2005.10
↓時間軸
どうにかこうにか、探偵小説研究会・編『2007本格ミステリ・ベスト10』の特別企画への投票を発送しました。1996年1月から2005年10月までのほぼ10年間に刊行された作品のなかからベストを選ぶというもの。『本格ベスト』が始まって10周年の記念企画です。
いやあ、この投票は難しかった。
10年のスパンでベストを選ぶというのはいろんなことを考慮しないといけないのでただでさえ難しいうえ、ぼくの場合は個人的に、2000年に小説家デビューしたという事情があります。つまり、「アマチュアとして読んだ」作品と、「はばかりながら同業者として読んだ」作品とがほぼ半々になるわけで。微妙な意識のちがいが忍びこんでいるかもしれず、それを再意識化してでこぼこを均す作業も必要だったり。
何に投票したかはもちろんナイショ。『本格ベスト』を見てのお楽しみですが、何やら「メタ」系が多くなってしまったかも……?
おっと、1か月後には本来の「この1年のベスト」投票も待っている。心せねば。とはいえ今年の場合、何に投票してよいのか、現時点ではさっぱりわかっておりません。たいへん。
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サッカー、日本−ガーナ。
ガーナはもちろん強豪ですが、この時期にエッシェン(チェルシー)やアピア(フェネルバチェ)が来るわけないよと思っていたら、来てしまいましたね。でもそのせいで「ポジション奪取のため必死でやる」動機づけを持った選手は少なかったような。いきおい、チーム全体としても「手抜き」がめだった。最終ラインは高かったけど、それは日本をなめていただけのこと。チェック、プレスは甘々でした。何より、ドイツW杯で「1−0から2点めを取りにゆく」点でブラジルと並んで好印象を残した国が、この試合では1点取ったらすっかり守りに入ってましたから。
対する日本は、強豪相手とはいっても、ホームなのにびびりあがって5−4−1でべたべたに引いて守って、自陣でボールを奪ってもハーフラインを越えるのが容易でない。ガーナの守備が甘いからたまに縦パスは通るけど、攻撃のアイディア不足はいまさら言うまでもなく……
というわけで、何ともユルい試合。
内容面で見るべきところはほとんどなかった(というか、ホームでこんなディフェンシヴな試合をやった代表を、サポーターはもっと責めるべき)ことを確認したうえで言うなら、0−1という結果は上々ではないですかね。個の勝負ではほぼ全敗に近く、あれだけ相手に余裕を持たれた試合をよくぞ大差負けにしなかった、という一事で「健闘」とほめるべきでしょう。むしろ、いまの日本ならこてんぱんに蹴散らすくらいの試合運びをガーナには期待してたんですが。
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講談社ノベルスの新刊見本をいただきました。
西村京太郎『十津川警部 幻想の信州上田』は、『小説現代』に連載されていたものですね。
で、それ以外は、みなメフィスト賞作家。
浅暮三文『ポケットは犯罪のために 武蔵野クライムストーリー』は『メフィスト』に掲載されたものを中心とした――短篇集なのかな?
中島望『クラムボン殺し』は、著者いわく「初めてのミステリー」とか。題材は、見立て殺人。
高田崇史『QED〜ventus〜御霊将門』はQEDシリーズ第12弾。テーマはもちろん平将門。
矢野龍王『箱の中の天国と地獄』。密室と化した25階建ての極秘施設から脱出するため男女6人が繰り広げるサバイバルゲーム。お得意の設定ですね。
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プロ野球パリーグ、プレーオフ第2ステージ。北海道日本ハム優勝。
おめでとうございます。プレーオフ制度そのものに反対しているぼくとしては、ペナントレースを1位通過したファイターズがあっさり優勝して、ほんとうによかったと思います。
さてさて、きょうのファイターズ・八木とホークス・斉藤和巳の0−0の投手戦を観ていて思ったこと。
何やら、早実・斎藤と駒大苫小牧・田中の投げあいをつい思い出してしまったんですね。あ、もちろん早実が王監督経由でホークスであり、北海道の駒苫はファイターズなんですが。おっと、投手のタイプとしてはむしろ斉藤和巳が田中マーくんであり、八木が斎藤祐ちゃんでしょうから、その点では入れ替わってますね。だからこそファイターズが勝った、と。
そもそも早実が国体でまで勝ってしまったことで、WBC以来続いた「王貞治神話」は終わりを告げたのでは。野球の主役が王貞治から斎藤祐樹に、一時的に成り代わってしまったというか。そして、斉藤和巳と八木の投げあいならば、ハンカチ王子が乗り移るべきはむしろ八木だった……
根も葉もない非科学的言説で申しわけありません。
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サッカー、スコットランドプレミアリーグ、ダンディユナイテッド−セルティック。
中村俊輔がハットトリック達成。ヨーロッパの1部リーグでは日本人初の快挙。いやー、すばらしい。
1点め、2点めはゴール前の密集から離れるポジショニングのセンス、3点めは密集のなかでのテクニックの高さを証明してます。ほんとにゴール意識が高くなったもんだ。誇らしいですね。
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京極夏彦『邪魅の雫』(講談社ノベルス)読了。
いやあ、まいった。時事ネタ満載ではないですか。いきなり<ストーカーへの対処>で話が始まったかと思うと、<共謀罪>を連想させる部分もあり、<被害者感情と量刑の関係>や<家族殺し>が語られ、果ては<書評と向きあう小説家の姿勢>なんてことまで論じられる。いやもちろん論じるのは登場人物であり、作者・京極夏彦の考えがそのまま語られていると読むのは素朴にすぎるわけですが。それにしても、中禅寺秋彦の言う「小説書きと云うのは必ず書評家の先を(中略)行かなくてはいけない」(p.166)が正しければ、意表を突くくらいびしばしと今日的テーマを打ち出してくるこの『邪魅の雫』は、かっこよすぎますね。
何より、全篇を貫く<個人/世間/社会/世界>という多層理論(7章での中禅寺の講釈が最もわかりやすいですが)はそれ自体なかなか興味深いというのみならず、いわゆる<セカイ系>に対する京極さん流の評にもなっているような……(すみません深読みです)。
それにしても、「愚か者が次次に群れて、誰が一番愚か者か競っているようなものじゃないか」(p.543)というのがまったく正しくて、いろいろな登場人物がみんなおかしくてズレている。それがまさしくそれぞれの<世間>ということなんだろうけど、それが絡まり絡みあうというプロット構築は絶妙。
というわけでとても楽しめた小説でした。ミステリーとしてよくできている。ただ、これは「本格」なのかというと――難しいなあ。最初の『姑獲鳥の夏』以来というくらいに、京極堂シリーズのなかでも「本格」度が下がった作品なんじゃ? (以下ネタバレ)あまりにも重要な情報(里美なる人物の証言やら、大鷹の手紙の内容やら)が解決篇になってはじめて出てくるとか、3人称の地の文で嘘が書かれているとか、そういうことは無視するべきでない(「嘘つき」というのがこの小説の大きなテーマではあるんですが)。ただいっぽう、個々の殺人の下手人が誰か、というのはほとんど些末事だという位置づけもまた見逃せないでしょう。全体の構図こそが眼目だと考えるなら、「榎木津礼二郎自身の事件」であることはこれ見よがしに読者に示されているわけで、そういう意味では「難易度の低い本格」になるのかな?(笑)
いやいや、「祖父は人殺しの道具を作った」(p.621)と称する犯人に関しては、「石井四郎軍医中将」(p.338)の名からして強烈なミスディレクションが1章からすでに仕掛けられていることに、気づく読者はどれくらいいるんだろう?(ここまで)
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