峠の禁断症状![]()
ひとつの峠から帰ると、またすぐに次の峠へと思いが募る。
これはあきらかに峠中毒である。
朝、布団から這い出して窓の外に青空が広がっていると
居ても立ってもいられなくなり、
ザックにカメラと地図を放り込んで
まだ見ぬ峠を求めて山間の村々を彷徨ってしまう。
一回の峠行で、たくさんの峠を巡り、
お腹一杯に峠の食い溜めをすれば、
しばらくは峠への想いも収まり
そんな気も起こさないかと思ったが
さにあらず
もって二、三日で、峠の禁断症状が襲いかかってくる。
夜、寝る前に地形図なんか眺めたりしてしまったら、
いつまでたっても眠りにつくことなどできない。
羊の代わりに峠の数でも数えて眠りに落ちるのを待つことになる。
寝ていて夢にまで地形図の破線や峠の姿などが
現れてくるともう重症で、
あそこの峠はどうなっているのだろう
あの峠の先はどんな道が続いているのだろう
などと頭の中でとめどなく峠への想いが湧き出してくる。
無数の峠名が頭の中をグルグルしだしたら
かなり危機的状況だ。
峠中毒の症状を和らげるにはどうしたらいいのだろうか?
峠行を我慢するのは体に悪そうだし
逆に過度の摂取も何ら解決に結びつきそうもない。
適度に峠へ足を運び、
峠への熱い想いを鎮めるしかないのだろうか。
さて、適度とはどれくらいのことだろうか?
買物依存症とかパチンコ依存症とかいった言葉を耳にするが、
どうやら私は峠行依存症かもしれない。
日々の生活で満たされないものを補うために、
あるいはストレスを解消するために、
峠を彷徨い、峠に救いを求めているのかもしれない。
人生の峠もうまく越えたいものである。