★ サンショウバラ 花咲く尾根

 梅雨の晴れ間、サンショウバラ満開情報を得て、
ワールドカップ観戦の睡眠不足もなんのその、静岡県境尾根の三国湯船山稜を歩いてきました。

【コース】

金時神社(10:50)・・・<仮称>千(仙)人尾根・・・不老山(12:20)・・・樹下の二人・・・湯船山・・・三日月山コース・・・金時神社(16:30)


金時公園

深夜のワールドカップ放送は体に悪い。
ハラハラするゲーム展開はさらに体調を悪くする。
眠い目をこすりながらも目覚めると外は梅雨の晴れ間。
チャンス到来!未だ見ぬサンショウバラを目にする機会が訪れた。

実は一週間ほど前にも訪れる機会を狙っていたのだが、
その日、三国山稜は深い霧に包まれていた。
雨具を持っていなかったその日は濡れ鼠になることを敬遠して
別の山域に逃避してしまったのだ。

まだ間に合うかサンショウバラ! 咲いててくれサンショウバラ!


遊歩道から尾根上に出る
送電鉄塔 明神線7号

金時公園に車を止めて、遊歩道の階段を登り尾根に出ます。
尾根上は林道が走り抜けています。
「不老山まで4.3K」の小山町設置の標識があります。

本来ならば二つ隣りの尾根である谷ヶ山経由の県境縦走尾根を
是非とも歩きたかったが、諸般の事情で通行止であるらしい。
通行止が解禁され、再び歩ける日が来るだろうか?
それとも第二東名高速道建設工事が始まり、
歩かぬままに尾根は破壊されてしまうのだろうか?

送電鉄塔明神線7号の脇を通り抜け、
中島貯水池からの林道が合流します。
なおも林道歩きは続き、送電鉄塔田代幹線338号をくぐります。


林道歩きから解放され山道へ

しばらく行くと岩田翁の設置した「林道の荒れを防ぐ」と
題した標識があり、ここでやっと林道歩きから解放されます。

本日の天気は梅雨の晴れ間のうす曇り。
三国湯船山稜の上部はややガスり気味の気配。
真夏の炎天下だったら林道歩きはさぞかし辛かったことだろう。

天候にも救われ快適、快適。
ワールドカップ観戦後遺症の睡魔にもなんとか打ち勝っている。


粉々になった標識

林道から離れ、植林帯の中の道を進むと、壊れた標識を発見。
老朽化して粉々になってしまったのか、
それとも故意に破壊されてしまったのかは定かではない。

標識の残骸には「風のかよふ道」の文字を見ることができる。
火照った体に植林地を吹き抜ける風が心地好い。
たしかにここは「風のかよふ道」。

送電鉄塔新秦野線8号をくぐり抜けると、
先程の林道が再び接合する「不老の千(仙)人広場」に到着。


不老仙人が迎えてくれる

「不老の霊泉」と題した標識をはじめ、幾つかの道標があるが、
老朽化のためなのか判読が難しくなっている。

「ここを不老の千(仙)人広場とします」の標識には、
不老仙人の微笑ましい絵が描かれていた。

不老仙人曰く、
「不老山に千回登んにゃ 仙人にはなれんぞぇ」とのこと。
仙人の境地に至る道は険しいのう。


不老の活路分岐

標識の塗り潰しのある水場分岐から、
少々、エグレた道を登ると、
県境尾根である「不老の活路」との分岐点に到着する。

本来ならば歩いてみたかった県境尾根縦走コース。
途中までなら歩けるそうだが、一部区間は封鎖されていると聞く。
「老骨に不老の活を入れ」整備されたという道を歩いてみたかった。

ここから不老山本峰まではもうすぐである。
いよいよサンショウバラとの対面だ。

  ◆ 後日、封鎖解除された「不老の活路」を歩いた記録を見る。


サンショウバラの蕾

「不老の活路」分岐付近のサンショウバラは、なんと蕾の状態でした!
ありゃ、早過ぎたのかと、ちょっと焦りましたが不老山に近づくにつれ開花した姿が楽しめるようになります。
場所によって時間差で咲き、長い期間に渡り、訪れる者の目を楽しませてくれるなんて、心憎い演出?
なんて登山者思いの花なのでしょう!


不老山付近は大樹が目立つ

不老山のサンショウバラはいまを盛りと咲き誇っていました。

「不老山」といえば、
ここ三国湯船山稜の「不老山」、
奥多摩六ッ石山東方の「不老山(狩倉山)」、
上野原市甲東の「不老山」、
と、これらを合わせて勝手に「三大不老山」と呼んでいる。

この三つの不老山をそれぞれ千回ずつ登れば、
不老仙人もビックリの大仙人になれるやも知れぬ。


咲いた♪咲いた♪サンショウバラの花が


虫たちも恩恵に与り、人も群がる

はじめて目にしたサンショウバラの花、意外な大きさにちょっとビックリ。 こんな大輪だったのねぇ〜
花を求めて虫も集まり、人も集まる。
こんな素敵な観光資産をもっとアピールすればと思う反面、そっと静かにとも思う。
虫に悪い虫もいるように、悪さをする人もやってくるに違いないから。


南峰から世附峠へ下降
樹下の二人が望まれる

そろそろお腹が空いたが休憩場所は決めている。
そう、「樹下の二人」。やっぱりここだね。

「不二見台」を経由して世附峠へと向かう。
幾人かのハイカーとすれ違う。
平日なのに大賑わい。
サンショウバラの集客力に驚きだ!

世附峠で茶店でも開いて、
「サンショウバラ饅頭」でも売り出せば一儲けできるかな。
「サンショウバラ団子」、「サンショウバラキーホルダー」、
「サンショウバラストラップ」、「サンショウバラポストカード」、
うーん、大金持ちの予感。

足柄山の金太郎グッズとコラボして一獲千金。
イカン、イカン、こんな下世話な考えでは、
とても仙人の境地には到達できやしない。

サンショウバラの花言葉って知っています?


世附峠にあるNPO法人の看板

世附峠のサンショウバラは盛りを過ぎてすでに落花の状態。
日当たりや風通しが良いので他より早く咲き、
他より早くに散ったのかな。

峠の片隅にNPO法人設置の「ゴミはもち帰ろうね!」の看板あり。
公認キャラクター「ふろうのしんちゃん」ってあるけれど、
イガグリ坊主頭の「しんちゃん」って誰?

ガサッ!背後で物音。
振り向くとアリクイだ!否、そんなはずはない。
でもなんだろう?柴犬ほどの獣が現われた。
テン?アナグマ?色はまさに柴犬色。
カメラに手を掛けた瞬間、再びヤブに姿を消した。


サンショウバラの人気の陰で

「樹下の二人」は数組のパーティーで大賑わい。
「サンショウバラの小径」では花をスケッチしている人の姿もある。
みんな一年の内のこの時期を待ち望んでいたようだ。

花が人を惹きつけ、人の輪となり、人の花が咲く。
三国湯船山稜の梅雨の時季は、決して陰鬱ではなく、
明朗で、花の甘い香りに包まれている。

サンショウバラに目を奪われがちだが、
随所に咲き乱れる白い花も忘れてはいけない。(左画像の花)
名前は知らないけれど良い香りを放っている。

さて、お目当てのサンショウバラを堪能したので、
今後のコースを考える。
当初は悪沢峠から山口橋に下る予定だったけれど、
まだ時間はあるぞ。
そうだ!三日月山コースを辿ろう!


白クラノ頭

三日月山コースは、以前にs-okさんのレポを拝見して
気になっていたコースだ。
車を置いた金時神社からは下降地点が離れてしまうが、
そうたいした距離ではない。

そうと決まれば峰坂峠を経て、白クラノ頭へ。
「樹下の二人」を過ぎてからは、ハイカーの姿は
めっきり減ってしまったが、ガスに包まれる新緑林もまた一興。


ブナの緑を行きましょう

白クラノ頭から湯船山にかけてはブナの大木があり、
若葉の緑と下草の緑が目にやさしい。
冬期に訪れることの多い三国湯船山稜だけど、
この季節もいいよね。

ガスに包まれ、湿ってしまったササヤブの通過で
下半身がびしょ濡れになるのはいただけないけど、まぁ我慢。

大気に味があるかは知らないけれど、
この季節、なんだか瑞々しくて大気が美味しいのだ。

大きく深呼吸したり、鼻をヒクヒクさせたり、
ベロを出して歩いたり、他所様が見たら変人扱いだね。


ニョロニョロと忍び寄ります

おっと!ニョロニョロ君出現。
この季節はしょうがない。
ヘビが先に気付いてくれるか、こちらが先に気付くか、
踏んづけてから、噛まれてから気付くのだけはゴメンだね。

縞があるからシマヘビ? 顔が可愛いから無毒?
そんな安易な判断基準しか持ち合わせていないのが情けない。

人間界でも可愛い顔して
毒を持ったヤツはいるから油断できない。
要注意だね。


湯船山

湯船山の標識も風雨に晒され判読が難しくなってきた。
標識もベンチも何も無い山頂を好む人もいるし、
山名標識程度はあって欲しいと望む人もいる。

木々を伐採してまで展望を望む人もいれば、
自然そのままの山頂を好む人もいる。

バランスが難しいね、どうする小山町。(山北町もか)


ガスに包まれた三日月山コース分岐

ガスに包まれた三日月山コース分岐。
ここで左折して、未知の道へ。
分岐にある案内板を頭にたたみ込まないといけない。

本日歩く予定ではなかったから地形図は持っていない。
案内板と手持ちの古い版のエアリアマップが頼り。

「途中道標はなく 径路やや不明」とあり、ちょっと心配。
流れる霧とササヤブに弱気を生じ、
カバンから熊除けの笛を取り出し、首にぶら下げる。


ひっくり返った案内板

あまり歩かれていないことが道を塞ぐ倒木からも窺がえる。
「ミツバツツジ群落」の標識を過ぎて、
ササヤブの切り開き道を行くと、ひっくり返った案内板。

自然林と植林の間を進むのが正解であるとのご案内。
自然林に踏み込んではならぬとの正鵠を得た指示に感謝。
目印で誘導するとあるが、木に巻かれたビニールヒモは
すでにボロボロで頼りない。

人の足跡は無く、鹿の足跡ばかりが目立つ。


ヒノキの幼木育成林を抜ける

突然開ける前方は、ヒノキの幼木植林地。
伐採後に植え付けられたもので幼木はネットで保護されている。
進行方向には送電鉄塔がニョキリと聳えている。

こういう日当たりの良い伐採跡地はいかにもヘビが好みそう。
足下にばかり注意して歩くと、顔に蜘蛛の巣が引っ掛かった。

どこでも歩けるので適当に進むと、
仕事道に出て、唯念寺林道へと導かれる。
「明神峠国有林分収育林契約分収林」の看板があるだけで、
登山標識の類はない。

前方巨大鉄塔に向けて林道を進む。
鉄塔名は送電鉄塔西群馬幹線272号。
この鉄塔は手持ちのエアリアマップに載っていないし、
帰宅後確認した地形図にも載っていない。
それにこんな立派な林道すらも載っていないのだ。


唯念寺林道
送電鉄塔西群馬幹線272号

真っ直ぐのびる林道をしばらく行くと、
左手に送電鉄塔西群馬幹線273号へ向かう巡視路が並行。
それとの合流点に青いテープがぶら下がっていた。
ここがp793(三日月山)への取り付き点だろうか?
でもちょっと怪しい。 もう少し林道を進み、p793をカーブで
巻きはじめる地点のカーブミラーがある所からなら登れそうだ。

でも、どうもさえない山である。
植林の丸山だし、登ったところで展望も無いだろう、と
あっさりパスしてしまった。

取り付き点と思われるカーブミラーの近くには、
「湯船国有林分収育林契約分収林」の案内板が立っていた。
国有林ということは、静岡県内の管轄営林署に行けば、
「国有林野施行実施計画図」も入手可能なのだろうか?


奥ノ沢林道にぶつかるT字路
(ここを左折する)

無駄にクネクネし始めた林道を植林地を突っ切ってショートカット。
真面目に林道を歩いていたらロスである。

新たな林道に接続(左画像)、右に行くか左に行くか迷う所だ。
エアリアマップでは読みきれないし、
三日月山コース分岐にあった案内板の内容は
すでに頭から忘却されている。

右の道が舗装され、スズランテープの付いた佐久間幹線12の
標識が右を指していたので、右なのかとも思ったが、
カーブミラーの角度が舗装されていない左からの道のために
設置されているので左の道を選択する。


支線奥ノ沢林道(左)と
幹線湯船林道(右)の分岐点
(左の道を歩いて来た)

ここは湯船林道で、左の道は再び山奥に戻る道ではないかとの
心配もあったが、未舗装もすぐにコンクリ舗装となる。
どうやらこの林道は奥ノ沢林道というらしい。
しばらく行くと湯船林道との分岐点があり、
岩田翁の道標がそのことを教えてくれた。

しばらくの間、登山標識が無くて不安だったが、
懐かしい標識に安堵を覚える。(左下画像)

登山者の道迷いを防ぐ為に、
要所要所に標識を設置して下さっていることに感謝。


林道分岐点にある案内板

願わくば、先のT字路分岐とヒノキ幼木林通過後の唯念寺林道
接続部分にも標識が欲しいところか。
否、それは贅沢というものかもしれない。

ただの植林の丸山だろうと、
あっさりパスしてしまったp793の三日月山。
もしかしたら三角点の他に楽しい手作り標識があったのではと、
今になって山頂を踏んでこなかったことをちょっと後悔する。


幹線湯船林道入口ゲート
「熊出没注意」の看板あり

奥ノ沢林道・湯船林道分岐からわずかばかり進めば、
ゲートが閉ざされた湯船林道入口となる。
ゲート前には西群馬幹線275号の送電鉄塔が建っているが
これも地図には記されていない。

ここにも岩田翁の標識があり、
ゲートを進入することが「三日月山コース」であることを
的確に示している。


林道入口ゲート脇にある案内板

標識には「次の道標へ1.6k」とある。
しばらくは舗装された単調な林道歩きとなる。

林道脇にはゴルフコースも現われ、
首からぶら下げた熊除けの笛が浮いた存在となってしまう。

ビリビリビリという送電線の発する刺激的な音が大きくなると、
終点である巨大変電所も近い。
ここにも「上野変電所奥 三日月山コース入口」と書かれた
手作り標識が設置されている。


上野変電所奥 三日月山コース入口案内板

標識で左に折れ、
湯船集落に向けてクネクネとした細い舗装路を下る。

湯船の藁葺の民家や水田風景を楽しみながら歩く。
三国、湯船の山稜はもう遥か彼方である。
蜘蛛の巣のように張り巡らされた送電線や
網の目のように入り組んだ林道網で山肌は傷ついてはいるが、
思いの外、奥の深い山域である。

第二東名高速道の建設問題や、
道標撤去、尾根封鎖の一件は気掛かりではあるが、
いつまでも可憐なサンショウバラと人の笑顔が花咲く
三国、湯船山稜であって欲しいと思う。

 

(山行2006.06.14)