A/UX
Apple純正68k Macintosh用UNIX
2003/01/01 Update

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● A/UXとは?
A/UXは、Appleがかつて68k Macintosh用に開発・販売していたUNIXである。
A/UXはSystem V Release 2.2をベースにRelease 3/4やBSD 4.2/4.3等の機能を取り入れ、さらにMacintoshエミュレーション機能を追加したものであり、最初のバージョンは1988年にリリースされた。
対応機種は1993年リリースのv3.0.1で、II、IIx、IIcx、IIci、IIsi、IIfx、SE/30、Quadra 700/800/900/950、Centris 610/650となっており、Quadra 950をベースにA/UXをプリインストールしたサーバー機、Apple Workgroup Server 95も用意されていた。
当時の価格は795ドル(v3.0.1 CD-ROMおよび基本マニュアル)であった。
その後、A/UXのPower Macへの移植は行われず、1995年にリリースされたv3.1.1を最後に開発は終了している。
私は、数年前に雑誌の小さい記事でA/UXのことを知り興味を持ったものの、すでに販売されておらず、入手することができなかった。
その後も探していたのだが、最近ようやくオークションで入手することができた。

A/UX CD-ROM
余談1:1991年10月、IBMとAppleは「POWEROPEN」と呼ばれる次世代プラットホーム構想を発表した。
POWEROPEN環境は、IBM版UNIXであるAIXをベースにMacintoshのユーザーインターフェースを統合したもので、AIX、A/UX、Macintoshのアプリケーションがそのまま動作する予定であった。
残念ながらリリースされることなく計画中止となったため詳細は不明だが、実現していれば「PowerPC版A/UX」的なOSとなったことであろう。
・IBMプレスリリース(1991年10月)
● A/UXのインストール
UNIXのインストールと聞くと、少し面倒そうなイメージがあるが、A/UXのインストールは流石にApple純正OSらしくインストールFDで起動しGUIインストーラーの指示に従って操作するだけでよく、非常に簡単である。
パーティションの設定も自動で行われるため手間がかからない(手動での設定も可能)。
230MBのHDにインストールした場合、パーティションは以下のように設定された。
上記のように、約200MBがUNIXのrootおよびusr領域、約26MBがswap領域として確保された。最後の4MBのMac用パーティションは後述する起動用のパーティションである。
● A/UXの起動
もともとMacintoshはMac OS以外で起動することを考慮して設計されておらず、他のOSを起動するには起動時に何らかの工夫が必要であった。
(open firmwareを採用したPCI Mac以降では他OSを直接起動することも可能となった)
このため後のMkLinuxやBeOS等のOSでは、まずMac OSで起動して起動途中に他OSヘ切り換えて起動する手段をとっていた。
A/UXの場合も同様に、最初は前述のMac用パーティションからMac OSが起動するが、起動途中でA/UXに切り替えるのではなく、
一旦Mac OSが起動した後、「A/UX Startup」というアプリケーションが自動的に起動(Startup Itemsフォルダにエイリアスが入っている)し、A/UXを起動するという手順をとっている。

A/UX起動中の画面
● ログイン
デフォルトの設定では、rootアカウントで自動ログインする設定となっているが、ログインパネルを表示し、ユーザー名とパスワードを入力させることもできる。

A/UXのログインパネル
その他、ログイン画面ではセッションタイプを変更(後述)したり、ユーザーのパスワードを設定することもできる。
(ただし、ユーザーの追加はログイン後にコマンドラインから行う必要がある)
余談2:ログインパネルのAbout画面では、開発者のサインを見ることができる。

● A/UX Finderモード
A/UXでは複数の画面モードを選択できるが、デフォルトでは通常のMac OSに似た、A/UX Finderモードが使用される。
A/UX Finderモードのデスクトップは、一見すると起動ディスクが「/」で表示(Mac OS XをUFSパーティションにインストールした場合と同様)されていること、ユーザーのホームディレクトリへのエイリアスが置かれていること(一般ユーザーでログインした場合)を除いて、通常のMac OSとほとんど区別がつかない。

A/UX デスクトップ
しかし、細部を見ると、Specialメニューに「Logout」の項目があったり、Fileメニューの「Unix Permissions」でファイルのパーミッションを設定できる、ViewsコントロールパネルでUNIXの不可視ファイルの表示を設定できる等の違いがある。

Finderからファイルのパーミッションを設定可能

Viewsコントロールパネル
メモリ管理も異なっており、「About This Macintosh」の画面で内蔵メモリが24MB、合計メモリが16MBとなっているのは、搭載している実メモリが24MBで、そのうち16MBをMacintoshエミュレーション環境に割り当てていることを意味している。割り当てメモリ量はMemoryコントロールパネルで変更することができる。


Memoryコントロールパネル
こうした細かな点を除けば、通常のMac OSとほとんど変わるところはなく、Mac用アプリケーションも英語版System 7で動作するものであれば、ほとんどのアプリケーションが動作する。
なお、A/UXのMacintoshエミュレーションで使用されるMac OSは、英語版System 7.0.1をベースにA/UX専用に改良を加えた特殊なバージョンであり、残念ながら漢字Talk 7.1等に入れ替えることはできない。JLK(Japanese Langage Kit)も使用できないが、GomTalk(五明正史作のフリーウェア)を使用すれば日本語環境も使用できる。
A/UX Finderモードと通常のMac OSとの最大の違いは、Appleメニューに登録されている「CommandShell」というアプリケーションを起動することでUNIXコマンドライン環境が使用できることである。

CommandShellウィンドウ
また、UNIXコマンドやX11アプリケーションをFinderからダブルクリックで起動し、GUIでオプション等を指定して実行するといったこともできる。

GUIでX11アプリケーションのオプションを指定する
もちろん、ファイルの移動や削除といった操作は、mvやrm等のコマンドを使わなくともFinder上で他のフォルダやゴミ箱にドラッグしても良い。
余談3:現在でも使用されているAppleSingle、AppleDoubleといったファイルフォーマットは、もともとA/UX時代にMac OS環境とUnix環境でファイルをやりとりするために開発されたフォーマットである。
(参照:TidBits 445号)
● セッションタイプの切り換え
前述したように、ログイン画面ではセッションタイプの選択が可能である。
デフォルトのA/UX Finder(32ビット)モード以外に、コンソールモード、X11モード、およびA/UX Finder(24ビット)モードが選択できる。

セッションタイプ選択画面
A/UX Finder(24ビット)モードは、32ビットアドレッシングモードに非対応の古いMac用アプリケーションを使用するためのモードである。
コンソールモードとX11モードでは一般的なUnixと同様の画面となり、この場合Mac用アプリケーションは使用できない。

X11モードの画面
● MacX
A/UX FinderモードでX11アプリケーションを使用するには、付属のMacXというアプリケーションを使用する。
MacXはMac OS上で動作するXサーバーで、A/UX専用のソフトウェアというわけではなく、単体での販売も行われていた。

Macのマウスは1ボタンマウスだが、X11アプリケーションを使用する場合は3ボタンマウスが無いと何かと不便である。
A/UXで使用できるADB接続の3ボタンマウスは現在では入手困難だが、設定によりオプションキーやカーソルキーで代用することができる。

MacXを使うことで、A/UX Finder上でUnixコマンド、X11アプリケーション、Macアプリケーションを同一画面で透過的に実行することができ、非常に面白い。
● 最後に
A/UXは、Unix環境とMac OS環境の統合という意味ではMac OS Xに通じるものがあるが、両者の設計思想には明確な違いが見られる。
サーバーOSであるA/UXが「UnixとMac OSの共存」に重点を置いているのに対し、
クライアントOSであるMac OS XはベースとなっているUnix環境をできるだけ表に出さないように作られている。
これは両者のユーザー層を考えれば妥当なところであろう。
しかし、Mac OS Xはまだ不完全で、Unix環境を隠しきれていない。
例えばTerminal.appはデベロッパーツールに含まれる分には一向にかまわないが、標準でインストールされるべきものではないと思う。
異論もあるだろうが、個人的にはTerminal.appが不要になって、ようやく真の「Mac OS 10」(Mac OS 9の後継OS)と呼べるのではないかと思っている。
参考資料
・A/UX FAQ
・BSD Magazine No.10 「Darwinをハックする!」(アスキー)
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