日本百名峠

 

日本百名山がいまだに流行っている。
ツアー登山や出版物も百名山一色である。
深田久弥氏もあの世で複雑な思いであろう。

NHKの放送が切っ掛けになったことは間違いないと思われる。
他にも、花の百名山や四国八十八ヵ所巡礼も流行っているようだ。
放送の力は恐ろしい。

日本百名峠が放送化されたら峠流行の時代が来るのだろうか。
観光バスやタクシーで乗りつけて峠を闊歩するのだろうか。
空恐ろしい状況である。

他に視線をそらすため、
日本百名高原、日本百名湿原、日本百名坂、日本百名トンネル
日本百名橋、日本百名滝、日本百名谷、日本百名湖、日本百名雪渓
日本百名岩壁、日本百名森、日本百名島、日本百名温泉、日本百名紅葉
日本百名踏み切り、日本百名交差点、日本百名歩道橋、日本百名公園
日本百名煙突・日本百名海峡・日本百名巨木・日本百名自然破壊
などなどを増産して峠への負担を軽減しなくてはいけないだろう。
(すでに一部のものは存在しているし、HPもある)

日本百名山の後、二百名山、三百名山とできたように、
二百峠、三百峠も日の目を見ることになるのだろうか。

ここで、深田久弥氏の言葉を紹介したい。

「人の真似をしないというのは、何でもないことのようだが、実行は難しい。          
流行は真似によって成り立つ。人々が真似をしなくなったら、商人は泣くだろう。       
それにしても商人の作り出す流行に、人々がバタバタとやられていく様はあまりにも不甲斐ない。
もう少し抵抗があってもよさそうなものだ。登山も同様である。               
服装、持参品、登り方やハッスルの仕方までみな見本がある。               
流行の山ができて、みんなそこへ押し寄せる。                       
人の後について行くのは易しいが、自分で道を切り開いて行くには努力がいる。        
真似によらず、独創的な山登りをする人が少なくなった。                  
登山は見せびらかしでもなければ、記録の樹立でもない。                  
 要は自分の精神の糧になるものを得てくればいい。」                 

                       『山岳遍歴』深田久弥 主婦の友社    

まさにおっしゃる通りで、登山だけでなく峠行にも当てはまるものだ。
自分だけの百名峠を作り上げればいいし、あるいは数にこだわることはない。
自分だけのテーマを持った峠行を築き上げればよいのだ。
石仏の微笑む峠の数々、眺望の良い峠の数々、富士の見える峠の数々
伝説の残る峠の数々、標高の高い峠の数々、人の名のついた峠の数々
植物の名のついた峠の数々、十国峠から何国見えるか とか
企画は無限に広がっているのである。

世間の流れに流されず、
静かに自分の山行・峠行を楽しみたいものである。