気になるヘンテコな地図 新説?別名?誤植?なmapたち

峠に関するヘンテコな地図情報を集めてみました。
特に行きたいとも思っていなかった場所なのに、ヘンテコな気になる地図表記を見たばっかりに
足を運んでしまったということはありませんか?

国土地理院も信用してはいけない


国土地理院地形図1/50000
「御岳昇仙峡」より


『新ハイキング1995.12.482号』挿入図より

地形図の岩堂峠の場所が間違っているということは有名な話で、
いろんな方が、いろんな書物の中で、古くから指摘しています。
(岩堂峠と表記された場所は鞍掛峠で、本来の岩堂峠はそこから北東に位置しているとのこと)

『甲斐の山山』(小林経雄著・新ハイキング社)の中では、「明らかに誤り!」と断罪しています。
それなのに一向に訂正されないという不思議。
なぜに国土地理院は頑ななまでに修正を拒んでいるのでしょうか? 気になります。
旧版地形図の記載は正しいのに、なぜ岩堂峠は移動したのだろうか?


国土地理院地形図1/25000
「上野原」より

これも知れた話でありますが、
道志村の巌道峠(ガンドウトウゲ)の「ガン」は「巌(巖)」が正しく、
地形図の表記の「厳」は誤りであるとの指摘です。

岩道峠、雁道峠、強盗峠、ー道峠などと色々と姿を変える峠ですが、
「厳」は確かに誤りでしょう。
国土地理院もそれほど信用できないということでしょうか。

ちなみに、先の「岩堂峠」は「イワドウトウゲ」で、
「ガンドウトウゲ」と読んではいけないようなのでお間違い無きように。

 まぁ、上記の話は皆さんご存知でもあり、ギリギリ許容範囲なのですが、
「こりゃ何だ!」と気にならずにはいられない峠に関する地図表記を以下に拾ってみました。

南アルプス市の女坂峠って?

「山梨県の観光ガイドマップ」より
山梨県には女坂峠という名前の峠は
精進湖の北に一つと、
三ッ峠の北、大沢山の近くに一つの
計二ヶ所だと思っていましたが・・・

南アルプス市にも存在しているのでしょうか?

県の観光課らしき所が発行しているガイドマップなので、
あるいは実在している峠なのかも・・・?

しかし、誤植のような気もするし・・・。
気になるなぁ〜。

山梨市の清八峠って?


山梨市観光マップ より

本社ヶ丸近くの清八峠なら知っているけど・・・

切差峠(古峠)、桜峠、罔象峠、野背坂と続く尾根に
「清八峠」があるのだろうか?

割石峠の位置ってどこなのよ?

『山と渓谷2000.3.776号』より
本栖湖南岸の竜ガ岳。
その南の鞍部の端足峠はいいとして、
問題は割石峠の位置がおかしいような・・・?

割石峠は麓にあって、国道139号線に接していると
思うのですが・・・。

ヤマケイはこの説を『東京周辺の山(’94)』という本でも
支持?しているようで・・・
「端足峠から雑木とササの道を10分ほど行くと刈り払い
された所に出る、ここが割石峠。だが、指導標はない。」
と記述している。

山の専門誌だから正しいのかなぁ〜気になるなぁ〜
でもこの本は、甲府北の「像峠」を「像峠」としている
から少々頼りないかも。

『十二支の山』(石井光造・東京新聞出版局)の中に
「竜ヶ岳と雨ヶ岳」という紀行があり、その中でも割石峠は
尾根上にあるという記述がある。 アレレ?

住宅地図は住宅の無い山の中でも正しいのか?

「ゼンリン住宅地図山北町」より
『ゼンリンの住宅地図・山北町』に「かしの木峠」という
名前の峠が表記されています。

静岡県と神奈川県の県境尾根です。
世附峠や悪沢峠、峰坂峠のさらに西です。
住宅地図だからといって人の住まない山間部は
いい加減に調査したということはないでしょう。

でも、他の地図や文献では名前を見たことのない峠です。
本当にあるのか気になるなぁ〜

【補足1】
『昭和43年小山町勢要覧・静岡県おやま』内の
「小山町を中心とした観光案内図」の中にも
「樫ノ木峠」の名前が記載されていました。

【補足2】

『メッシュ式広域道路地図神奈川県』(人文社・1998年版)
にも樫ノ木峠の表記がありました。
ゼンリン地図とは位置が異なるようですが・・・

地蔵峠は栂ノ峠? 栂ノ峠は地蔵峠? 関連ページ

『続・中高年向きの山100コース』
(浅野孝一・山と渓谷社) より
四尾連湖近く、蛾ヶ岳から東に延びる尾根上にある峠です。
現地にある標識では地蔵峠=栂ノ峠となっていましたが、
左図では別々の峠となっています。

ちなみに地形図に表記された峠名は、
折門峠、地蔵峠、アンバ峠、八坂峠です。
そうすると栂ノ峠の立場は・・・?
気になる峠です。


「河口湖町観光ガイドマップ」 より
上記に続いて同じ尾根です。
観光マップによっては、折門峠が二ヶ所表記
されていたりして謎はさらに深まります。

ちなみに現地の折門峠の標識がある場所は、
地形図と異なる場所であり、大平山の南に位置しています。
(最新版の地形図では折門峠が移動しました)


富士五湖観光連盟発行の観光マップ より

これまた上記と同じ尾根です。
やっぱり折門峠が二ヶ所掲載されています。

また、別地図では「八坂峠」の他に「大八峠」なる名の
峠を表記したものも見られる。

「大」と「犬」 点一つが大違い?

「彩甲斐地域観光振興協議会のガイドマップ」 より
観光マップを見ていたら丹沢の「越路」の西に
「大越路」という表記を発見しました。

山字(あざ)名でしょうか?それとも犬の誤記でしょうか?

ちなみに古い日地出版の登山地図には、
「小犬越路」の表記もあり、気になります。


ちょっと前の『山と高原地図』(昭文社) より
犬の誤記といえば上野原町の「越路」が、ちょっと昔の
『山と高原地図』では「越路」となっていました。
現在は訂正されていますが。

きっと、ウルサイ峠マニアが間違いを指摘したのでしょう。

菜の花畑で菜種油のイメージでしょうか?

「彩甲斐地域観光振興協議会のガイドマップ」 より
峠名ではありませんが気になったので・・・

道志山塊の「菜山(裏)」が、「菜山」になっています。
こんな呼名もあるのでしょうか?
誤植のような気がするのですが・・・

別称として「マツガワ」「大久保入りの頭」がありますが、
「菜油山」は聞いたことがありません。

ちなみに菜畑山は「ナバタケヤマ」ではなく、
「ナバタケウラ」と読まなくてはならないとのこと。

この山域は赤鞍ヶ岳と朝日山との山名混乱が
有名ですが「菜山」も気になります。

「天目指」と「大目指」? やっぱり「天目指」でしょう!

『埼玉県万能地図』(埼玉新聞社) より
奥武蔵の子ノ権現近くの「天目指峠」が
ロードマップに「目指峠」とありました。
何を目指しているのでしょうか?

これは明らかに誤植だろうと思っていましたが・・・


『奥武蔵の山と丘陵』(春日俊吉・朋文堂)付図より

・・・・・奥武蔵の地誌に詳しい春日俊吉氏の著作の
付図にも「大目指峠」とありました。 アレレ?

そうすると、峠名語源の「アマメ=豆柿」説も
揺らぐことになるのでしょうか。

ウーン わからない・・・?


『富士を眺める山歩き』(山村正光・毎日新聞社)より

山村正光氏の著作『富士を眺める山歩き』に、
「セイメンバン峠」という名が記載されています。
何処のことなんでしょうか?気になります。

さらに左図では、葛篭峠=桜沢峠としていますが、
葛篭峠=天神峠の誤りではないでしょうか?

セイメンバン峠は、『大月市史』に他の書物からの
引用として登場していますから実際にあるのでしょう。

現地に行って探索してみる予定です。


『富士を眺める山歩き』(山村正光・毎日新聞社)より

矢花峠は正式な峠名なのだろうか?

『山梨の峠』では、名前がないので仮称であると
断った上で「矢花山峠」としている。

他の文献を見ても名前は見当たらない。
矢花峠が正式名であるのならいいのだが・・・

驚異の計画路線!

『埼玉県万能地図』(埼玉新聞社) より
顔振峠を貫く計画路線が地図に描かれていました。

こんな計画があるのでしょうか? 気になります。


『埼玉県万能地図』(埼玉新聞社) より
鳥首峠を貫く計画路線が地図に描かれていました。

こんな計画があるのでしょうか? 気になります。

明神峠って二ヶ所?


『アルペンガイド富士・箱根・御坂』(山と渓谷社)より

山中湖の南、籠坂峠と三国峠の間にも
明神峠ってあるの?

地図だけではなく、コースガイドの文章の中にも
明神峠の名が出てくるので、
単なる誤記ではないようだ・・・?
本当にあるのかもしれない。

驚異の計画路線! (神奈川県花と水の交流圏づくり推進協議会のパンフレットより)


犬越路新計画路線?


秦野峠新計画路線?


金時山・矢倉沢峠新計画路線?


箱根明神ヶ岳新計画路線?

「樽」じゃなくて「楢」じゃないの?


東京都奥多摩町役場観光産業課発行
観光パンフレット 『巨樹と清流のまち おくたま』

「大峠」じゃなくて「大峠」の誤りじゃないのかな?
それともそんな別名もあるのだろうか?
「樽」=「タル」=「タルミ」ということ?

この地図は「つづら岩」が「つらら岩」となっていて
なんか怪しいぞ。

「恋」なのか「忘」なのか?


『ヤマケイアルペンガイド丹沢』
(三宅岳著・山と渓谷社・2009年版)

『山と高原地図』(昭文社)には一時期「忘路峠」の表記が
見られたが、最新版の『ヤマケイアルペンガイド』には
「恋路峠」の表記が見られる。

「忘路」でも「恋路」でも名前の響きとしては素敵だが、
一体どちらが本当の名前だろうか?

 地図を見ていると、いろんな表記があります。
見ているだけで飽きませんが、「これは、ちょっとどうなのよ」という疑問や、
ちょっと気になるヘンテコな表記もしばしば見受けられます。
なかには実際に現地へ赴いて調査してみたくなってしまうこともあります。

もしも、それらの表記が間違っているとすれば、これは大きな問題です。
一文字でも間違っていれば致命的です。

間違った表記が膾炙され、次第に定着し、後世に伝わるという危険性を孕んでいるからです。
本来の地名とは異なった名前が、通用し、定着してしまうことは、
峠の過去や歴史、由来を歪めてしまう危険もあるのです。
誤った伝説や言い伝えを生み出し、語り継がれることもあるでしょう。
(それがまたオモシロイという一面も持っているから厄介ですが)

地名には歴史があり、ある種の重みがあるものです。
そこには人の営みがあり、先人の努力や苦悩や喜びをも読み取ることができるのです。
地名や峠の名前は、人間活動及び人間感情の表象であるともいえます。
安易に変更したり、誤った情報が広く知れ渡り一般化していくことは、好ましいことではないと思います。

未来の峠マニア諸氏のためにも。