「安曇野の白い庭」/丸山健二/新潮文庫 <エッセイ>
白バラの咲き乱れる美しい庭の写真に惹かれて手に取ったら、著者の無頼ぶりというか、気性の激しさに驚いてしまった。
「ピンクのボタンはなぜか眺めているだけでむかっ腹が立ち … 全部追い出してやった」り、奥さんの思い入れの深かった白樺を切り倒したり、と理想の庭を造るためには妥協はいっさいしない。
病害虫との闘いもハードだ。庭仕事をすれば分かるように、木や花の世話は、毎日毎日なにかを殺すことだ。雑草を引き抜き、混んだ草木を間引き、伸びた枝を剪定し、虫を殺す。一年中、美しいグリーンを保っているゴルフ場ではどれほどの農薬が使われているのか…。
地元の住民への舌鋒も鋭すぎるほどで、「ただ生きているだけの、往生際のわるい、甚だ醜悪な生物」だの「人間としての尊厳のかけらも見いだせな」いだの…。「老後の世話をさせることが第一の目的で子どもを作るような田舎」という形容もすごい。
私が読んでいて一番ぐさっときたのは、「情熱とセンスさえあれば、僅か一坪にも満たない土地に壮大な幽玄の世界を構築することだってできる」との箇所でした。隙間があれば野菜やらハーブやら植えてしまう私にはとうてい無理だ。
(05/05/14) | |