鐘ヶ嶽北尾根 ・ 山神様が見守る尾根越の道

〜前半はダニの恐怖、後半は花粉症地獄を味わう〜

広沢寺温泉P・・・(自転車移動)・・・緑小学校・門原大橋・・・291m三角点・・・石切り場・・・山の神・・・鐘ヶ嶽

・・・山ノ神峠・・・広沢寺温泉P・・・(自転車回収)・・・清川村福祉会館2階図書室


鐘ヶ嶽 561m  (浅間山・大応岳)

麓から眺めると本当に鐘のような山容をしている鐘ヶ嶽。
小さいながら独立峰のような姿から、
眺望も良いのではと期待していましたが、
山頂付近は植林に覆われて、まるでダメでした。
鐘ヶ嶽は登るより、
麓から仰ぎ見る山なのかもしれません。

しかし、北尾根は歩く人が少ないようで、
静かな山歩きを十分に堪能できました。


 天気予報のカワイイ顔したお天気お姉さんが、
コワイ顔して、「花粉が非常に多くなります。十分な対策をしてお出掛け下さい」と、
おどかすものだから、行くか行くまいかと逡巡しているうちに時は過ぎてしまった。

お昼ちょっと前に、広沢寺の駐車場に車を停め、
いつもより奮発した「のり弁当」(290円)を食べ終え、
入山口である北尾根末端の緑小学校に向けてペダルを漕いで自転車で移動する。


門原大橋の北尾根入口

北尾根を歩く人の大半は
別所温泉あたりからのびる破線道を利用して
尾根に乗る人が多いようだが、
地形図を見ると三角点291m峰の北から
さらに小学校マークまで破線道はのびている。
今日はこれを拾って歩こうというのだ。

入山口は緑小学校の前、門原大橋の袂からとなる。
土手を下ってすぐ小さな橋で門原沢を渡る。
なんかジメジメしていて、ヒルの棲家のようでもある。


門原沢の堰堤と小さい水門

わずかに土手を登って畑に出た途端に、
早速、進路に行き詰まってしまった。
ここは蓋のされた用水路の上を歩いて、
左写真の堰堤と小さな水門に辿り着くのが正解だ。

ここからが問題、鹿柵に沿って直上するのが
正解だっただろうに、沢沿いの踏み跡をしばらく進んだ。
これはおかしいと獣道の植林斜面を這い上がることに。

笹ヤブも現れるが西丹沢じゃあるまいし、
ダニの心配はないだろうと高を括っていたのが失敗。
ワー!見事にダニが付いている〜!


鹿柵沿いの登り道

ダニとの遭遇は予測していなかったので、
上着はフリース素材のものだ。
取り付いたダニはなかなか弾き飛ばすことができない。

しばらく笹を漕ぐと、本来の道に出た。
しかし、歩く人は滅多にいないとみえて、凹とした部分には
落ち葉が溜まって歩き難い。
さらに笹が道を隠すので、掻き分け掻き分けしなければ
ならずダニへの警戒も怠れない。

猛烈な獣の臭いが漂っているが、
これはどうやら麓の清川村畜産センターからの臭いのようだ。
ここは夏場は歩かない方が良いだろう。
笹ヤブ、ダニ、悪臭、蜘蛛の巣に辟易するに違いないから。
もしかしたら落ち葉の下からはヤマヒルが
歓迎してくれるかもしれない。


笹深い291m峰三角点

291m峰の三角点は笹深い中にあった。
山名標識はないようだ。
まさに不遇の山である。

山頂を過ぎ笹ヤブが薄れると、
やっとダニの恐怖からは解放された。
入山口から山頂まで10匹程度のダニに取り付かれた。
しっかり衣服を払い落とし、靴の中まで点検して一息つく。

鹿が居て、笹ヤブのあるところは、
どこでもダニの恐怖がつきまとうようだ。


291m峰西肩の峠の山ノ神

ダニの恐怖を耐え忍んだ御褒美に、
291m峰の肩には名も無き峠道が待ってくれていた。

崩れた石の祠と、木製の祠が祀られている。
祠の中には「山ノ神大山祇命」と書かれた札が納められていた。
地図には載っていない別所側からの道と、
かすかだが門原沢側への踏み跡がある。

入山時の取り付きの沢沿いの道を進み、
詰め上げていれば、きっとこの峠に出たことだろう。


峠には巨大な三つの丸岩がある

峠には巨大な卵形の石が三つあった。
信仰の対象になっているのかもしれない。
三峰方面の展望もある。

峠から西に進むとモミの木聳える分岐がある。
右手(北)は、もう一本の北尾根末端尾根のようだ。
地形図の谷太郎と根岸の文字に挟まれた支尾根だ。
どうやらこちらから北尾根主線に乗った方が
道が良かったらしい。(地形図に破線なし)

左手(南)に青いヒモがあり、
ここから鐘ヶ嶽北尾根の主線が始まる。


石切場の峠

しばらく南下すると鹿柵があり扉をくぐる。
(ここも尾根越の道のようで両側に作業道がある)
柵と並行して歩き、また鹿柵をくぐると石切場のある峠となる。
地形図を見ていて気になっていた峠だ。
峠に名前は無いのだろうか?
別所、新屋敷から谷太郎川筋に出る道が北尾根を越えている。

オーバーハングが凄いが、
フリークライミングのプライベートゲレンデとしても
楽しめそうな大岩がある。 
クラックも走りピトンも打てそうだ。
グレードは12aとか12bだろうか?
とても自分には登れそうもない。


第2ピークは福神山420m

第1ピークを越え、尾根を越える作業道を見送ると、
第2ピークの420m峰となる。
木々の合間から痛めつけられた荻野高取山を
目にすることも出来る。

手作りの山頂標識があり「福神山」とあった。
そうすると第1ピークは、差しずめ「らっきょう山」か?


山ノ神が祀られる峠

緩やかな尾根道を進むと
地形図の破線が越えている場所に出た。

二つの石の祠が寄り添うようにして佇み、
山旅人をやさしく見守ってくれている。

ここまで幾本かの尾根越の道があった。
山神様の祠があったのは、ここと291m峰の肩の峠だけ。
いずれも今は山仕事の方のみが通るだけだろうが、
かつては石切場から切り出した石を運んだ道でもあったらしい。


鐘ヶ嶽山頂の石仏

ここから鐘ヶ嶽山頂までは、スギの幼木林の急登である。
峠からは真正面の鹿柵の扉ではなく、
右手寄りに少し下がった位置にある扉をくぐることが肝要だ。

地形図を見ると峠から一旦左手に流れて、
鐘ヶ嶽の北東尾根を登るかのようにあるのだが、
山頂へは北尾根直登を強いられる。

最後に鹿柵を再びくぐり、雑木の斜面を経て、
植林帯のマーキングに従えば、
二体の等身大の石仏が待つ山頂となる。

山頂の手前からチャルメラの音が聞こえてくるぞ?と
不思議に思っていたら、山頂でオジサン二人組が
ハーモニカの練習をしていた。
なぜこんな山の上で・・・?


山ノ神峠

山頂は二体の石仏(不動明王?)以外見るべきものは無く、
周囲の展望は植林に隠されている。
休憩したい気分だが、ハーモニカ練習の妨げになっては
いけないし、耳障りなので先に進むことにする。

どうも鼻がムズムズしてきたゾ。
ここに来て、花粉症が発症したらしい。
山頂から山ノ神峠への道は、南からの風が強く
許容範囲以上の花粉が漂っているようだ。

一度鼻をかむと、その後はとめどなく鼻水が
ダラダラと流れ出してくる。
今年に入って初の本格的発症だ。
こんな突然にやって来るとは・・・
お天気お姉さんの言うことを聞いておけばよかったと
後悔しても、マスクすら持ってきていない。


山ノ神峠

山ノ神峠は春の明るい陽射しを受けている。
前回訪れた時よりも、すっきりした印象があるのは、
南面の自然林を間伐したかららしい。

山ノ神峠〜鐘ヶ嶽間は
厚木市がハイキングコースとして整備をしているらしい。
緊急時の現在地確認用の標識も
一定距離ごとに設置されている。
峠から林道に降りる道も、以前より鎖が補強されているようだ。


山ノ神峠の石祠と役の行者(?)像

峠の山神様も健在で、相変わらず威厳と風格のある
役の行者(?)像が待ち構えている。

右手に杖を持ち、左手に巻物を持っている
この像には、どんな謂れがあるのだろうか?
鐘ヶ嶽から大山への修験の道があったのかもしれない。

この祠と神像が、
この峠に漂う独特の雰囲気を醸し出している。


山神隧道とバイオトイレ

この先どうするか迷った。
奮発した「のり弁当」のおかげで体力もまだ余っている。

大沢分岐方面に行きたいが、
出発が遅れた為に中途半端な時間となっているのが
いただけない。

それになによりも花粉症の症状が悪化する一方だ。
鼻水ダラダラ、クシャミもとまらない。
ポケットティッシュの在庫が尽きた今となっては、
下山するしか仕方が無い。

峠から林道に下りると、
立派なバイオトイレが二基設置されているのを見た。
ソラーパネル付きで金が掛かっている代物だ。
厚木市も登山道環境整備に目覚めたかと感心したが、
不動尻からの大山ロープウェイ設置構想の
周辺環境整備事業の一環ではないかと
少々、心配にもなる。
そういえば、広沢寺駐車場前の橋も、頑丈なコンクリ橋に
架け替え工事中であった。
大山ロープウェイ建設の布石でなければいいのだが。


廃屋の隣にあった大平石切場の碑

鼻にティッシュを詰めて、林道をテクテク歩くと
廃屋の隣に「大平石切場」の碑を見た。
鐘ヶ嶽周辺はどうやら石切場としての歴史もあるようだ。
信州高遠の石工が移り住んだという話もある。

山頂の石像や峠の石祠、表登山口の丁目石も、
麓で産出された石で造られたものなのかもしれない。
また、これらの石切場は七沢城と関係が深いのかもしれない。

山里の梅は今が盛りと咲いているが、
鼻水で詰まってしまった鼻では、
芳しい梅の香りを愉しむことはどうやらできそうもない。
お天気お姉さんのコワイ顔を思い出して帰路に着いた。



山ノ神峠の神像?

一体、何者なんでしょうか?

修験者?役の行者でしょうか?
妖術使いや忍者だったりして。
影の軍団のカシラのようにも見えますが。

●下山した時間が早かったので、清川村役場の隣にある福祉会館二階の図書室を訪れました。
 『平成11年度清川のこみち』、『昭和57年度清川村地名抄』という良書を発見。
 山道や地名について詳しい解説があります。
 (両書とも教育委員会で購入することが出来ます)