「夏の名残の薔薇」/恩田陸/文藝春秋 <小説>
山奥のホテルを毎年、貸切にして開かれるパーティ。閉ざされた空間を舞台に、悪意と秘密が絡み合い…、と恩田ワールド全開といったところです。
解説には、クリスティの『バートラム・ホテルにて』 がひいてありましたが、私は「世にも奇妙な物語」 の一編を思い出しました(「時のないホテル」 だったかな)。
一章ごとに語り手を替え、筋書きも変調していく趣向は面白いけれど、五章も繰り返されるとちょっと飽きるなというのが正直なところでした。
次の語り手が誰か想像しながら読み進めていきましたが、最終章の語り手には物足りないものを感じた。それにこれでは桜子がつまらない女みたいだし…。
恩田作品ならもっと面白いはず、という期待がいけないのかな。でもグロテスクな描写があっても上品な印象なのは恩田作品ならではと思う。
せっかくなので『去年マリエンバートで』 を観てみましたが、確かに殺人劇の舞台にはお誂え向きなホテルでした(死体を隠す場所はなさそうだけど)。『花模様の迷路』(坂田靖子/早川文庫)のあとがきにこの映画の話があったと思う。
どうでもいいことですが、表紙の写真はトルコキキョウでしょうか。
(05/07/31) | |