◆ 武田秘密街道の峠 / 古峠 (切差峠・鍵掛峠)?

 

 温泉好きの友人が運転する車で山梨温泉ドライブに行った際に、だまして山奥の峠に連れ込みました。
あの尾根を越えると良い温泉があるよと言って・・・
実は、温泉などどうでもよかったのです。
帯那山の東尾根に点在する峠たちに強い関心があり、その下見が密かな目的でありました。

笛吹川フルーツ公園内にある「赤松の湯プクプク温泉」や「ほったらかし温泉」は
甲府盆地の眺望は良さそうですが、通俗的で好みの温泉ではありません。
そんな温泉のことよりも、奥地の峠に目が向いていました。
運転に疲れた友人はここの湯に浸かりたかったようですが、一つ尾根を越えると良い温泉があるよと言って
友人をそそのかし、否、実際に「鼓川温泉」という雰囲気の良い温泉があるのですが、
切差から赤芝へと帯那山の東尾根を越える東山中部林道を走り抜け古峠に誘い込んだのです。


林道の峠 全景

古峠にはキレイに舗装された林道が開通していました。
この峠は牧丘町赤芝と切差を結ぶ峠です。

雁坂口と呼ばれた秩父街道の間道で、秩父裏街道、
また武田の秘密街道ともいわれていた道が越えていました。

窪平で秩父街道と分岐した道は、西保、牧平、膝立、赤芝から
古峠(鍵懸峠)を越えて、切差、戸市、多羅峠(多良峠)、積翠寺、
古府中を結ぶ山岳地帯を抜ける道筋でありました。


「古峠」の標識と石造物

『甲斐の山山』を見ると、
「鍵懸峠」と「切差峠」は別々のものであるようですし、
「古峠」の名は出てきません。

『山梨の峠』では二ヶ所の「切差峠」が出てきます。

「古峠」の名前は『甲斐路・ふるさとの道』にあり、
現地の林道が越えている部分にも「古峠」と書かれた標識が
設置されていました。


西方の二基の石造物

いまひとつ古峠、鍵懸峠、切差峠A、切差峠Bの
関係がよく分かりませんので、再度訪れなくてはなりません。

なによりも、さらに東に尾根を進むと
桜峠、罔象峠、野背坂(八幡峠)、苧麻峠、などがあるので
是非歩きたい尾根道なのです。

しかし、この付近、公共交通機関でのアクセスがいささか困難。
マイカーでもその回収のことを考えると計画立案が難しいのです。


東方の石祠

峠で立小便をする友人をよそに、峠の石造物を撮影します。

林道の峠には、西方の少し高い所に二基の石造物があり、
「古峠」の標識の隣りに一つの石造物と林道記念碑があります。
東方の高処には石祠が祀られていました。

そしてなぜか工事現場用のレンタルハウスと監視カメラが
設置されていました。


赤芝側にある復元された鍵懸の関所

赤芝側に下ると復元された「鍵懸の関所」を見ることができます。
関所も見所に違いありませんが、
切差、赤芝の両集落の民家の造り、家並みの趣が関心を惹きます。

重厚な造りの屋根をのせ、土壁や古い蔵の佇まいなど
独特の雰囲気を醸し出しています。

赤芝側に下り、友人お待ち兼ねの「鼓川温泉」に辿り着いて呆然!
「本日休館」の表示がされていました。
ふて腐れる友人に謝りつつ、
一つ峠を訪れることが出来たことに内心満足を得るのでした。
このことは内緒にしてなければなりません。
秘密街道の峠の秘密な出来事です。

その後、温泉好きの友人をなだめるため、
「花かげの湯」でひと風呂浴びて帰路についたのでありました。

【参考文献】

『甲斐の山山』 小林経雄 新ハイキング社
『山梨の峠』 小林栄二
『甲斐路・ふるさとの道』 山梨日日新聞社