北海道の峠で

過去の一時期、北海道にハマッテしまった事がある。
いわゆる、北海道病と呼ばれる症状である。
7年連続通いつめ、内2年は2ヶ月も滞在していた。
バイクにテントを積んで、キャンプ場を転々とし、
北の雄大な山々を跋渉していた。
濃厚なハイマツの匂いと、ヒグマの気配漂う山の深さに魅せられて、
通いつめる羽目となってしまった。

無意識のうちに多くの峠も越えた。
狩勝・日勝・石北・三国・勝北・知床・幌鹿・白樺・中山・美笛
広島・目名・礼文華・静狩・追分・オロフレ・川汲・浮島・上紋
天北・塩狩・於鬼頭・深山・幌加内・旭川・根北・トーマル・清里
野上・美幌・津別・釧北・足寄・金山・柱・北見・新見・・・etc.

縦横無尽に駆け巡ったが、なぜか写真を撮った峠は2〜3箇所だけだった。

それぞれの峠に感動しなかったわけでもないし、
まして峠に関心が無かったわけでもないのだが・・・。
バイクというエンジン付きの乗り物で越えたせいでもないらしい。

どこか内地の峠とは違う、違和感に戸惑ってしまったのかもしれない。
なんか手に負えないという感じ、自分の持っている峠の感覚の範囲を
大きく逸脱した感じに襲われたせいかもしれない。
大陸的というか、雄大というか・・・。

路傍に佇む石仏や、朽ちかけた道標、
藪に埋もれ消えつつある踏み跡、山麓の静かな集落、
こんなイメージが、どうやら私の抱いている峠路のあるべき姿らしい。

時折り、北海道病の禁断症状が私を襲い、
すべてをなげうって、ザックを背負い込み北の大地へと駆り立てようとする。
そんな衝動を押さえ込むのは一苦労だ。
実は、カムエクとポロシリに登ってから、日高山脈に魅了されて、
日高全域の地形図など用意して、既に臨戦体制なのだ。

誰か北海道病の治療法を知っている方は教えて欲しいものだ。

 

 

P.S.
三国峠が未舗装だった頃の峠越えが懐かしい。
どんよりした厚い雲に覆われ、今にも雨が降りそうで、
永遠に続くと思われたダートにパンクするのではという不安、
ヒグマでも飛び出して来そうな深い森、森、森。
この先、到底人家など無いのではという寂寥感とガス欠の焦燥感。
辿りついた寂れた温泉街、なにもかもが懐かしい。