久保田成長研究所
代表 : 久保田十司夫

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失われた10年の処理、最終ステップに突入です。損失を先送りしてきた企業にとっては痛みを伴う。日本経済がこれをものともせず、回復過程を持続できるか、も目を離せない領域になって来ました。冬から当局が発言を繰り返してきた日銀のゼロ金利解除に、東京株式市場の低迷が逆風として加わる。金融機関が抱えてきた不良債権の処理に株式市場が担ったその寄与は計り知れない。企業の財務、好調な株式市場での持ち株売却益に助けられた側面は無視出来ない。その株式市場の低迷、長引けば日本経済にとっては間違いなく逆風になりますよ。低迷している個人消費、株式市場で得た利益が消費を下支えしてきた領域も無視出来ない。これらの下支え要因を株式市場の低迷で日本経済は失いかねない。好調なIT革命による経済の牽引、これを引き出す過程でのステップとして力強い見方でした。財政は火の車、民間需要に移行してゆく待った無しの局面を迎えている日本経済、失われた10年の最終処理が後ろ髪を引く要因に間違いなくなっている。金融機関に加えて法人も多かれ少なかれ損失処理を先送りしてきた。その法人の此処に来ての経営破たんの発覚は株式の売り要因そのものです。経営が立て直せるなら、再建を株式に転換してその再建を後押しできる。経営が立て直せば、転換した株式が上昇してその債権を回収できる時が来る。経営破たんと言う方向は債権の法律に基づく強制的なカットを意味する。ここで経営再建に名乗りをあげた法人がその株式を買い取り、身軽になったその法人の価値を高めるために活動する。旧経営陣時代の債権と株式は損失を被るんですね。こう言う法人の株式が市場で売られるのは至極当然です。その法人に融資している金融機関の損失が更に増えると警戒されるには当たり前です。確定していた損失の穴埋めには株式市場での売却益が当てられていたから踏んだり蹴ったりの状況に突入するんです。日本経済には金融機関と法人がこの失われた10年でその損失を先送りしてきたつけを清算する、厳しい状況を乗り越えるだけの気構えが必要です。栄枯盛衰のパターンに陥らない構造変革を日本経済はしっかりとやり遂げなくては活けません。後ろ髪を引く領域に対して、機関車をしっかりと育てる。この機関車のパワーが推進力を生むんです。牽引車は来年の3月で経済成長、10年に達しようとするアメリカ経済がお手本になる。従来型から新しい労働市場に沢山の人たちがシフトしなくては活けません。この柔軟性も日本経済の活力のバロメーターです。同じ職場であってもIT機器を使いこなす。この能力の柔軟性がその組織の活力を生むんです。縮小してゆく市場にしがみ付いていても10年後は更にその市場が縮小していてその痛みは拡大してゆくだけなんですよ。拡大してゆく市場にしっかりと打って出る。栄枯盛衰のパターンに転落しないために必要不可欠な姿勢です。
2000.7.31

スローガン組織を盛んに戒めたのは1993年から1994年、二フティーのフォーラム発言ででした。昨日の、あるマスコミの社説では極端から極端へと言う表現で強烈に批判の対象になった。組織を動かす核が曖昧なんです、スローガンで従業員に動機付けを行う手法には。スローガンは毎年変わる。組織の構成員は毎年変わる方針に振り回される。組織が目指す方向など定まりません。集団の目的が定まらない分けです。同じところで堂堂巡りをしてる。スローガンの対象になった領域の仕事がし易くなる。外れた年には後退する。一進一退を繰り返しているだけで組織として進化してゆく事が無い。スローガン組織の結末です。進化することの無い組織は衰退するだけです。競争社会で脱落して行くだけです。多くの従業員と家族の生活、路頭に迷わせる結果を導く。組織には沢山の機能が埋め込まれている。この機能からたった一つをピックアップしてスローガンにする。組織としての全ての機能が円滑に転がるはず、無いですよ。社是に向かってそれぞれの従業員が行う仕事を完遂する。経営環境の変化を敏感に感じ取り経営者は従業員に達成すべき新しい領域を提示する。時代の変化に柔軟に適応して行けるようにそれぞれの従業員は普段から自己研鑽に努める。何時でも仕事に応用出来る様に自らを高めている。自分自身の守備範囲を常に拡大する努力を怠らない。社是がしっかりとしていればその集団が目指すところに向かってしっかりと進むパワーが合成されてゆく。経営環境の変化に機敏に対応出来る有能な人材が自己研鑽を行う従業員のなかから育ってくる。守備範囲が此処まで拡大する人材が時代の経営を担う。組織の中にある機能をピックアップしてスローガンを毎年作る程度の人材には出来ない技である。組織が既に持つ様々な機能に対して新たな動機を注ぎ込む。この能力が経営者の資質に必要でしょう。造れば売れる時代から、情報と知恵の時代にますます歩度を増す。適切なマネージメント能力が組織からパワーを引き出す。卓越したマネージメント能力はこの守備範囲とする集団の大きさを拡大できる。スローガン程度で導けるものでは有りません。極端から極端へこの指とまれ方式で組織を掻き回しているだけなのです。社是がある。組織と言う土台がある。目指す姿に向かってここから発生するベクトルが最大になる。ここに経営能力が存在するのです。毎年変えるスローガンで土台の中を掻き回していても軟弱に成るだけでしょう。その年のスローガンから外れた土台が崩壊してゆくだけでしょう。時代の変化に速やかに適応してゆく構造変革と土台の崩壊とは全然違う。進化と衰退、全く逆の方向である。スローガン程度のマネージメント能力では組織は衰退の方向にしかありませんよ。
2000.8.8

新生銀行がハザマの債権放棄に応じるようです。準大手ゼネコン、ハザマは取引銀行4行に対して1050億円の債権放棄を要請、新生銀行は150億円の債権放棄を受け入れる方向と報道されています。残りの300億円は第一勧銀と三菱信託が買い取る方向で合意に達しそうとの事です。日債銀に求めている債権放棄、40億円は現在交渉中でこれを除いて同意の方向が見えてきたそうです。先の原資に引き続き、同時に90億円の第三者割り当て増資を実施する。主要取引銀行、取引のある生損保、商社に引き受けを要請中とのことでした。事実上の債権の株式化と伝えられています。そごうの債権放棄の要請を受けた新生銀行、事実上、国にその債権の引取りを要請して、動議を醸した。今回は債権放棄に応じるとともに、残った債権をハザマの支援銀行に買い取って貰う方向で終止符を打つようです。日本経済に及ぼす影響として、ハードランディングよりソフトランディングを新生銀行としても選択したと言う事でしょう。もっと日本経済に勢いが出ていれば経営破たんと言うハードランディングも選択肢として選べたのかもしれない。日銀のセロ金利解除に反対する声が、経済界、政界から強烈の発信される。日本経済の回復力、今一の手応えからくる発言でしょう。
雪印乳業の7月の売上が対前月比で8割も落ち込んだと言う報道の次は、この9月中間決算期では経常損益、100億円の赤字と報道されました。製品の回収廃棄、販売店に対する補償に100億円の特別損失を計上して200億円の最終損益に落ち込むようです。悲惨ですよね。社内に蔓延したおごりが今回の悲劇を呼んだと社長が国会で発言したようです。ハザップ認定工場で生じた不祥事に、ハザップ審査委員が安全を宣言して工場の操業が再開される。消費者がこの事実をどのように受け止めているか、販売状況がその結果をフィードバックしてきます。一瞬にして失われた信頼の回復には、おごりから目覚めて、再び地道なブランドイメージの構築に邁進してゆくしかない。
そごうは西武百貨店が再建に乗り出す、日本企業主導で事が運んでいるようです。ヤオハンはジャスコ、長崎屋の時は外資の投資会社が名乗りをあげた。そごうも日本企業が主導です。西部百貨店とそごう、仕入れや流通で規模のメリットを追及する。再建カットを含む再建計画の成立と第三者割り当て増資がセットになってこちらも経営建て直しが進むんでしょうね。百貨店業界も一方ではインターネット販売にどんどん進出してきて新たな販路を開拓しなければ活けない。店頭販売のノウハウとネット販売のノウハウはやっぱり違う。試行錯誤、様々な実験を通じて1からネット販売のノウハウを構築してゆかなければ活けません。このノウハウを地道に蓄積してゆく企業はネット販売で何時しか波に乗れる。
2000.8.9

酷い醜態ですね、三菱自動車のクレーム隠し。今日の読売新聞の一面トップ記事のトップ見出しが”三菱自クレーム隠し30年”でした。1969年のリコール制度の発足直後から二重帳簿をスタートさせていたんだそうです。販売店からメーカーに上がってくる苦情情報を秘密と公開に分離して管理し始めた。運輸省の監査時には公開分だけを開示し、秘密分はひた隠しにした。その後、この分類に保留分が加わった。帳票の電算管理が進んだ折もこの二重帳簿化は継続された。ここで組織が在るべき姿にしっかり修正出来なかったのは痛いですね。運輸省が求めれば秘密や保留クレーム情報も開示しなくてはならない。ひた隠しを貫いたのは企業にとって痛いですね。今回、リコーリ等の処理として61万台を運輸省に三菱自動車は届け出た。非開示資料の発覚が切っ掛けで61万台が無償修理の対象になった。企業として恥ずかしい、しかも酷い話です。リコール隠しの発覚に対する懲罰が最大百万円の罰金しかない。この程度の罰金を支払うだけならリコール隠しをしたほうが得策と言う判断が働いていたのではないかと言う痛烈な批判さえぶつけられている。97年10月の富士重工業のリコール隠しの発覚、99年2月のダイハツのリコール届出の遅れと相次ぐ不祥事に業界の体質批判にまでエスカレートしている。業界の中で競争を勝ち抜く条件、手抜きは活けません。最高のものを最低のコストでタイムリーに供給できる。紛れも無い競争力ですよね。ユーザーから苦情が販売店に持ち込まれる。誠意を持って速やかに対応する。信頼感の醸成はここにある。その苦情に対して、走る、曲がる、止まる、発火、安全の領域はしっかりと水平展開する。企業の社会性の領域ですよ。企業として存在価値があるかどうかの領域でしょう。クレーム隠しなど言語道断、在っては成らない領域の話である。
2000.8.16

雪印乳業の食中毒問題は新たな展開に入ったようです。脱脂粉乳を製造した北海道の大樹工場のロットを使用した記録を食中毒を発生させた大阪工場が管理していなかった。大阪市の調査でこの大樹工場で生産した脱脂粉乳のロットから黄色ブドウ球菌が発する毒素が検出された。脱脂粉乳を水に溶かし低脂肪牛乳を製造する。高温殺菌する。黄色ブドウ球菌はここで殺菌される。毒素はこの工程を難なくすり抜ける。この毒素は製造検査工程でチェックされている。問題が発生すればそのロット全体が廃棄の対象になる。工程の考え方としてロット管理は衛生管理の基本でしょう。この基本がないがしろにされていたわけです。牛乳生産農家の乳牛がミルクを出す。この生産量は消費者の消費量変動にリンク出来ないのは明確です。生乳で消費者に牛乳を提供する。一度、脱脂粉乳に加工してから消費量にリンクさせて牛乳として出荷する。この生産手法は需要と供給の関係を上手に調整している。生乳と加工乳との差異はあるけど必要欠く事が出来ない生産と商品の関係でしょう。牧場に出向く。絞りたての牛乳に舌つづみを打つ。この魅力をスーパーでの買い物で得る。大量生産、大量消費の需要構造の中では無理な事と誰もが考えて居る事でしょう。脱脂粉乳を生産する工場は入荷する生乳生産の牧場に対して生産ロット管理を行う。脱脂粉乳生産工場もその生産ロットの管理を行う。脱脂粉乳を原料に牛乳を生産する工場も原料として使用した脱脂粉乳のロット管理を行うと共に、自らが生産した牛乳のロット管理を行う。生産管理の基本ですよ。雪印乳業大阪工場ではこのロット管理もずさんだった。生産工程、衛生管理の基本でしょう。
2000.8.20

日本メーカーの四輪車生産・販売実績  2000年 7月
  国内生産 国内販売 輸出 海外生産
トヨタ 296,570台 111.5% 161,972台 106.4% 147,767台 120.9% 123,838台 102.2%
日産 123,936台 92.3% 67,246台 81.4% 60,126台 97.6% 103,870台 148.4%
ホンダ 10,4870台 99.4% 64,683台 105.2% 41,328台 101.4% 87,458台 89.7%
三菱 92,237台 100.9% 53,292台 101.5% 44,406台 113.4% 71,840台 122.4%
マツダ 65,265台 93.6% 27,129台 92.1% 37,464台 85.4% 12,427台 81.4%

2000年上半期の実績はこちら

国内四輪車販売状況 2000年 8月
  登録車(自販連) 届出車(全軽自協)
トヨタ 102,239台 114.9%    
日産 40,853台 86.4%    
ホンダ 27,020台 105.7% 19,491台 97.6%
スズキ 2、463台 83.2% 29,717台 101.3%
三菱 16,769台 97.3% 14,676台 95.0%
ダイハツ 2,510台   32,717台 101.3%
マツダ 19,032台 105.5% 2、793台 86.4%
合計 243,088台 104.1% 119,697台 97.9%

1月から6月の実績はここにも

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