遭難してしまった峠行
三ッ沢峠・ヌケド峠・八坂峠・アンバ峠?・岩谷峠・四尾連峠・西肩峠・折門峠・栂ノ峠(=地蔵峠?)
| 一週間前に御坂峠から大石峠を歩いた際に、すっかり日の暮れた峠行の恐怖を味わっておきながら、 今回再び日没後に山の中に取り残されてしまい遭難未遂を起こしてしまいました。 未遂というより準遭難。天候悪化や怪我でもしていれば完全遭難につながったかも知れません。 |
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「沢」という集落に車を停めて歩き始めた時間は、 前回の学習効果も無くお昼過ぎの12時半。 ヨコグラの木(サワヤナギ)の群落地を示す看板を過ぎ、 三ッ沢橋、新田橋を過ぎると、 |
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村の守り神だろうか。 道祖神は塞の神というから、 村に悪いものが入り込むのを防いでいるのだろう。 石祠の正面には滝があり、辺りはマイナスイオンに包まれている。 三ッ沢峠へ至る山道の入口が分かりづらい。 杉の暗い植林地の中の道を行く。 |
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地図の破線よりも、だいぶ西側に流されているような気になるが、 辿っている道は明瞭につけられている。 大きな椎茸をつけたホダギを越えた所で一休み。 山の神のご加護を信じて植林の黒い林から、 歩く人もいないようで落ち葉が積もり腐葉土のような道だ。 |
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周辺がさらに明るくなってきた所で、 三方分山からの山道と合流する峠に出た。 今まで、歩んできた道が正しい峠道であったと分かり、 気分も明るくなる。 しかも峠は雰囲気もよく、まさに峠らしい峠である。 |
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四尾連湖と精進湖を結ぶメインの山道ははっきりしており、 よく踏まれている。 この先しばらくは素晴らしい楢林の黄葉の山道である。 葉を落としつつある木々の間から八坂の集落であろうか、 |
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しばらく進むと、ひときわ大きい八坂のミズナラの威風堂々とした雄姿。 根の周囲5.6m、高さ23.5m、樹齢450年別名をオオナラと呼ばれる。 450年も昔から峠道を行く人々を見てきたのだ。 さらに進むと、小沢にさしかかる。 よく踏まれた本道に誘われて、四尾連湖を指す標識に従うことにする。 |
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八坂の集落辺りからのびてくる道が交わる三叉路に、 人待ち顔の観音菩薩。 天保年間の刻印でかなりのご高齢。 さらに進むと折八古関林道に飛び出した。 やはり、先程の水場の分岐がヌケド峠への道だと悟り、 かすかな沢沿いのケモノ道を這い上がり、また林道を横切り、 |
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ヌケド峠は何も無い。 ただ風が吹き抜けるだけ。 釈迦ヶ岳とその南のトリノ山の鞍部。 仕事道のような頼りない道が反対側に続いている。 (身延町HPのコースガイドには「ヌケット峠」とある) 釈迦ヶ岳に向けて赤松林の急登をのぼる。 |
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釈迦ヶ岳は同じ名前が黒岳近くにもあるので、 こちらを飯田釈迦ヶ岳、あちらを黒駒釈迦ヶ岳と呼ぶらしい。 富士山と甲府市街の眺めを確保するため、 山頂から西に八坂峠に向けて境界尾根を辿る。 |
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突然前方が明るくなると、折八古関林道に飛び出す。 トラロープと即製丸太階段で林道に降り立つと、 そこには今仕事を終えた山作業の人々。 たった今まで登山道の整備をしていたとのこと。 「ここがヤサカ峠ですか?」と尋ねると、 しかし、どう見ても鞍部とは言い難く、 |
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「これからどこまで行くのか?」と尋ねられたので、 「アンバ峠の方まで」と答えると、「それはどこか?」と逆に聞かれる始末。 地元では有名ではないらしい。 現時刻15時20分。まだ明るいし、ヘッドランプも持っているので、 「ここから先の尾根道は整備されていないから気ぃつけてのぉ」の声に、 |
| ここで林道を下って、車を停めた沢集落に戻っていれば、遭難は免れたものの・・・。 林道に別れを告げ、釈迦ヶ岳と1161m峰との最低鞍部を目指して、植林帯を下る。 ここまで来たらアンバ峠までと、1161m峰をどう越えるか思案していると、北側に巻き道らしきものを発見。 1161m峰に直登を試みケモノ道を辿るも、あえなく撤退。 1161m峰らしき小広い突端に出たが、すでに日が落ちかかり早くアンバ峠に出なければと焦りつつ、 鞍部状の所には出たが、いかんせん地図に名の載るような峠とは思えない。 無論、標識の類もない。 (後で考えると、ここがアンバ峠としか思えない。 結局、八坂に下る峠道は見つからず、すでに1142m峰付近と思えるが、日没まで秒読み段階に入り、 日没まで明確な道を発見しようと焦るが、逆に深みに嵌まり現在地を全く見失い闇に包まれた。 もしくは南に向けて進路を取って地図上破線道に飛び出すことも考えたが、 ヤブ山の暗闇ほど不安になるものはない。 ヘッドランプは予備電池が2個あり明日の朝まで点け続けても持ちそうで、闇に発狂することもなさそうだ。 今は興奮して歩き続けているので暖かいが、日の出前の冷え込みは辛そうだ。 軍手は役に立った!実に暖かい。しかし、これも雨には弱い。 ヘッドランプの効能だが、道がはっきりした所であれば有効だが、ヤブ山では頗る頼りない光量である。 甲府の街の灯りがチラチラ見えるので、それに誘われてどうも北側の芦川側に流される。 道を探そうと闇雲にウロウロするが、リングワンデリングでぐるぐる廻っているようだ。 下界の灯が見えるこんな低山でビバークするのも悔しいので、 |
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なんとかして道らしきU字状の凹みを発見。 ジグザグらしき切りかえしもあり、人為的に作られたものと確信。 これでなんとかなると、車を停めた南側を目指すが道は消滅。 北側の芦川側に下る道しかわからない。 止むを得ず車に戻ることはあきらめ芦川の集落に下山することにする。 しかし、当初順調だった道も沢筋で崩壊して消えている。 |
| だんだんと、この道を作った人の気持を考え感情移入していき、自分なら道をこう作ると考えて、 闇に沈む峠道を探し拾って進む。 今までの登山経験も役に立ち、だんだんと道のあり方が想像つくようになってきた矢先、突然水量のある 沢に行く手を阻まれた。 前方に小突峰のシルエットが見えたので、 暗闇の中、足元に厳重に注意して沢を渡り植林とヤブの中を進むと、再び沢を渡ることになった時点で 地図上708m峰の西の分岐は岩谷峠と呼ばれる地で、蛾ヶ岳への登路が分岐している所だ。 時すでに22時。日没後5時間山中をさ迷っていたことになる。 もとより頼りなきローカルバス路線。この時刻に運行しているはずもない。 |
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車に戻ることはもはや叶わず、 明るくなるのを待ってどこかの峠を越えて南側に出ることも考えたが、 今の今までいた山中に再び戻るのも精神的にツライ。 折八古関林道や、まして本栖道を歩くは果てしない。 タクシーを呼ぶ金は惜しいし、ここは市川大門に出て精神的・体力的 に再起を計り、日の出とともに蛾ヶ岳を越えて折門峠・地蔵峠を 確認して停めた車に戻ることにした。 そうと決まれば、芦川沿いの道を市川大門に向けて歩くだけ。 山道に比べアスファルトの道は足裏が痛くなるが、 夜の街は静かで、シャッターの開いている店などない。 |
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翌朝5時前に、駅前に住むオバちゃんが無人駅である駅舎の清掃と 駅の住人黒猫のクロちゃんの世話にやって来た。 「昔は蛾ヶ岳登山の人で賑わったが、最近はめっきり減ってねぇー」と 嘆いていた。 掃除を終えてから、焼きたてのパンケーキとコーヒーを差し入れて くださいました。 感謝! 5時34分甲府行始発電車が到着する頃は周辺も明るくなり出発。 |
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途中、復元された烽火台や朽ちかけた東屋のある展望台があり、 甲府盆地が一望できる。 真正面に八ヶ岳も見事だ。 笛吹川とそれに合流する芦川の流れも素晴らしい。 この先は勾配も緩まり歩き易い道が続く。 峠には野沢一なる人物の文学碑がある。 四尾連峠から大畠山までは、幅広の林道のような道。 |
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大畠山からはハイキングにもってこいの道。 途中のヤセている尾根もおもしろい。 よく考えてつけられた道である。 樹間より四尾連湖が顔を出す。 午前中の山歩きは清々しく気持ちよい。 |
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西肩峠は蛾ヶ岳のまさに西の肩。 反対側に越す道もある。 峠の六地蔵に手を合わせ、ひと登りで蛾ヶ岳山頂に至る。 |
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南面は雲に隠れ気味の富士。 北西は四尾連湖の碧が良く見える。 その背後に南アルプスの連なり。 北岳・間ノ岳・農鳥・赤石・聖も見えているようだ。 八ヶ岳の八ツもくっきり見え、金峰山・甲武信岳の 秩父方面の眺望も見事な三等三角点の山頂だ。 山ノ神の石祠と金刀比羅宮の板碑がある。 |
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山頂からちょっと急な下降をすれば、あとは大平山までは、 ナラ林の快適な尾根道となり、たいした起伏もない。 芦川側の谷から選挙の街宣車の音が聞こえてくる。 折門峠の手前に、字の消えかけた立札がある。 |
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折門峠は地形図上の位置とは異なり、 大平山南の巻いている部分をいうらしい。 さらに南にのびる尾根を進むと山神峠に至ると思われる。 富士五湖観光協会のパンフによると、地形図上の他に林道上にも 各種登山ガイドブックでは地形図の位置で示しているものが多いが、 地形図上の峠は注意していないと通り過ぎてしまうほど頼りない |
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栂ノ峠と地蔵峠を別にしているガイドブックもあるが、【*1】 現地の看板には「栂ノ峠(地蔵峠)」と書かれてあった。 たしかに栂の根元に地蔵も置かれていたので同一なのかもしれない。 峠の案内板には、「御地蔵峠はつがん峠と呼ばれ折八区折門沢地内 ちなみに地形図上の位置はもう少し西の1094m地点と思われる。 この辺りの地図の破線が怪しく、1142峰に上がる道も、 |
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先程まで暑いくらいに晴れていた天気も、 八坂集落上の折八古関林道に出た所で 俄かに曇りはじめポツポツと降りだしてきた。 八坂から反木川に降りる道を歩こうかと思ったが、 林道は食い込みが深く、遥か西方の天狗岩のよく見える地点まで 大平山から派生している南尾根も通り越しているようなので、 国土地理院による更新修正が追いついていないようで、 2時間もの林道歩きで沢の集落に辿り着き、 教訓・・・トラブルは人間を強くする。 かな? |
【*1】 『続・中高年向きの山100コース』 山と渓谷社 浅野孝一著
【*2】 地形図の超最新版を見たところ、林道は全線記載されるに至りました。 ● 後日、再訪問して遭難理由を確認したレポートを見る ● 三度目の地蔵峠訪問レポートを見る |
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