山の番人達

(これは、動物学的にも生態学的にもいい加減なもので、空想のお話しです)

熊は山の番人です。
その存在が目にされ、あるいは耳にするだけで、
そこの山域に足を踏み入れるのをためらってしまう人もあります。

山の神様は、熊に類稀な運動能力とパワーを授け、
森の王者としての威厳まで与えました。
その代わりに、人間から山や森を守る番人としての役目を、
仰せつけたのかもしれません。

アブやブヨや蜂は、山の侵入者の頭の周りを
ブーンと羽音をたてて回りながら、
侵入者の人定をしているのかもしれません。
ブーンは特殊な超音波のようなもので、
侵入者の考え・性格を読み取り、
山の主に伝える斥候の役割を担っているのかもしれません。
攻撃命令が出されると、容赦なく刺したり、噛んだりするのです。

蜘蛛や蛇の出現、ヤスデやムカデの襲来
蛾やヒルやダニなどの醜き生き物達は、
懸命に、侵入者である人間に対してとりついて、
恐怖や不快感を煽り、侵入の意欲を減退させ、
山野での傍若無人の振る舞いを罰しているのです。
彼らは、醜き姿をその武器としているのです。

侵入者である人間に対しての攻撃ばかりでなく、
生き物は、それぞれ山や森で役目を担っているのです。
山を育てる番をしているのです。

鹿やカモシカは、多くの糞をして、山や森の土を肥沃にして、
食した以上の木々を育てることに一役買っています。

ホシガラスやリスは、ハイマツの実やドングリを、
集めて食べることを許されていますが、
その一部を、各地にばら撒き、土に埋める
植林作業に従事しています。

熊は、山を巡回して、みんながちゃんと働いているか、
悪い侵入者はいないかと見て回ります。

かつて、同様の役目を持ったオオカミは、
侵入者によって滅ぼされました。

さて、人間は単なる侵入者なのでしょうか。
かつては、同じ山や森の中で、
山の神様の見守る中で、
共存していたのではないでしょうか。

人間は山や森に対して、
何をしてきたのでしょうか
また、何をしようとしているのでしょうか、

そんなことを、想いながら峠に至る長いアスファルトの舗装路を
歩きました。