2005.2

↓時間軸





 高校野球、春のセンバツの出場校が決定
 予想していなかっただけに驚いたんですが、慶應が45年ぶりに選ばれたとか。おめでとうございます。古豪ですけど最近また強くなってきて、とうとう甲子園ですか、がんばってください。
 全国的にはあまり知られていないと思いますが、「慶應義塾」という高校は東京ではなく神奈川にあるんですよ。三田ではなくて、横浜市の日吉です。横浜生まれの人間には、これ常識。あ、ちなみにぼくはOBではありません。
 高校野球の神奈川予選とかたまにTVで見ると、慶應って丸刈りの選手がいないのに(みんなかなり長髪)そこそこ強いんですよね。そういう点で、10年くらい前からずいぶん注目されていたと思います。今年はバッテリーがなかなか強力みたいなので、ひょっとして甲子園で勝ち進む可能性も?

 ドラマの「H2」(TBS系)を観て「どうして高校球児の髪がこんなに長い?」なんてつい思っちゃいましたが(あだち充のマンガなら気にならないけど、実写だとね)、でも現実世界で慶應が活躍すると一気に違和感が消えたりして。

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 講談社ノベルスの新刊見本をいただきました。いつもありがとうございます。

 赤川次郎『三姉妹、ふしぎな旅日記――三姉妹探偵団20』は、何とタイムトラベルもの。舞台はナチスドイツ。
 田中啓文『天岩屋戸(あめのいわやど)の研究――私立伝奇学園高等学校民俗学研究会』は、シリーズ第3作にして最終巻。

 さて、ここからはメフィスト賞受賞者(というよりファウスト組?)がずらり勢ぞろい。それぞれ、満を持しての発表という感じです。
 浦賀和宏『松浦純菜の静かな世界』。前作『透明人間』からは1年以上になるのかな? 被害者が身体の一部を持ち去られる、連続女子高生殺人事件。
 佐藤友哉『鏡姉妹の飛ぶ教室――〈鏡家サーガ〉例外編』は、講談社BOOK倶楽部でWEB連載したもののノベルス化ですが、『クリスマス・テロル』以来2年半ぶり待望の刊行。
 西尾維新『ネコソギラジカル(上)――十三階段』。《戯言シリーズ》約1年半ぶりで、シリーズ最終章となる3部作の1冊め。登場人物表が60人以上ってのが圧巻です。
 北山猛邦『『ギロチン城』殺人事件』。あの傑作『『アリス・ミラー城』殺人事件』からは2年近くになりますね。密室に残されていたのは斬首死体と伝説のロシア人形……

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 サッカー話。
 ホームの北朝鮮戦に向けて、日本代表メンバーが発表されました。……へえ。
 稲本(カーディフ)が選ばれなかったのは、けっこう意外。ボランチに関しては、頼みの福西がコンディション不良だと思うし、中田浩も「欧州組」になってしまってマルセイユ帰りの疲れが抜けてないし、阿部を一人前にすることにも短期的には失敗したし……遠藤と稲本をひさびさに組ませるかなと思ったんですけど。
 高原(ハンブルガー)招集は、まあ妥当とは思いながらも、実は稲本より必然性がないような。だってその気になれば、玉田も鈴木も結果を出しているんだからその二人でやれちゃうのでは?
 ただ、中村(レジーナ)に関しては異論の余地なし。小笠原のあの程度の好調ぶりでは、同じ土俵にのぼったとも言えないでしょう。「司令塔はどっち?」とか煽るマスコミは笑止千万。もちろん帰国してからコンディションを確かめてみての話ですが、基本的には中村を外すなんて考えられない。
 万が一使えないくらい彼の体調が悪ければ小笠原が代役ということになるんだろうけど、そんなこと考えるまでもなく、ホームなんだからいっそ二人の併用というスタメンもありうる。とすれば最初から4バックか?(なら、センターバックは中澤と松田?) いやいや、中村と小笠原のどっちかがボランチってのもありえますぜ。あれ? だから稲本はいらなかったのか? 謎が謎を呼ぶ(<不謹慎ですね)。
 とにかく、もっと柔軟に考えなくっちゃ。

 これまたサッカー話。
 金曜夜の『すぽると!』(フジテレビ系)で、フローラン・ダバディがフィリップ・トルシエに国際電話インタヴューをしてました。……え? 二人とも誰のことだかわからない? まあそうおっしゃらず。
 話の内容はどうでもいいとして(トルシエは「日本サッカーのことはいまでも注目している」とか「北朝鮮戦は問題ない」とか「まちがいなくアジア予選は突破する」とか言ってましたが)、衝撃的だったのはトルシエが「ミナサン、コンバンハ」だの「ワタシハとるしえカントクデス」だの「ガンバッテクダサイ」だの、べらべらと日本語をしゃべったこと。
 日本代表監督をやっていた当時は、「もう4年も日本に住んでいるのに、どうして?」と言われるくらい徹頭徹尾日本語をしゃべらなかった彼ですが、実はちゃんとおぼえていたんですね。にもかかわらずしゃべろうとしなかったのは、選手たちへの圧力のつもりだったのか、日本メディアへの抵抗だったのか。
 いずれにせよ、何だか心暖まる思いがしました。かわいいなトルシエ。ダバディはやっぱりトルシエのよりどころだったのかな。
 でも、トルシエ以上に日本を強くしつつあるのはジーコだぞ(とりあえず)。

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 萩原健一が恐喝未遂容疑で逮捕
 いえ、この事件に関して正確詳細な情報は入手すべくもないし、コメントはとくにないんですけど。ただ、一つだけ連想したこと。
「確かに電話はしたけど恐喝の意図はいっさいなかった」と容疑者ががんばっても、電話を受けた側が「脅されたと感じた」というならば、恐喝罪は成立する可能性がある。あれ? 似たような図式を最近どこかで見たような……

 ああ、そうそう。自民党の有力議員によるNHKへの「政治介入」ですね。最終的には「された側」が「されてない」と証言しているので深刻な問題になっていませんが(そこに、実は最大の問題があるような)、すくなくとも「自分にそんな意図はなかった」というだけの根拠で「圧力でも介入でもない」と言いつのろうとした議員たちの発言は、失礼ながら(<どっちにとって?)ショーケン並みにナイーヴ(てか、低レヴェル)にすぎるかと。
 かつて「性差別」や「セクハラ」をめぐって、「そんなつもりはなかった」という主張が「相手側はそう感じたのだ」という事実のみから断罪される場面は実に多かったと思います。自分がどういう意図だったかとは関係なく、相手の「感じかた」で罪になってしまう、そんな局面が確実にあるわけです。
 いまどきの大人なら多くを学んでいて当然なのに、そのへんはまったく無知なんですかねーあのかたがたは。

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 いよいよ、サッカーの日本−北朝鮮。
 この試合に限ったことではなく去年からずっと続いているわけですが――テレ朝の「絶対に負けられない戦いが」うんぬんというキャンペーンスローガンは、この試合に関しては的外れですね。どうしてそんなに非論理的なのか。
 この試合は「負けられない」のではなく「勝たねばならない」んです。
 単に「負けられない」のなら「負け」でなければいい、つまり「引き分け」でもいいことになる。でも、グループ最弱チームとのホームゲームが「引き分け」じゃやばいことは自明ですね。「勝ち」じゃなきゃいけない。要するに、サッカーには「勝ち」「引き分け」「負け」という三つの結果があることを論理的に捉えていないことになる。
 その結果、煽っているつもりで、実情より甘い内容しか訴えていないわけです。「勝つ」より「負けない」のほうが日本語表現として悲愴感をかもし出すという事情はもちろんわかりますけど、論理的ではありません。情緒に流れている、あるいは人々を情緒に流そうとしている何よりの証拠ですね。ちゃんと報道してくださいな(にっこり)。

 いずれにしても、マスコミ騒ぎすぎ。
 むしろバーレーンとイランの試合、しっかり情報を伝えていただきたいものです。

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 サッカーW杯アジア最終予選、日本−北朝鮮

 うがー、こんな心臓に悪い試合は勘弁してくださいな。劇的ならいいってもんじゃありませんぜ。
 あらゆるマスコミ&解説者が「北朝鮮は引いてくるはず」と言ってましたが、大外れ。やっぱり前から前から寄せてきました。おかげでひとたび抜くとファウルがもらえて、小笠原がフリーキックで先制点をあげたわけですが。いや、あれはスーパーなゴールでした。おみごと。
 ところが、あまりにあっさりと点をとれたせいで、「ジーコジャパン2004」の最大の悪癖が出る。1点リードすると安心してしまうんですね。運動量でおくれをとり、時間が進むごとに内容的にも押されてゆく。個々の力量ではどう見てもまさっているのになあ。どうにも守備での寄せが甘すぎた。相手が弱ったときにたたみかけることさえできていれば、大差に持ちこむことすらありえたように思うんですが。
 あるいは、初戦ゆえの過緊張があったのかな? 玉田とアレックスは最初からあきらかにおかしかったし、福西も軽率なプレイがめだちましたよね。

 前半終了まぎわには、もはや内容は最悪。したがって、以後はジーコ采配を批判せざるをえません。「先発すべて国内組」は、一つの選択として受け入れましょう。でもその根拠だったはずの「連携」は、前半であれだけパスミスが多くてはもはや崩壊と言うほかなかった。ならば、後半開始から高原と中村を入れるべきではありませんでしたかね。
 高原を入れるにあたって、あんなに判断ミスをくりかえしていた玉田ではなく鈴木を引っこめたのにも驚きました。「軸」と言いながら、ジーコは鈴木を攻撃要員とは見なしていないのかな?
 とにかく、高原と中村を入れたらボールの落ちつきどころが増えて日本がペースを取り戻せた。このことは明白ですから、1失点は判断が遅れたジーコの責任と言わざるをえませんね。
 最終的には、大黒の起用が大ヒット。ただ、クリーンゴールとは言いがたいので(たぶん当たりそこね)、結果オーライというかラッキーというか。

 でも「結果がすべて」という観点からは文句なしの成果だし、何よりジーコは発展途上の監督だし。ま、よしとしましょう。ただ、次からは本来の「天才にしかできない選考」を取り戻してほしいところ。

 それから、北朝鮮代表について。強かったとは思いませんけど、戦う姿勢はすばらしかった。レフェリーの質の低さにも助けられてましたが(ディレイチャージをずいぶん見逃してもらった)、よくがんばったと思います。

 ああ、最後に。松木安太郎が「いいボールだ!」と叫ぶと、もはや反射的に「どうせ点は入らないな……」と思ってしまうんですけど、何とかならないものでしょうか(笑)。

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 サッカーW杯アジア最終予選、バーレーンとイランは0−0
 う〜ん。アリ・ダエイとアジジはともかくとして(この二人がいまだに出てくるようならむしろラッキー)、マハダビキアだ(高原とHSVで同僚)アリ・カリミだ(04年のアジア最優秀選手)ハシェミアンだ(バイエルン・ミュンヘン所属)、さらにはカイザースラウテルンの10番ザンディだ(このたびドイツ代表を捨ててイラン代表に合流)と、攻撃のタレントばかり名前が聞こえてくるイランですが、アウェイに乗りこんでスコアレスドローがしっかりできるってことはディフェンスも侮れない。やっぱり強敵ですね。てか、日本や韓国より強いアジア最強国と見なすべきかも。
 次はこのイランとのアウェイ戦ですから、最も厳しい戦いになるのは自明。北朝鮮戦を観るかぎりで言えば、国内組じゃあ個の力のちがいで吹っ飛ばされそうです。欧州組を総動員して臨むべきじゃないでしょうか(幸い、欧州から見れば日本に帰ってくるよりずっと近いんだし)。
 中村(レジーナ)と小野(フェイエノールト)は言うまでもなく、高原(HSV)も稲本(カーディフ)も中田浩(マルセイユ)も大久保(マジョルカ)も、試合に出てさえいればもちろん中田英(フィオレンティーナ)も招集すべし。え、国内組のポジションがなくなる? しかたないじゃん、この際。あれ、柳沢(メッシーナ)ですって? ええと……

 さらに言うと、いちばん意識しなくてはいけない相手は実はバーレーンですよね。極論すれば、イランに負けても2位になればいいんですからここにさえ勝てばいい(もちろん1位になってほしいですけどもさ)。
 それにしてもバーレーンがイラン相手に0−0ってのはちょっと意外だな、こてこての撃ちあいばっか得意なチームって印象があったから(去年のアジアカップでしか知りませんが)。でも、きっちり勝ち点1とってる事実を軽く見るわけにはいかないなあ。ここもやっぱり強い。ほんとうに気を引き締めないといけません。

 あと、よけいなおせっかいだけど、北朝鮮。ボールがなくなってから足を引っかけたり、足の裏から突撃したり、あんなことアウェイでやっちゃいけません。日本戦ではなぜか見逃してもらえたけど、中東であれをやったらそれこそあっというまに一人、二人と退場者が出るぞ。
 つまりは北朝鮮がイランやバーレーンから勝ち点を奪ってくれることはたぶん期待しないほうがいい、って話。

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 今回NHKが引き起こしたラグビー生中継騒動には、あいた口がふさがりません。
 こんなことやったら世間に批判されて致命的なダメージになると民間企業ならあらかじめ考えるはずですし、あいかわらずの親方日の丸体質が露呈されたと言うほかないですね。ますます受信料支払い拒否が増えそう……それとも、このままだったら、朝日新聞社が主催する夏の高校野球(確か甲子園球場の外野フェンスに「朝日新聞社」の文字がでかでかと出るはず)も、ひょっとしたらNHKは中継をやめるんでしょうか?(笑)
 ああ、いっぽうで。朝日のほうもここで意地を張らずに「ラグビーというスポーツの発展のために」と譲歩したら(審判のジャージからロゴを外すのを認めたら)、この「ケンカ」においてイメージ戦略的には圧倒的に優位に立てるはず。てか、そうしなかったら少々おとなげない気もしますが。あ、そうですか。
 要するに、どっちも「たかがスポーツ」って思ってるんでしょうかね。

 TVのクイズ番組で、6人の芸能人に出された「常識」問題――「今シーズンから新規参入したプロ野球チームをフルネームで答えよ」。正解はもちろん「東北楽天ゴールデンイーグルス」ですが、みごとに全員がまちがってました。共通していたのは、頭に「東北」をつけていなかったこと。
 ほら。こういうことになるんですよ。依然として仙台だの東北だのに密着している印象がほとんどないんですから。いわゆる「後出しジャンケン」の禊ぎはまだ済んでない、ってことじゃないのかなあ。
 ただ一人「ライブドア」と答えたガッツ石松がいっそ潔かったくらい。
 まあ「楽天」「楽天」と何の疑問もなくその名前だけを安易に呼ぶマスコミも悪いんですけどね。「北海道日本ハム」とか「千葉ロッテ」とか呼ぶスポーツニュースはあっても、「東北楽天」「福岡ソフトバンク」と呼ばれた例は記憶にありません。いっつも「楽天」と「ソフトバンク」だけのような気が。そんなにIT産業が珍しいのかしら?

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 北山猛邦『『ギロチン城』殺人事件〜CUTTING END』(講談社ノベルス)読了。
 いつもいつもですが、同作品を読了していないかたは以下の反転部分を決して読まないよう、絶対にお願いします。

 しょっぱなから島田荘司色が漂い、次には綾辻行人色が漂う作品なんですが、すぐに北山猛邦色がすべてを覆ってしまうのでだいじょうぶです。やっぱり北山猛邦は化けていた。『『アリス・ミラー城』殺人事件』にはインパクトで負けるかもしれませんが、これも凄い作品です。いえ、リーダビリティに関しては、まちがいなく上がっていると思いますね。オススメ。

「スクウェア」を可能にする(反転)物理トリックは、事前に読めないこともありません。やっぱりそう来たか、という感じもする。そのかぎりで否定的にとらえることも不可能ではない作品なんだけど、でも、その上をゆく(反転)叙述トリックが仕掛けられているのは『アリス・ミラー城』と同じ。しかもこれ、きわめて実験的で大胆な仕掛けです。(反転)藍と悠(実に意味深なネーミング)の行動や発言の記述は、アンフェアすれすれ、いや、これはまさしくアンフェアなんじゃと思わないこともないけど、見かたによればぎりぎりセーフ。よくこんなことやろうとしたな、という意味で瞠目せざるをえません。「本格」の垣根を押しひろげている。ある意味では、「本格」の未来に対する見識を問われてしまっている気すらしました。
 そういう作品です。

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 浦賀和宏『松浦純菜の静かな世界』(講談社ノベルス)読了。

 おお、ひさびさにしっかり「本格」しているではないか、とちょっとうれしくなりました。タイトルも、ラストの1行も、「え? アレをもじったの?」と思わせますし(何だか、浦賀さんっぽくないような気がするのも確かですが)。
「連続無差別猟奇殺人」の処理も巧妙なら、死体から一部を切り取る目的のミスディレクションもおみごと。くわえて、(以下、念のため反転)時系列を切り刻んで入れ換えた(ここまで)叙述スタイルが、抜群の効果を挙げてると思います。前作『透明人間』にくらべたらちょっと軽量級かもしれませんけど、でも10代の鬱屈した内面をえがかせたら、やっぱり抜群にうまいなあ。ねらった効果から逆算したとおぼしきプロットの組み立てといい、技巧的にはかなりのものなんでは。

 ……で、ラストなんですが。冒頭に掲げられた坂本龍一の言葉(以下ネタバレ)に反して「復讐」の概念から逃れられない主人公たち、というのはかなり救いがないですよね。そもそも、「なにかが欠けても、人は別のものでそれを補うことができる」という発想はまさしく犯人の誤りだったわけですが、すでに「なにかが欠けて」いる純菜はそこに救いを見出さざるをえない。対して剛士はそれを追認してあげたいんだけど、それでは妹がこのまま死んでもいいという態度にもつながってしまう。
《力》が特別なものか誰しも持つものかという点で二人がズレているのもたぶんそれゆえだし、読者からすれば「《力》って結局本人の思いこみじゃないの」と見えかねないのも皮肉。
(ここまで)そしてそれが実に浦賀さんらしくて、個人的に好みです。

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『季刊 島田荘司04』(原書房)に所収の、島田荘司「最後の一球」読了。

 いちおうトリックはあるものの正直言って小粒ですし、「21世紀本格」でもありませんし、そこにあんまり期待して読んだらしんどいでしょう。むしろ、ホームズ流の長篇(『バスカヴィル家の犬』を除く)に見られる、「犯人の動機を解明する長いサブエピソード」のおもしろさをこそ期待するべきです。
 そして、よっぽどの野球嫌いでないかぎり、その期待は外れないと思います。いやあ、どうしたってうまい。書き急ぎ感がないとは言わないし「お約束」といえば「お約束」ではあるものの、先が気になってほんとうに一気に読まされてしまう。すばらしい物語だと思います。そして、圧倒されるような盛りあがりです。終盤では、眼頭が熱くなるのを抑えられませんでした。『異邦の騎士』と同種の感動、悲壮で崇高な主人公のドラマがここにあります。
 ついでに言うと、『巨人の星』を連想したりしなくもありませんでしたけど。

 それにしても島田さん、めちゃめちゃ野球にくわしいじゃないですか。「カーヴだと手首のひねりが見えてしまう、フォークボールならごまかせる」だの、外角低めの速球をゴルフスイングで持っていくことの難しさだの、スカウトの実態だの。

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 TVドラマ『明智小五郎vs金田一耕助』(テレビ朝日系)視聴。
 明智が松岡昌宏、金田一が長瀬智也……あらら、大胆な企画だこと(笑)。江戸川乱歩も横溝正史もぼくは決してよい読者ではないので、むしろTOKIOドラマとして観ました。そのかぎりで、楽しめましたよ。冒頭の密室トリックも、フーダニットとからめてけっこう盲点をついてましたし。
 まあ、あえて現代を舞台にしたとはいっても、明智が「プロファイリング」をするとか金田一が「ストーカー」なんて言葉を口にするとか、違和感はぶっとび級でしたが。熱心なファンのなかには、怒った人もいるのではないかしら。最後のクレジットに「原作とは関係ありません」ってしっかり出てましたけどね。
 あと思ったんですが、「コバヤシくんって下の名前か?」というネタ(意味不明というかたは読み流してください、ネタバラシはしたくないので)から察するに、脚本家は相当のミステリー通ではないかいな……と思ったら、深沢正樹さんってまさしく『金田一少年の事件簿』実写版(日本テレビ系)を手がけたかたなんですね。ほかにも『はみだし刑事情熱系』とか『科捜研の女』とか『相棒』とか(いずれもテレビ朝日系)。
 ただし、最後に「(以下ネタバレ)怪人二十面相(ここまで)」をほのめかしたのは、ちょっと。もし犯人がそうだったら、あんなに人を殺しませんって。


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