ギフチョウの里の峠 / 牧馬峠・川上峠

 

「川上峠」の名前は、『中央線の山を歩く』(藤井寿夫著・新ハイキング社・平成10年)という書物の中の
「石砂山東尾根」という紀行文で目にした峠です。
地元神奈川県の峠でありますので訪れてみることにしました。


石砂山 山頂
578mの低山ですが展望は良好

地図には載っていませんが、
牧馬峠からは石砂山に続く山道があります。【*1】
峠のギフチョウ案内板の背後から冬枯れの雑木林の中へ
心地好い道がのびています。

ちいさなピークを三つほど越えるのですが、
巻道がついているので苦ではありません。
道もはっきりしていて、
丹沢の山なみを眺めながらの楽しい山歩きです。

石砂山直下の急登でひと汗かけば、
見事な展望の山頂に立つことが出来ます。


落ち葉の海

南面にはドカッと焼山が巨体を構えています。
麓には道志川流域の青野原の家並と畑が展開しています。
遠く西方には雪を被った富士が遠慮がちに顔を見せています。

明るく静かな山頂です。
ここにも「ギフチョウ採集禁止」を呼びかける看板があります。
藤野町、牧馬峠はよく訪れますが、
いまだギフチョウが舞う姿を見たことはありません。
蝶の卵や幼虫、サナギを盗みに来る連中のせいでしょうか。
県指定記念物ギフチョウが生息できる環境がいつまでも
保たれて欲しいものです。


499m峰の石祠

ベンチに腰掛けバナナを頬張り、いざ川上峠へ。
木製階段を下り始めると西手に広大なゴルフ場が展開します。
ああ、ギフチョウの姿が消えていくのは、
心無い人が蝶を無闇矢鱈と採集するためだけではなく、
ゴルフ場の侵蝕のせいではなかろうか!

東海自然歩道と分かれてp572を登ります。
のっぺりした山頂で踏み跡は消滅してしまいましたが
北にp499が見えていますのでその方向に向かって
落ち葉の海を下ります。

深い落ち葉の海は急斜面なので
滑って転んで溺れないようにしないといけません。


推定・川上峠

p572を下りきった鞍部が川上峠だと思いますが、
先に紹介した本では石祠のあるp499を峠としています。

やはり鞍部が峠であると判断して、
手製の「川上峠」の標識を取り付けました。【*2】

石仏でもあれば峠の感じが出るのですが、
雑木の中の何も無い峠です。
西方はゴルフ場に占有されているので、
川上集落へ下る道は既に消滅しているようです。


篠原側の最終民家
川上峠を望む

峠から微かな踏み跡を拾って東方の篠原集落に下ります。
前半は獣道のような頼りない道でしたが、次第に明瞭になり
峠道らしくなってきます。

かつては里人が炭焼きに通った道かもしれません。
あるいは薪炭を求めに落ち葉の海に繰り出していった
道かもしれません。

畑が現われると最終民家もすぐそこで、
峠歩きも終わりをむかえます。
民家の前に東海自然歩道の石砂山登山口がありました。
もう一度石砂山に登ろうかとも思いましたが、
素直に車道を歩き牧馬峠に戻りました。

自然破壊的ゴルフ場を見た後なので、
峠のギフチョウ案内板が空しく感じられました。

【*1】

牧馬峠から石砂山に続く尾根に、中沢と篠原を結ぶ古道らしきものが見受けられます。
あるいは旧牧馬峠という可能性もあるのではないでしょうか?
現地の人に聞いてみようと思っていたのですが、里人の姿を見かけませんでした。
みなさんゴルフ場に働きに出ているのでしょうか・・・。

【*2】

『中央線の山を歩く』に記された「川上峠」は、p499を指す「ドッケ」系だったようです。
川上峠と推定した鞍部は、『ふじ乃の地名』によると「オオダルミ」と呼ばれているとのことです。
後日、設置した標識を撤去するために
再訪した時のレポートを見る。


【後記】

後日、石老山登山を兼ねて再び石砂山に登りました。
篠原〜石老山〜牧馬峠〜石砂山〜東海自然歩道〜篠原というコースです。

牧馬峠の旧道があるのではないかと思ってのことです。


安政年間の石祠

石老山から牧馬峠に向けて、地図に載っていない山道を辿ると
古い山ノ神様の石祠がありました。

その前を、尾根を横切るように踏み跡が越えていました。
牧馬と篠原を結ぶかつての越路でしょうか?


牧馬峠の西の鞍部

牧馬峠から石砂山へ向かう尾根道も地図には載っていませんが、
気持ちの良い雑木に囲まれた静かな山道です。

最初の小峰を巻いた所に、中沢と篠原を結んでいたのではないか
と思える小さな鞍部があります。
微かに踏み跡らしきものもあるような、ないような・・・。

あるいは、こちらがかつての峠路だったのではないでしょうか?

さらなる調査が必要です。


ギフチョウ?
違うね!!

そもそも、旧道などなく、現在の車道が抜けている峠が
古くからの牧馬峠なのかもしれません。
しかし、なんとなく確信が持てません・・・

石老山・石砂山の両山頂には左写真の蝶が飛び交っていました。
これがギフチョウでしょうか?(違うね!)

だとしたら、収獲ありの山歩きなのですが・・・
なにせ「春の女神」と呼ばれている蝶ですから。