはどうやら遠藤ではなく、稲本なのかもしれない。いまの稲本が機能していない、とはかならずしも言いません。でも、シドニー五輪代表立ちあげのころぼくが彼に感じた最大の魅力「中盤の底でのボール奪取力」と「中盤の底からの正確なロングパス」が、いまの彼からはほとんど感じられないんですよね。ただひたすらゴール前まで行ってシュートを撃とう、としているだけのような。いや、それならそれでもいいんだけど、だったら終盤の2回のシュートチャンスのどっちかは決めようよ、稲本(笑)。

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 ふうん。
 スポーツ紙に「ジーコでだいじょうぶなの?」ってなニュアンスが若干見られるものの、マスコミがにわかにジーコ批判を煽るような展開はどうやらなさそうですね、よかったよかった。いや、かなり強硬に欧州組を招集した節があったものだから、「よっぽど結果が欲しいんだな」と見られかねず、それで結果を出せなかったら理不尽なバッシング――なんて展開を心配していたんですよ。セネガルは決して「勝って当然」な相手じゃないのにね。

 井上康生(柔道世界選手権・男子100キロ級日本代表)はやっぱり強いですね。素人眼にも「こりゃ負ける気がしないな」と見えました。あの重量級にしてあのスピード、ってのは凄いなあ。
 それにしても、テレビ朝日が世界水泳で「北島康介が世界新記録を出すこと」を、またTBSが世界陸上で「末続慎吾がメダルを獲ること」を確実に計算に入れられたかというと、たぶん答えは否でしょう。対して「井上康生がオール一本勝ちで金メダル」ははるかに確率が高かったわけで、さらに言えばYAWARAちゃんも控えているわけで、後発のフジテレビとしてはおいしい放送ソフトにありついたなあ、と思ってしまいます。うう、下司のかんぐりでしょうか(笑)。

 まあいずれにしてもこの3局、夜のスポーツニュースを放送権独占した大会の話題で塗りつぶすのは何とかしてほしいものだ、とは思いますが。

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 Jリーグのセレッソ大阪−京都パープルサンガは、日本代表FWどうしの撃ちあいになったらしく、京都の黒部がハットトリックを決め、セレッソの大久保も2ゴールを挙げたんだけど(これで3試合連続で2得点です)、結局3−2で京都が勝ったんだそうな。
 むむむ、基本的には日本代表選手がしっかりJリーグで活躍するのは好ましいことだと思うんですが、いかにもタイミングがなあ……はっきり言ってセネガル戦でほとんど何もできなかったこの二人が直後にこんなに活躍しちゃ、「ああ、やっぱりJリーグは世界的に見たらレヴェルが低いんだな」と印象づけられてしまう怖れはないんでしょうか? 特に、論理的に考える習慣のある人にすれば(笑)。
 いや、その認識自体は決してまちがってはいない。世界的に見たら、Jリーグのレヴェルはそのとおり、まだまだ低いと思います。でも、それが「だからわざわざ観るだけの価値なし」という判断に結びつくのはまずいと思うわけで……ああ、どうすればいいんだろう?
 だから、代表以外の選手たちにもほんとうにがんばってもらわないと困る、なんて考えてしまうわけです。「セネガル相手のときほどではないにしろ、黒部も大久保も、JリーグのDF相手にこれくらいは苦労してるんだよ」と、ひいては「だからJリーグもそれなりに楽しめるのよ」と、思わせてくれなくちゃ。

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 最近のプロ野球には、ヴェテラン選手の引退を商売に利用しようとする傾向がはっきり見てとれて、それは正直に言うと不快です。読売の川相選手が引退するのは勝手ですが、それをこの時期に表明するのは――ぼくはこれっぽっちも阪神ファンではありませんが、これから優勝を決めようとしているチーム(その意味では福岡ダイエーも含みます)に対して失礼だと、もっと言うならほとんどいやがらせじゃないかと思うんですね。とにかく引退会見をおこなってしまって「川相選手最後の試合」の視聴率をとろう、としている日テレの思惑はあからさまだし。
 そう言えば5年前、横浜ベイスターズが38年ぶりに優勝したときも、これから優勝を決めようという終盤戦で広島に直接「大野投手の引退試合」を企画され、お人好しにも負けた、と見えたことがあったなあ(「わざと負けた」部分があったかどうかは知りませんけどね)。
 さらにそう言えば、横浜はおととしにもやられましたよね。そう、読売はおととしにもやってるんです。自分がすでに2位を事実上決めてるからって(首位のヤクルトの優勝はまだ決まってませんでした)、横浜を相手に「本拠地最終戦」を口実にして「退任する長嶋監督、東京ドームで最後のユニフォーム姿」、「槇原、斎藤、村田の引退試合」。Aクラス入りを争っていた横浜はこの試合にはしっかり勝ちましたが、最終回に出てきた槇原と斎藤にこれまたお人好しにも全員が三振していました。ぼくは思わず「……八百長?」とつぶやいてしまったものです。

 べつに、川相が現役最後の打席で放ったヒットの価値を貶めたいわけではありません。
 でも、むかしは引退試合と言えば、優勝が決したあとの消化試合か、さもなくば翌年春のオープン戦にやっていたものと記憶します。まだ優勝が決まっていない、つまり真剣勝負であるはずの公式戦でそれをやるのは、ひょっとしてファンをなめていることにならないのかな。こんなことをくり返していたら、日本のプロ野球は本気でやばいのではないでしょうか。

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 阪神タイガース、18年ぶりのセ・リーグ優勝おめでとうございます。

 一時は8月中に優勝が決まるかもなんて思ったものですが、しかしまあ異常気象のせいとはいえ「暑いさなか」に胴上げできたには変わりないんだから、よしとしましょうか。
 うん、確かに冷房を効かせながらプロ野球の優勝決定を見たのって、個人的に初体験かな。

 それにしても、最後まで横浜ベイスターズにアシストされましたねえ……って、横浜は本拠地での入場料収入でずいぶん阪神人気に恩恵を受けてるんですから、タイガースが負い目を感じる必要はないと思いますが。

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 光文社のS木さんが新刊を送ってくださいました。
 まず、今月のカッパ・ノベルスから司城志朗『街でいちばんの探偵』。書きおろしの私立探偵ものですね。帯に「見ているだけで泣けてくる。そんな少女に、探偵は出会った。」とあるのがそそります。主人公は「腕っぷしだけはいちばんの、戦車みたいな探偵」だそうですが、立ち向かうのは「縺れて絡んだ謎の糸」とか。
 それから、四六判ソフトカバーの戸梶圭太『トカジャクソン』。これまで『小説宝石』を中心として発表された短篇を集めたものですが、造本が凝ってるなあ(ビジュアル面でも戸梶さんみずから製作総指揮をとり、イラストや写真撮影も一部担当)。パワフルな内容とあいまって、これは話題になるのでは。

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 森博嗣『四季 春』(講談社ノベルス)読了。
 本来なら4部作が出そろってから評価されるべきなんでしょうが、ノベルスの1冊として出版されたこともまちがいないし、ひととおりの覚え書きをしておいても問題はないでしょう。

 とても知的でスマートな小説だと思います。たとえ天才の人格を創造しえたとしても、小説の場合、その天才の視点で語るわけにはゆかない。それでは天才の思考法に読者がついてゆけるはずもなく、ちんぷんかんぷんな読書経験になってしまうはず。だからこの作品も、天才・真賀田四季が視点人物になったり、ましてや1人称で語ったりすることは基本的にありえません。きっと過去の森作品でもそういったシーンは皆無でしょうね(例外にお気づきのかたがいれば、お教えいただけると幸いです)。
 そこで、できるだけ彼女の近くに位置しうるキャラクターを登場させ、その人物にひたすら四季を見つめさせ、そして語らせる。この作品は、そういう「僕」の1人称で成立しています。そこらへんの処理が非常にデリケートで、巧妙だと思います。
(以下、全面的にネタバレ。未読のかたは反転なさらないように)この作品の最も基本的な仕掛けとして、語り手の「僕」がひそかに複数存在するということが挙げられます。まず、各章とも奇数節の「僕」(つねに四季と行動をともにしている=実は四季のなかの別人格)と偶数節の「僕」(四季がわざわざ会いにくる)は別人。まあこれは、ほとんどの読者が序盤から「あれ?」と思うところでしょうね。「其志雄」という名前が出てくるだけで、わかる人にはわかってしまうわけだし。
 さらに、偶数節の「僕」がまた単一ではありません。複数の人格のうちどちらなのか、深読みすればどちらともとれそうな微妙な書きかたがされている箇所がいくつかあります。これはフーダニットとも絡んでくるわけで……

 いえ、決してネタを割りたいがためにこんなことを書いているのではありません。むしろ言いたいのはその先。この作品は、いま四季を見つめ彼女について語っているのがどの「僕」なのか、それを考えながら読むとなお楽しめる、ということです。実はそうしてこそ、「誰から見ても超越的な存在だけれども、それでもなお視点によってかすかな変貌をとげる四季」のほんとうの天才ぶりを読みとれるのではないか……妄想かな?(笑)
(ここまで)

 けっこうアグレッシヴな読みを要求する作品だと思うし、その意味で実は「本格」度は高いんじゃないでしょうか。次作以降が楽しみです。

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 鳥飼否宇『本格的 死人と狂人たち』(原書房ミステリー・リーグ)読了。
 これは、「本格推理小説」そのものとしてより、むしろ「本格」のパロディとして読んだほうが実りが多いような気がします。タイトルにこめられた意味も、そのあたりに見出せるのでは。では、何に向けられたパロディなのか。答えはたぶん、「本格」における推理の恣意性や非論理性だと思います。鳥飼さんが「論理」に淫することのできる書き手だということは、傑作『非在』で証明されてますしね(むむ、これまた後期クイーン問題への一つの対応例なのか? その意味では、先日とりあげた乾くるみ『林真紅郎と五つの謎』と読みくらべてみるのも一興かも)。
「本格」において、探偵役がひとわたり推理を開陳して事件の真相を看破する。でも冷静に読んでみると、その推理は決して「非の打ちどころのないロジック」などではないし(論理的に飛躍していたり短絡していたり)、「これ以外にありえない唯一の真実」を指し示してもいない(ほかにも説明のしようがあったり、その推理から別解を導くことが可能だったり)――これは、決して例外的な事象ではないでしょう。この作品はそういった側面を逆手にとり、飛躍や恣意性をあえて誇張することで、「いやいや、だからこそ本格は魅力的なんだ」と語っているように感じました。
 さらには、それと重なりあうものとして、理系(とりあえずこの言葉を使っておきます)アカデミズムの実情をえがき出す(ひょっとしたら、鳥飼さんが書きたかったメインはこちらなのかもしれませんが)。科学を名乗りながら、推論の進めかたはけっこう恣意的。それをおこなう主体は、大学研究室という特殊な職域ならではの非常識きわまるキャラクター。でも、この本はアカデミズムをしゃれのめしているようで、結局はそれをつうじて「本格」の魅力の一端を浮かびあがらせている。ぼくはそんなふうに読んだのですが、はてさて。

「科学の発展は、論理の飛躍によってもたらされているのだ。ひとりの天才の頭脳に湧いて出た一瞬の閃きこそが、真理を言い当ててきた。事実をいくら積み重ねても、法則や定理というものはそこから論理的に導き出されるとは限らない。いやむしろ、データから理論を生み出す際に最も大切なのは、飛躍だとすら言ってもよい」(増田米尊・綾鹿科学大学大学院数理学研究科助教授)

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 野球の日本代表発表。11月のアテネ五輪予選のメンバーです。
 ちょっと前に発表された候補メンバーから、ずいぶん辞退者が出た模様(大阪近鉄の中村紀、福岡ダイエーの井口、松中はすでに報じられていましたが、ここへ来て阪神の井川、矢野、今岡も)。井川の辞退で、左の先発が和田(福岡ダイエー)1枚というのは対戦相手も対応しやすいだろうし、ちょっと不安では。
 あと、これは言ってもしかたありませんが全体にいまいち小粒というか、あまり強力打線を組める気がしない。松中は言うに及ばず、セカンドの今岡と井口がそろって辞退というのも痛かったかな。高橋由(読売)、福留(中日)、小笠原(日本ハム)の左打線に和田(西武)、城島(福岡ダイエー)をどう絡めるかがポイントになるのでしょうか。いずれにせよ、本来の長嶋茂雄カラーとはいささか異質な人選かも、という気がしますね。

 サッカーの日本代表も発表。10月前半のチュニジア・ルーマニア遠征のメンバーです。
「欧州組を全員招集」というのはジーコ監督の本意ではない(=サッカー協会の意向?)なんて報道もありましたが、試合に出られていない選手もいるので当然でしょうね。結局、故障の戸田(トットナム)を除く10人が入りましたが。
 あと、ナビスコカップ準決勝(10月8日に試合あり)の出場チームからは招集しないという噂もあったのですが、山田暢、坪井(浦和)とアレックス(清水)はメンバー入り。とはいえチュニジア戦にはまにあわないし、ルーマニア戦にしても国内で試合した3日後に出られるのかとなるとハードなわけで、そうなるとサイドバックが手薄だなあ。いえ、もちろん加地(FC東京)と三浦(東京V)には期待しますけどね。この際、「所属チームでのポジションと異なる起用はしない」がジーコの基本方針なのは承知で言いますが、絶好調の山田卓(東京V)を右サイドバックで試してほしいところ。

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 福岡ダイエーホークス、3年ぶりのパ・リーグ優勝おめでとうございます。

 主砲・小久保抜きのシーズンで、全球団に勝ち越しての完全優勝には感心するばかり。層の厚い攻撃陣といい、若手の先発がそろった投手陣といい、かなりの充実ぶりと評価するべきだと思います。ここのところパは西武、大阪近鉄とともに「3強」と言われてきましたが、ちょっと抜け出したのではないかな。しばらくは時代を築くかもしれませんね。

 心配なのは、いつまで「ダイエー」を名乗れるかということでしょうか。




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