机上峠行

 

寒い冬の一日
家に閉じこもって
ストーブにあたりながら
空想の峠行に旅立つことがある。

夏の北海道や北アルプスに思いを馳せることもあるのだが、
この一年の峠行計画や週末のささやかな峠行計画を
机上で考えるひと時は愉しいものである。

欲張った実現不可能な計画でも、
それなりに愉しいもので、
峠行のことについて
あれこれ思いを巡らしていること自体が
有意義な時間なのである。

なにしろ、交通費もかからずタダで楽しめ、
体も酷使する必要はないのだから。

そんなことで先日も
机上にて
この一年の非現実的峠行計画を練ってみた。

梅やスミレの咲く季節、奥武蔵や秩父の小さな峠で春の息吹を感じる。
石楠花の咲く頃、十文字峠を越えて里程観音に御挨拶。
東北地方の雪も消え水田に水が引かれる頃、会津の峠や八十里越を越える。
本格的な夏の訪れと共に、徳本峠を越えて上高地に入り、
中尾峠、安房峠、平湯峠、ザラ峠、針ノ木峠と北アルプスの峠三昧。
さらに長期遠征で、御嶽山ぐるりの峠、木曽周辺の峠を集中巡行。
夏の終わり涼しくなった頃、京都は北山に無数に眠る峠にむしゃぶりつく。
時には、MTBを駆使して清水峠、夏沢峠、伝付峠も越えてみたい。
錦繍の秋は西上州、静かなエリアでしっとりと峠を楽しむ。
さらに隙間があれば、中国、四国、九州地方の未知なる峠も訪れたい。

うーん、 なんと無謀な、かつ夢のような計画なんだろう。
金も無いし、時間も無いし、体力も無いし
実現できっこないし・・・。

しかし、机上においては自由にあちこちの峠を旅することができるのです。

実現不能の割には、
地図を用意して峠の位置をプロットしたり
コースを考えたり、情景を思い浮かべたりして
それなりに愉しんだりしてね。

でも、ちょっと空しかったりして、
寂しかったりして・・・

あした天気が良かったら
寒い戸外に飛び出して
ちいさなカバンを肩に掛け
 汗して峠を歩いてこよう。