峠の企画もの

 

登山界では独創的な趣向で山歩きをしている方が多い。
例えば、「全国にある〇〇富士と呼ばれる山を専門に登る」とか、
「〇〇駒ケ岳を専門に登る」とか、「人跡未踏のヤブ山の専門家」だとか。

あるいは、「その年の西暦と同じ標高の山を登る」とか、
「干支の名前の付いた山に順次登頂を果たす」とか様々である。

峠歩きでも、なにか変った趣向で楽しめることができるかと考えてみた。

「日本百名峠」や「日本三大峠を歩く」では平凡だし、
「標高の高い峠ベスト10を歩く」では疲れそうだ。

「犬越路峠を犬と歩く」、「猫越峠を猫と歩く」は、
イケそうだが、あいにく犬も猫も飼っていない。

「全国の富士見峠から本当に富士山が見えるか」、
「六国峠・七国峠・十国峠から本当に同数の国が見えるのか」、
「七曲峠・二十曲峠・四十八曲峠は本当にそんなに曲がりくねっているのか」、
「八町峠・六十里越・八十里越は実際にはどれくらいの距離なのか」、
なんていう企画はどうだろう?

課題が気になり過ぎて、
本来の峠歩きの楽しみを見失ってしまいそうだ・・・。

「植物の名前の付いた峠を専門に訪れる」
という企画はどうだろうか?

桜・杉・松・栂・榎・楢・木賊・野麦など植物の名のついた峠を専門に訪れる。
しかし、現況の植生を調べて見たところで、
往時とは様変わりしているのは当たり前のことだろうし・・・。

でも、桜峠で花見ができたり、
紅葉峠で紅葉を愛でることができたら素敵だろうな。

「人名の付いた峠を専門に訪れる」
という企画はどうだろうか?

権兵衛峠・孫四郎峠・権次入峠・九左衛門峠・五右衛門峠・八太郎峠
など人名の付いた峠を訪れて名前の由来を探索する。
子孫がいれば峠で記念撮影というのは面白いかもしれない。

でも、峠につけられた名が男の名前ばかりというのはヤル気がそがれる。
(松島)奈々子峠とか(藤原)紀香峠とか(伊藤)美咲峠とかシャラポワ峠でもあれば
訪れてみたいものではあるが・・・。

 

登山界で注目の「干支の付く山」からアイディアをパクって、
「干支の付く峠」を考えてみた。

甲子峠
牛首峠、牛転峠、牛鬼峠、牛鳴峠、牛山峠、牛ヶ首峠、牛引峠
虎ヶ峰峠
卯坂峠、卯辰峠
龍ノ口峠、辰巳峠、登龍峠、竜峠、竜在峠、竜ヶ飲水峠
五蛇池峠、蛇峠山、蛇ヶ乢、蛇石峠、
引馬峠、馬越峠、駒鳴峠、駒繋峠、駒止峠、数馬峠
 
猿ヶ馬場峠、野猿峠、猿田峠、猿越峠、猿羽根峠
鳥越峠、酉谷峠、鳥居峠、鳥居地峠、鳥打峠、鳥首峠
犬越路峠、犬切峠、犬鳴峠、犬挟峠、犬打峠、犬流れ越、犬伏峠
猪之頭峠、猪鼻峠、猪子峠、猪膝峠、猪ノ熊峠、猪ノ倉峠

「子」は苦しいし、「未」は思いつかない。
「未」で苦しむのは、山の名前も同様だ。
でも、山には未丈ヶ岳や羊蹄山があるから救われる。
「未」の名が付く峠はあるだろうか?

牛・馬・鳥・犬など人々の生活と密接に関わりのある動物の峠名は多いようだ。
ネズミやウサギやイノシシだって、もっとあってもいいのだろうになかなか思いつかない。

だいたいにして羊は昔から日本にいたのか?

日本にいない「寅」や架空の動物「辰」があるのだから
「未」の名の付く峠も欲しいところだ。

というわけで、干支の峠歩き企画も未完で終わってしまった。


西暦と同じ標高の峠はどうだろうか。
そもそも2000mを超える峠など少ないし、
あっても歩くのが辛い。
飛騨乗越があるから西暦3000年ぐらいまでは楽しめそうではあるが。

だいたいにして、いかに負担が少なく、山の低く撓んでいる所を
越えるかということでつくられた峠なのだから、
西暦年と同数の標高の峠となると、
奈良・平安時代ぐらいのものが圧倒的に多いのではなかろうか。

やはり、こうなると残るは、
「金山峠や札金峠で一獲千金」とか、「恋路峠で恋に落ちる」とか、
「乙女峠で乙女と出会う」、「美女峠で美女とめぐり会う」という
貧しい企画しかないのかもしれない。