続・西丹沢の奥深き峠 / 二本杉峠・富士見峠・織戸峠

ああ、なんて悲しいことでしょう。
前回富士見峠や織戸峠を訪れたのは昨年の12月26日、
そして今回はほぼ1年ぶりの12月25日と、世間はクリスマスで盛り上がっている最中の訪問です。
恋人と共に過ごすのではなく、2年連続で今年も西丹沢のダニと一緒のメリークリスマスです。


国土地理院昭和54年修正測量版25000図「中川」

手持ちの25000図には地蔵平から富士見峠へ至る道として
沢筋コースと尾根筋コースの二筋が描かれています。
最近の地形図からはこれら二筋の破線道は削除され、
p878からp936にかけては実線の林道が描かれています。

今回は尾根筋コースの探索です。
事前情報では「山抜け(*1)」のおそれがあるともいいます。
さて旧峠道は残っているのでしょうか、
またどんな様子なのでしょうか非常に楽しみです。

そして、織戸峠から水ノ木へ至る道も今回の楽しみの一つです。
前回は峠をこちらからあちらへと越えることはありませんでした。
今回は、こちらからあちらへと越える正統的な峠歩きを試みます。

クリスマスの甘い一日を無にしても、
未知の道を歩く愉しみを充分満喫することができる
西丹沢の峠たちなのです。

(*1) 山抜け=山道が山腹の崩落等により抜け落ちてしまい
          通行困難になってしまった状態。
          普通の崩壊より規模の大きいものをいう。

二本杉峠から山腹崩壊道を経由して地蔵平へ


上ノ原集落・二本杉峠登山口

西丹沢の奥地は潜入するにも、またそこから脱出するにも
長いアプローチが問題となります。

今回は浅瀬に車を置いて、そこからえっちらおっちらと自転車の
ペダルを漕いで上ノ原集落に移動し、二本杉峠を越えて
西丹沢の奥地へもぐりこみます。
日が短いこの季節、時間の節約は大事です。

二本杉峠へ向かう峠道はp580まで二本の道が地形図にはあります。
以前、沢筋を歩いたので、今回は神社裏から続く尾根道を
進んでみることにします。

鹿柵に沿って尾根を登り始めます。
鹿柵が左に曲る(嫌な予感)、また曲る(かなり嫌な予感)、
そしてぐるっと周ってスタートの神社に戻ってきてしまいました。
ああ、時間の節約が大事だというのに先が思いやられます。


二本杉峠

尾根道は早々に諦め、結局、現地標識に従い沢筋コースを辿ります。
二本杉峠までは権現山への登山コースとして
整備された歩きやすい道が続きます。

炭焼釜の跡がある尾根までひと汗かけば峠はもうすぐそこです。
峠前の植林された杉林は鹿による食害防止のためなのか
幹には網が巻かれています。
この異様な姿をMさんはルーズソックスの集団と表現していた
ことを思い出し、頬がゆるんでしまいます。
網タイツを履いた熟女の集団に見えないこともないと、
つまらぬことを考えながら峠に到着です。


峠の標柱に千鳥橋径路荒廃とある

二本杉峠には1時間で到着。
あとは地蔵平へ下るだけだから浅瀬ゲートから林道をトボトボ歩いて
地蔵平を目指すよりも早いのではと思っていましたが、
それは甘かったようです。
このあとの山腹道があんなにも崩壊しているとは
知りませんでしたから・・・。

峠の標柱には「千鳥橋、径路荒廃」と書かれていました。
その下にマジックで「峠オトコ?」とも、こ、これは・・・もしや。


峠の小御嶽山大権現

今回は千鳥橋へ降りるのではなく、
峠から北へ数分行った先にある分岐から山腹道を利用して
地蔵平を目指します。

山腹道は崩壊箇所があるといいますが地形図を見る限りでは、
一定の標高を保ちながらも緩やかに山腹伝いの道が地蔵平へ
優しく続いているように見えます。

この分岐、とある古いガイドブックでは日影峠とありました。
しかし、「毛出し峠=日影峠」とすると、ここは日影峠ではありません。
別物の峠と考えるより、むしろ二本杉峠の一部と考える方が
その位置関係・機能からして自然なことなのかもしれません。


山腹崩壊道分岐

山腹道分岐でバナナとミカンを食べて一呼吸。
未知の道へ入るワクワク感の高揚を押えつつ
ロングスパッツを装着します。
もちろんこれはダニ対策のために。

西丹沢では一般登山道から外れるときはスパッツを着けることが
ダニ対策として有効である事は学習済みです。

分岐の入口は通せんぼうをするように倒木が横たわっていますが、
先に続く道形ははっきりとしています。


難関!崩壊地

小さい崩壊箇所は幾つもありますが通行を阻むほどではありません。
これは案外良い道が残っているのではと思った矢先、
左画像の崩壊地点が現われます。

ここは遠目からでは通行できそうもありません。
ちょっとミスをすれば奈落の底へ・・・
どう乗り越えればいいのか、
果たして無事に通過する事ができるのかと思案するところです。

でも、いざ接近してみると思いの外に手がかり足がかりがありました。
ただ倒木に足を掛けるのはNGです。ポキッといきそうですから。

遠くから眺めていて無理だと思うことも接近していざ挑戦してみると
上手くクリアできるということは日常生活上でもあることです。


富士の姿にホッとする

一難去ってホッとします。

気がつけば木々間からはp830や椿丸の向こうに富士が顔を
見せています。
また、富士見峠への登路であるp878周辺の様子も
窺い知る事ができます。

ホッとするのも束の間、白い杭付き見出標(林班杭?)を過ぎると
規模の大きな地滑り地帯の出現です。
一難去ってまた一難なのです。

ここを無事に通過したとしても対岸に道らしきものが見えません。
マーク類も無いようだし、最近人の歩いた形跡もありません。


難関!地滑り地帯

それでも登山靴のエッジを効かせ、おそるおそる踏み出します。
山側、谷側、体重移動を微妙に按配し進みます。
このスリリングな感覚は癖になりそうかも。

地滑り地帯通過後、目線は上方へ、姿を消した道を探します。
古い石積みが目にとまれば再び山腹道に復帰する事ができます。

このあとも何箇所か崩壊地はありますが問題となる箇所は無く、
高度を次第に下げて、地蔵尊近くの林道に降り立つことが出来ます。


林道に降り立つ

山腹道分岐から地蔵平まで崩壊地点でビビったりしたために
1時間30分程かかってしまいました。
ということは結局は浅瀬ゲートから歩いた方が早かったのかな?

でも自分にとって未知の道だったものが一つ減り、
点と点との存在でしかなかったものが、
自身の行動で線で結ばれ実体として認識されてゆくという作業は
楽しいものであります。

西丹沢という局所的な中で行われる極めて自己満足的な行為
ではありますが、こんな些細な出来事になぜか喜びを感じるのです。

地蔵平から旧峠道尾根コースを経由して富士見峠へ


地蔵平 車が止まっていた

崩壊山腹道通過のせいでしょうか、
地蔵平に着いたら緊張感から開放されてお腹がペコペコです。

空の広い地蔵平で稲荷寿司とバナナを頬張ります。
地蔵平には自動車が一台止まっていました。
ハンターの車でしょうか?それとも釣り師?水質調査隊?
登山者の車もここまで乗り入れる事が許されれば、
西丹沢の奥地ももっと多くの人々に歩かれることでしょう。

でも通行規制のおかげで貴重な自然と静かな環境が
護られているという側面もあるので、
一概にゲート開放を声高に叫ぶことはできません。


関東大震災慰霊碑

地蔵平から富士見峠へは沢筋コースを行くか、
尾根道コースを行くかの選択です。
(前回は富士見峠から林道を歩いて地蔵平に至りました)

沢筋コースは先人のレポートによれば
滝の高巻があるようで厄介です。
またこの季節、沢筋は凍てついていることもあるので
避けたいところです。

『丹沢の谷歩き』(坂本光雄著)によると、
 「従来地蔵平から富士見峠へは地図上にも記されてある通り
 尾根伝いに径路を辿ったが、最近では荷干径路を利用して、
 仕切澤に入り富士見峠の直下に喰い入る北向ノ澤を遡って
 峠に出る近道が採られている。
 地図上の尾根を捲く径路よりは30分以上も早く、
 径も相当良く踏まれている。」
 とあります。


大又沢を飛び石で渡る

どうやら尾根道が本道であり、
沢筋の道(近道)は後から利用されるようになったようであります。
ここは尾根道を選択します。

さて、取り付き点はどこかと、
地形図の破線道を信じて大又沢を飛び石で渡ることにします。
杉林の中の震災慰霊碑の前を通過し河原に下りて、
ひょい、ひょいと流れの中の石を飛び越えます。

河原の石には薄い氷が張っているので注意して。


沢の合流点に綺麗なトロがある

沢の合流点は美しく澄んだトロ場で綺麗です。
こんな清流の川辺にかつて集落があり、
人の生活があったと思うと何か感慨深いものがあります。

対岸の台地に上がり、
尾根へ取り付くことのできそうな場所を探します。
台地を数メートル支沢に沿って進むと左手斜面に
それらしき場所を容易に発見することができました。


ここを左上している踏み跡がある

目印は何もありませんが古道の末端の趣です。
左手斜面を斜上し、一、二度ジグザグをすれば
明瞭な植林地内の道となります。

これは踏み跡なんていうあやふやなものではなく、
ちゃんとした踏み固められた道です。
富士見峠旧道尾根筋コースに違いないとすぐに確信を得ました。


植林内の立派な道となる

植林内の立派な道に入ると、白いペンキで目印があり
下から上がってくる踏み跡があります。
別な取り付き点ルートからでも
旧道尾根筋コースに出ることができそうです。

植林内の道はゆるい勾配でだんだんと上がっていきます。
植林の隙間から離れていく地蔵平の広場が見てとれます。

しかし、この快適な道も長くは続きません。
すぐに薄い笹ヤブが行く手を遮ることになります。
笹ヤブ出現の直前に右手尾根にのびる踏み跡を見ましたが、
地形図を忠実に辿るため笹ヤブに突進します。

伐採跡地かそれとも単なる崩壊地か
よくわからぬ地点を通過します。
道普請の痕なのでしょうか、とりあえず人の歩けるようにと
意図的に刈り払われたヤブや除伐された潅木地帯を通過します。


旧峠道らしき場所にあった「精英樹保護林」の標識

地形図の破線道が取り付き点から南にのびていって、
p878へ向けて鋭角にカーブする地点で道はさらに怪しくなります。

植林地と雑木林との境目は猛烈なヤブで進入できません。
植林地内の歩きやすいところを進むほかないようです。

旧道の道跡らしき場所を見つけては進みますが、
背丈を越す笹ヤブが行く手を阻みます。
ダニの少ない(ほとんど居ない)のがせめてもの救いで
果敢に突進を試みます。


第一段階のヤブを突破すると切り開け尾根に乗る

旧道の道跡らしき傍らに「精英樹保護林」の標識がありました。
道の痕跡も次第に消えてゆき、あとは己のRFを信じて
進むことになります。

第一段階のヤブ地帯を突破するとp878の肩に続く尾根に
無事出ることができました。

木の幹にも白ペンキマークが再び現われました。
下方別方向から続く踏み跡のある切り開けもあります。
第一段階のヤブ地帯を回避して別ルートからp878の肩に
続く尾根に出る方法もあったのかもしれません。


カヤトの向こうに権現山

カヤトの向こうにp830の尾根、遠くに権現山を望みます。
今朝越えてきた二本杉峠の凹地形も確認できます。

青空に映える権現山の姿から、
これから進むべき方向に目をやるとガッカリです。
密生するヤブが待っているのです。

現実を直視したくない気持はあるのですが
目を背けるわけにはいきません。

といいつつ巻道はないだろうかと
キョロキョロ探しますがありません。
腹を決めてヤブに挑むしかないようです。


第二段階のヤブ道へ ススキ+スズタケ+バラ

第二段階のヤブ地帯は笹ヤブ+ススキで
時々油断しているとバラのトゲトゲが襲ってきます。

こんな所を通過する人がいるのだろうか?
いたとしてもよっぽどの変人に違いないと思いましたが
ヤブの中に真新しいペットボトルが2本落ちていたので、
最近通過した人がいたようです。

ヤブ自体には恐怖感はないのですが、
ヤブに生息しているであろうダニには恐怖を覚えます。
幸いにしてp878に至るヤブでダニに取り付かれることは
ありませんでした。


鹿柵ネットに絡まり白骨化した鹿の頭骨

取り付いたダニも猛烈なヤブで払い落とされたのかもしれません。
そんなことすら連想させる密度の濃いヤブ尾根です。
そもそもこんなヤブ道は獣の通過も困難でしょうから
ダニも棲んでいないのかもしれません。

しかし、尾根に並行する鹿柵ネットに絡まって
死んだとみられる鹿の頭蓋骨など見ると
獣たちも案外頑張ってヤブコギをしているのかもしれません。

鹿柵ネットは鹿の生息域を制限するためのものだとばかり思って
いましたが、どうやら必要以上の効果(?)を招いているようです。


ヤブを突破して辿り着いたp878

第二段階のヤブ地帯を抜けて辿り着いたp878でホッと一息。
休憩に丁度良い切り株があるのでオニギリとバナナで補給します。

p878からp936に向かう尾根を挟んで左手(南側)には
林道が見えはじめています。

いざとなれば林道に逃げればよいと思えると気持は楽になります。
p936に向かう尾根はヤブとは無縁で明瞭な道が続きます。
しかし倒木やら除伐した小枝などが散乱して
いささか歩きにくいのが難点でしょうか。


p878からp936への道は小枝が散乱

予習した文献『丹沢だより 420』によればp936に向かう途中、
「尾根をはさんで右手側には、このあたりから、頂稜部を離れて、
とてもいい感じで山腹に水平な道が続いている。
富士見峠に向かう旧道に間違いない。」
 とあります。
この旧道山腹道を見落さないようにしなければなりません。

富士見峠へはこのまま尾根伝いにも辿ることができるでしょうし、
左手の林道を使えば間違いなく辿り着くこともできます。
けれども、旧峠道を歩き、「山抜け」の実態を確認せねばなるまい。


p936手前 右手に富士見峠への道が分岐

富士見峠に向かう旧道と思しき分岐はあるにはありましたが、
顔まで埋まる高さのクマザサにその入口が隠されていました。

道自体にもクマザサが覆い被さり歩きづらい状態です。
普段なら積極的に進入する道の様子ではありませんが、
p878手前のヤブに比べればなんてことはありません。
すっかりとヤブ嫌避感覚が麻痺してしまったようです。


分岐道は背丈ほどのスズタケ ちょっとの我慢

入口付近のヤブもちょっとの辛抱で終了です。
山腹道はp936を巻くようにほぼ水平に富士見峠に向かって
続いています。
道幅といい、道の状態といい、旧峠道に間違いないようです。

途中、二、三箇所、石積擁壁前を通過します。
この石積みが「山抜け」の修復跡なのでしょうか。
だとすれば復旧工事が終了してから
大分時間の経過があるようです。


旧道の崩壊地 問題なく通過できる

沢筋に一箇所(p936の北側直下)左画像の崩壊がありましたが
画像で見るより容易に通過する事ができます。

二本杉峠から地蔵平への山腹崩壊道に比べたら
なんら問題となる地点はありません。
富士見峠尾根道は「山抜け」で通行できないという情報は
もはや過去のもののようです。

富士見峠尾根道コースの難点は
取り付き点から植林地を抜けた後の若干の崩壊と
地形図の破線道がカーブする地点の不明瞭さ、
そしてp878へ至るヤブ道にあるのではないでしょうか。


東京農大の動物観察用カメラ

峠が近付くにつれ道の状態はさらによくなります。
ルンルン気分で歩いていると、
突然、フラッシュがピカリ!!

突然の事でたじろいでしまいました。
芸能人が密会デート中にフラッシュされたりした時と
同じ感覚なのでしょうか?

木の幹に東京農大設置の野生動物撮影用の定点カメラが
仕掛けられていました。
まんまとマヌケな姿を撮られてしまったようです。
きっとタヌキや鹿やイノシシに混じって「登山者A」なんて
名前を付けられて記録が残されるのですね。
これって肖像権の侵害じゃないの?


富士見峠

辿り着いた富士見峠。
前回来たときに取り付けた手製の標識が落下し、
落ち葉の中に埋もれていましたのでそれを拾い上げて
再度取り付けてきました。

公的機関が設置したであろう木製道標は前回同様に
ぶっ倒れて横になったままです。
いくぶん腐敗が進んだようにも思えます。
もはや標識に書かれた文字を判読することもできません。

標識に書かれた文字が消えてゆくように、
標柱が腐り土に帰るように、
富士見峠の名もゆっくりと人の記憶から消えてゆくのでしょうか。

富士見峠から織戸峠を経由して水ノ木へ


法行沢への下降路目印 「メリット5」

富士見峠から林道を歩き「メリットファイブ」へ。
油汚れをスッキリ落とす強力台所用洗剤、
あるいは5人組の美少女音楽ユニットの名前みたいですが、
「メリット5」が法行沢へ下降する小尾根入口のポイントです。

忠実に小尾根を辿る手もあるようですが、
すみやかに右手の鹿道らしき斜面を下り、
法行沢左岸に出るのが良いのではないでしょうか。

沢の流れはすぐそこに見えていますが、
沢に降りるのを我慢してしばらく植林地内の左岸台地上の
踏み跡を拾います。


法行沢左岸に残る古道跡
ここにも「精英樹保護林」の標識がある

すると、さきほど別れを告げた小尾根から降りてくる
ハッキリした道に合流します。
これが旧径路であって、富士見峠と織戸峠を結んだ
旧東海自然歩道の一部だと思われます。

地蔵平から富士見峠に至る途中で見かけたのと同じ
「精英樹保護林」の標識がここにもあります。


明瞭な道が織戸峠入口の対岸まで続く

明瞭な古道は織戸峠への入口のある右岸の台地状地形の
対岸まで続きます。

法行沢を飛び石で渡り赤土の斜面を攀じ登れば
その右岸台地上に立つことができます。

周辺の木々には目印がいっぱい付いています。
前回は目印に気がついていたにもかかわらず、
織戸峠から降りてきて沢を渡ることなくして溯上してしまったのです。
対岸(左岸)に道があるようには見えなかったのです。


織戸峠

二度目の織戸峠道は、こんなに短かったかなという印象です。
実際、10分ほどで峠に着いてしまいました。
初めて歩いたときと、二度目とではその印象も異なるようです。

峠は逆光に包まれていました。
しかし、日が沈むまでにはまだまだ時間があります。
後は織戸沢側へ下り水ノ木に出て、林道を歩いて車を置いた
浅瀬に戻り、上ノ原に乗り捨てた自転車を回収するだけ。
本当なら、富士見峠-織戸峠-切通峠と結びたいけれども、
県境尾根まで行ってしまうと帰還が大変です。


前回取り付けた標識が残っていました

峠から西側の織戸沢へ下る道は初めて下る未知の道。
西側はややヤブ気味ですが明瞭な道があるように見えます。

アレレ、数メートル進んで怪しくなってきたぞ。
ヤブ、ザレ、ヤブ、ザレ、消滅・・・どうしよう?
もっと先人の山行レポを読み込んでくるべきだったかな。

でも、このちょっとした迷いや不安、心細さからくる躊躇が
未知の道を歩く楽しみでもあります。


織戸沢へ下降する

たしか「織戸沢には大きな滝がない」、「美しいナメが続く」、
といったような記述が先人のレポにはあったような記憶がする。

適当にザレた支沢を下ってみよう。
行き詰まれば戻ってくればいいのさ。
(時々、戻れなくなる場合もあるけれど)

支沢に水の流れはなく、
積もった落ち葉に時折足をすくわれます。

振り返ると、もう大分下ってしまった。
もう戻れない、戻りたくない。
前方に本流が見えてきた。


織戸沢の優しい流れ

本流はチロチロとした優しい流れ。
その姿にホッとする。
優しさに加えて美しいのが嬉しい。

丹沢の多くの沢は関東大震災や幾度の集中豪雨で
荒れ果ててしまったというけれどまだまだ素敵な姿を
とどめている場所もあるものだ。

ゆるやかな流れの織戸沢を右岸、左岸と自分の好きな所を
自由に歩くことができます。
しかし、どこまで沢を歩けばよいのだろうか。


徳利が・・・
織戸沢沿いの段丘上に酒徳利が落ちていました。
炭焼きのオヤジがちびちびやっていたのでしょうか?
それとも飯場の酒宴に用いられたものでしょうか?

目印テープらしきものは時々目にするものの
正しき道に導いてくれているものかは定かではありません。
林業関係者用の目印テープのようでもありますから。

地図を見ると水ノ木橋まで滝のマークや堰堤マークはありません。
このまま沢沿いをずっと歩いていいものだろうか・・・

うっ!堰堤出現だ。
左岸に巻道があり越えることができましたがヒドイ巻道でした。
しばらく進むとまた堰堤が現れる。
美しかった沢の流れも平凡なものになってきた。
そろそろ右岸の上部にある林道へ逃れよう。

古道らしきものを横切り斜面を這い登ると林道に出た。
この時点で西丹沢の奥深き峠めぐりは終焉を迎える。
あとは黙々と林道を歩いて家路に着くだけである。

浅瀬到着はすっかり日が暮れた後になりました。
今回も丹沢湖畔のクリスマスイルミネーションの輝きは
さびしい峠道を歩いてきた目には眩し過ぎました。

一緒にクリスマスを祝うはずだった西丹沢のダニたちも
その取り付きは少なく、一層寂しさをかきたてたようです。

● 少し前の『新ハイキング』(新ハイキング社)、
  168号 「二本杉峠-富士見峠-織戸峠」 (藤井寿夫氏)
  210号 「西丹沢のさびれ峠を行く、織戸峠-富士見峠」 (岡田敏夫氏)
  228号 「二本杉峠-富士見峠-織戸峠-切通峠」 (斎藤恭助氏)
  などの紀行文から、峠の少し前の状況や集中豪雨直後の被害状況が窺える。