日向薬師尾根・梅ノ木峠ってどこなのよ

〜ヤマケイさん梅ノ木峠ってどこですか?〜

広沢寺駐車場・・・大釜弁財天・・・天神峠(梅ノ木峠?)・・・第1ピーク・・・第2ピーク・・・仮定・梅ノ木峠?

・・・第3ピーク・・・二ノ沢ノ頭・・・大沢分岐・・・すりばち広場・・・見晴台A/B・・・山ノ神峠・・・広沢寺駐車場

 『ヤマケイアルペンガイド丹沢』(山と渓谷社)の「日向薬師から梅ノ木尾根、大山」の項を見ていたら、
「梅ノ木峠」という見慣れない峠名を見つけました。
同本の地図には表記されていないのですが文章の中に登場します。
さて、「梅ノ木峠」とはどこにあるのでしょうか?手掛かりを求めて現地に入りました。


弁天岩とクライマー

広沢寺駐車場から大沢林道を歩きます。
途中の弁天岩には一組のクライマーが取り付いていました。

今日は気温が下がっているので心配はないですが、
梅の咲くこの季節の登攀は、
確保者がもし花粉症だったら怖くて集中できやしません。

登っている時に下から鼻をかんでいる音が聞こえたら、
相方は両手を離しているのか!と、ゾッとすることでしょう。
花粉症のビレイパートナーは御遠慮したいものです。


雨乞いの神様・大釜弁財天

しばらく大沢沿いを進むと雨乞いの神様として
信仰を集める大釜弁財天があります。
大きな岩の隙間から水が滴り落ちています。
見方によってはちょっとエッチな連想をしないでもないです。

御利益を授かろうと古くは尾根向こうの日向地区から、
七曲り峠、天神峠を越えて参拝に訪れた人もいたといいます。

沢の流れは清冽で気持ちが良い所です。
かつては七つの滝壷があったともいわれています。


大沢林道分岐点

爪先上がりをなおも進むと林道の分岐点に出ます。
奥のキャンプ場方向の林道も、右手の御髪尾根方向の林道も
ここから先の林道は共にゲートで閉ざされています。

地形図を見ると、日向山の西の鞍部である天神峠へは
この辺りから取り付くのが近いように思えますが、
それらしき標識や峠道は見られません。

左写真の杉林の中に、沢へ下りる踏み跡があったので、
とりあえず辿ってみることにしました。
頼りない踏み跡ですが、なんとか導いてくれそうです。


猛烈なブッシュ

沢を飛び石で越えると、ブッシュの中に獣道があり、
一応、ビニールヒモによるマーキングがつけられています。
これを信じて突入するも、ジャングルのような
ひどい潅木ブッシュでした。(夏場は通行無理)

短いブッシュを抜けると急斜面になり、獣道も怪しくなります。
まぁ、たいした高低差ではないので強引に尾根上に出ることも
できるだろうと遮二無二這い上がりを試みます。
しかし、出だしから立木に掴まる全身運動で大汗です。

急傾斜にビビリながらも、なんとか難所を克服すると、
天神峠から10mほど離れたしっかりと踏まれた峠道に出ました。
ズボンには一匹のダニがしがみついていましたが、
なんとか無事に目標ポイントに到着したようです。


天神峠
ここを梅ノ木峠としているのか?

日向山方面からはチェーンソーの音と、
作業員の声が聞こえてきます。
どうやら登山道の整備作業中のようです。
天神峠には作業用具が散乱しています。

さて、問題の「梅ノ木峠」とは、何処でしょうか?
この天神峠のことを指すのでしょうか?

峠名の書かれたものはないかと探しましたが、何もありません。 
「梅ノ木」の文字は、「←梅ノ木尾根0.18km」とあるだけです。

その梅ノ木尾根に向けて階段を登ると第1ピーク。
ベンチと標識が設置されています。


梅ノ木峠でどうだろうか?

鹿柵沿いに、左植林、右雑木林の道を進みます。
山桜も所々見られますが、尾根の名前の梅は見当たりません。

第2ピークのベンチに腰掛け、
上着のポケットをまさぐっていたら和菓子が一つ出てきました。
いつのものか定かではありませんが、
丁度、甘いものでも口にしたかったので、お茶休憩としました。

第2ピークからさらに西へ進むと、
弁天の森キャンプ場からの道を合わせる分岐に出ました。
おっ!ここが梅ノ木峠では?
梅ノ木尾根に出るのだから、
とりあえずここを「仮定・梅ノ木峠」にしておきましょうか。

標識に峠名は無く、そばの朽ち捨てられた標識にも
手掛かりとなる表示はありませんでした。


537m 第3ピーク (モミの大木ピーク)

第3ピークは、
「←奥の院1.0km・日向薬師1.9km→」の標識とベンチ、
そして、大きなモミの木があります。

周囲も亭々たるヒノキの林に囲まれています。
ここはいい。実に良いところだ。
道はいいし、静かだし、なかなかヤルな!梅ノ木尾根。

第3ピークは、双耳峰のようにも思えるし、
あるいは、三兄弟のようにも?
とにかく小さいコブが、あと二つ続きます。
北面には今回、下降路に使う674m峰の尾根がよく見えます。


浄発願寺奥ノ院分岐

木々の根が張り付いた大岩の道を
しばらく進むと、浄発願寺奥ノ院の分岐となります。
この分岐は、鞍部ではなく、
ちょっと登りに掛かった場所に位置しています。

まだまだ進行方向に道は続きますが、
標識は奥ノ院と、来し方、日向薬師を指しているだけ。
梅ノ木尾根と呼ばれるのはここまでなのでしょうか?

ここは標識指示の無い直進の道を進みます。
やや傾斜はキツクなるものの、
照葉樹林、落葉林、針葉林と変化に富んだ道が楽しい。
左手(南)には、雷ノ峰尾根を眺める。


二ノ沢ノ頭

地形図には標高点も山名も記されていない二ノ沢ノ頭に到着。
「神奈川県の水源の森」の標杭と、
座って休んでいきなよ!と、言わんばかりの丸太があるだけ。

お言葉に甘えて、丸太に腰を降ろし、
肩掛けカバンから99円のテリヤキバーガーひとつと、
暖かい紅茶の入ったテルモスを取り出して本日の昼食とする。

車のガソリンを満タンにすれば、東丹沢なら4,5回は来れる。
昼食代は大抵パン一個の99円。
どんなに贅沢しても、のり弁当290円までだから、
登山とは、なんて安上がりな趣味だろうか。


大山を望む 意外に複雑な地形

二ノ沢ノ頭の雰囲気は実に良い。
赤松が数本と、北東面は自然林、西面はヒノキの林だ。
南に続く怪しい踏み跡は「伊勢原青年の家」に降りる道なのか?
丸太に腰掛けると、雷ノ峰がよく見える。

それにしても、静かなピークだ。
飛行機の音と下界の産業活動の音が微かに聞こえるだけ。
それと小鳥達の囀りだけだ。

上司の声高な指示も、部下の言い訳も、同僚のボヤキも、
カミサンの愚痴も、子どものワガママも聞こえてこない。
テレビに映る薄ら笑いのアナウンサーが原稿を読む声も、
戦場の砲音も、テロの犠牲者の叫びも、国会の空回りの答弁も、
山に居ると何も聞こえてこない。


ヤセ尾根もある

腰を上げて778m標高点東方の大沢分岐に向かいます。
それにしても一貫して歩き易い尾根道だ。
奥ノ院分岐からは標識の設置は一切無いが、
ハイキングコースといってもよいほどの道だ。
地形図や「山と高原地図」に
登山道の記載が無いのが不思議なくらいだ。

危険箇所も無いので、
十分一般コースに成り得ると思えるが、静寂を保つためにも、
どうかこのまま昇格(ある意味、降格)しないで欲しいものだ。

大沢分岐までは、
左写真のようにアセビの生えるヤセ尾根もありますが、
たいしてダイエットされた「ヤセ」ではない。


大沢分岐

大沢分岐を左に折れれば、
唐沢峠のある尾根を経てから大山へ至る道となる。
今回は右に折れて、
鐘ヶ嶽の手前、山ノ神峠から早々に下山する計画だ。

大沢分岐から鹿柵沿いの道と短いガレ道を通過すると、
不動尻への分岐に導かれる。
この辺も道は明瞭だが、
地形は若干複雑なので地形図は携行したい。

「巨木の森」への標識があるが、
どれほどの「巨木」があるのか気になるところだ。
行ってみたいとも思ったが、今回はヤメにした。
「木」ではなく「乳」だったら走って駆け下りていたかもしれない・・・


不動尻分岐のあずま屋

不動尻分岐には、避雷針と雨水集水装置が付いた
立派な東屋がある。
四人揃えば立派な雀卓にもなりそうな代物だ。

杉林の向こうに雪の溜まった窪みが見える。
ここがどうやら「すりばち広場」のようだ。
杉の根元に朽ちた標識が転がっていた。

右手の鹿柵の扉の向こうに続く道は、
キャンプ場への道であることを道しるべが示している。


雪の残る「すりばち広場」

一体この窪地は何の跡だろうか?
炭焼釜跡か?山岳宗教施設の跡か?
『丹沢・桂秋山域の山の神々』(佐藤芝明著)では、
隕石落下によるクレータ痕ではないかと推測している。

似たようなクボミは三頭山の東尾根で見たことがある。
たしか、凍土により侵蝕された自然地形だとの説明が
あったような気がする。
う〜ん、それによく似ているが・・・どうだろうか?
まぁ、UFOの着陸跡ではないだろう。


朽ちた「見晴広場A」の看板

赤松の目立つ鹿柵沿いの道を行くと「見晴台A」に到着。
たしかに、大山・三峰などが見えるが、
果たして「見晴台」と銘打った看板を建てるほどのものか。

鐘ヶ嶽も、まぁ見えるが、その背後のゴルフ場が目障りだ。
これはわざとゴルフ場を眺めさせることで、
自然保護の大切さを啓蒙する厚木市の高尚な教育的配慮
なのかもしれない。


見晴広場AとBの間からの眺めは良好

ちなみに「見晴台A」と「見晴台B」の中間に、
見晴台よりも展望の良い場所がある。

「見晴台A’(あるいはB’)」と呼ぶのかは知らないが、
谷太郎川の谷間がなかなかの眺めだ。

おっ!鐘ヶ嶽の後方には痛めつけられた高取山も見える。
これを見せたくない為なのか、ここには「見晴台」の看板は無い。


見晴広場Bの壊れた看板

次に訪れる「見晴台B」は見晴台と名乗るのもおこがましい。
モミと潅木で、さしたる眺望は無い。
「見晴台B」と「厚木市」と書かれた看板の残骸が、
散乱しているだけ。

見晴らしがないので、
「厚木市」と書かれた残骸を踏んづけて気晴らし?

こんな看板を設置するなら、
ここには「鐘ヶ嶽」方向を示す標識を取り付けるべきだ。

トンチンカンな登山者は、ここで曲がらずに
尾根を直進してしまう可能性がある。


御髪尾根への道

ちなみにトンチンカンにも踏み跡の明瞭な尾根を
そのまま直進してしまうと、小キレットを越えて、
左写真の分岐に行ってしまう。

「←見晴らし広場・ひょうたん広場キャンプ場→」の道しるべと
灰皿用(?)の土管が転がっている。

先の尾根は御髪尾根に行く道だ。
鐘ヶ嶽へは、それが見える方向通りに、
「見晴台B」の看板の裏手に続く尾根を辿るのが正解だ。


山ノ神峠

しばらくは鹿柵沿いに下り、
テープがゴチャゴチャ付いている所で左に曲がる。
足下には林道もチラチラと見える。

テープで曲がらずに、そのまま真っ直ぐ行ってしまうと、
おそらく山神隧道から林道ゲートの間にある
「保安林」の看板がある仕事道に出るのだろう。

短いガレを慎重に下ると山ノ神峠。
ここまでくると山里は近い。

結局のところ、「梅ノ木峠」は何処なのかよく判らずに終わってしまった。
しかし、まぁ、山歩きが十分に堪能できたので良しとしましょう!

ヤマケイさんは、もしかしたら「尾根」と「峠」とを、ただ単に誤植したに過ぎないのかもしれません。
そんなことは薄々勘付いていましたが、山を歩く理由を無理矢理にでも見つけないと、
花粉症のこの季節は、山から足が遠のいてしまいますので。 エヘヘ・・・

ちなみに梅ノ木尾根とは何処から何処までを指すのか判りませんし、それが正式名かも不明です。
日向尾根あるいは薬師尾根という呼名も正式名称なのかは自信がありません。