最初で最後(最期?)の雪の西山

美登利園脇入口-高取山-華厳山-寺鐘尾根(仮称)分岐-464m峰-327m峰-寺鐘橋

●厚木市の経ヶ岳-華厳山-高取山を結ぶ尾根は通称、西山と呼ばれています。
 また「相州アルプス」の愛称もあり、地元の方をはじめ多くのハイカーに愛されています。
 しかし、採石場拡大の為に高取山以南の稜線部分が約1.2kmに渡り200m削り取られようとしています。
 この暴挙を、良識ある厚木市民、厚木市議会が阻止してくれるでしょう・・・きっと・・・たぶん・・・。
 大山に新たにロープウェイ建設をする発想を持つ市長じゃ、ちょっと心配でありますが・・・。


 通称、西山の高取山以南の尾根が採石場によって破壊される前に是非歩いておこうと、
雪の降った翌日に最期のお別れ(?)に行きました。
高取山以南は初めての訪問ですが、これが最初で最後(最期)の訪問になってしまうのでしょうか?
雪の高取山南尾根は、もう二度と味わえないのでしょうか?


「相州アルプス」登山口とある

暖かくなってきた朝9時半過ぎに自宅を出るという遅い出発。
昨日降り積もったはずの平野部の雪は溶けている。

原チャリで登山口に着いたのが11時。
十分日帰りで楽しめる大切なフィールドだ。

登山口には立派な「高取山主稜登山口」の標識がある。
きっと、この山域を愛する人の手によって作られたものだろう。
行政がこんな洒落た標識を設置するはずはないだろうから。


巻道(付替え道?)の分岐

中腹までは、雪は疎ら。
かすかに道を隠す程度で、かえってグチョグチョで滑り易い。
笹を掴みながら転ばないように進む。

マーキングや手書きの味のある標識も設置され迷うことはない。
多くの人に歩かれているようだ。

しばらく行くと巻道(付替え道?)の分岐がある。
直進する道(主稜への道)には何の標示もない。
通行禁止の案内表示もないので主稜に向けて直進する。


上飯山分岐からの尾根は通行禁止

主稜線に出る前から雪は深くなり、
滑り易い急斜面は木々に掴まりながらの登行となる。

稜線に出ると高取山に向かう尾根にはトラロープが張られ、
「私有地につき立入禁止」の標識がある。
封鎖されたロープの向こうに鹿の足跡が続いている。
鹿クンや狸クンは字が読めないし、
そもそも山が私有地だとは思いもよらぬ事だろう。

反対側の尾根にも道があり、「上飯山へ」の標識が付いている。
ここまで来て、戻るのも癪だ。
しかし、「私有地」という言葉は重い。


採石場のヒナ壇

不法侵入は立派な犯罪なので、
安易に立ち入ることは出来ない。

山を削り殺す罪と比べ、どちらが重罪かは、
愚かなボクには判らないが。

だから止むを得ずワープすることにした。 ワープだ!


写真中央の黒い点に注目

左の画像は何だコリャ?だけど、
オオタカ(多分)が空を舞っていたのです。

デジカメ望遠最高倍率だけど、
ほとんど見えませんね。
ただの黒い点ですね。 ^_^;


発句石

天気が良すぎて、木々の枝に積もった雪が解け、水滴となり、
まるで雨のように降り注いできます。

高取山の涙雨でしょうか?
まるで高取山が泣いているようでした。

この先、高取山を取り巻く環境はどうなってしまうのでしょうか。

重機が採石場の石を切り崩すように、
山や自然を愛する人の思いは、
いともたやすく崩されてしまうのでしょうか?

採石場の「石」と、人の「意志」、どちらが脆いだろうか。


高取山側の尾根封鎖現場

高取山頂側の尾根封鎖も厳重に施されています。
無断で立ち入ってはいけません。
でも、市の観光スポットである「発句石」はトラロープの向こうです。

「発句石」も〇〇興業の私有財産なのでしょうか?


尾根は雪深い

山頂に近づくと雪は一層深くなりました。
所によっては膝まで潜るほど。
低山なのに実に楽しい。
獣の足跡以外、人間の足跡はない。

思い出深い、雪深い、「お別れ(?)山行」になりました。


高取山

高取山の三角点に腰掛けて、
99円パン一個とテルモスの紅茶で小休止。

土曜日なのに足下からは採石場の粉砕機の音や、
ダンプの騒音、サイレンの音やらが聞こえてきます。
そんなに頑張らなくてもいいのに・・・

砂利って需要が高いのかな?
きっとボクらの生活でも多分に恩恵を受けているのだろう。
しかし、だからといってたやすくも山を切り崩していいものだろうか。
一度着手すると二度と復元できないのだから。


高取山から見る厳冬の大山

山頂からの西側眺望は足下の出来事を忘れれば見事だ。
厳冬の大山が実に格好いい!

東側は実にヨロシクナイ。
眼下のゴルフ場にウンザリだ!
1/25000図「厚木」には、四つものゴルフ場が載っている。
そのゴルフ場地が地形図に占める割合は非常に高い。

雪の降り積もったゴルフコースも見える。
あれじゃプレイ出来ないだろう。
ザマミロと呟いて山頂を後にした。


寺鐘尾根(仮称)分岐

以前、宮ヶ瀬から高取山まで歩いた時に下降した
舟沢に下る道を見送って、今回は、寺鐘尾根を下降する。

寺鐘尾根分岐の目印は鳥獣保護区の看板と山桜。
雪が無ければ踏み跡もハッキリしているのかも知れない。

ここまで来たのだから、取り敢えず華厳山に行ってみよう。


華厳山への尾根

高取山から華厳山の尾根は落葉樹林帯で気持がいい。
雪もフカフカで、尚且つ新雪につき誰の足跡もない。

大山、三峰の雪姿も美しい。
きっと丹沢核心部は大雪だろうな。

アブラチャンの群落は春の芽吹きを静かに待っている。


華厳山 (天丸)

華厳山は天丸との別名もあるようだ。
この山頂にも誰の足跡も無い。
宮ヶ瀬からの登山者とすれ違ってもいい頃だが、
深雪を警戒したのか今日は登山者がいないようだ。

山頂標識の裏から続く尾根は用野に下る道のようで、
テープのマーキングがついている。


分岐下の大岩群

【仮称】寺鐘尾根分岐に戻り、未知のルートに足を踏み入れます。

急斜面を木々に掴まりながら慎重に下ります。
左写真の大岩群を通過すれば尾根に乗っていることの証明です。

この大岩にも発句石のように何か刻まれてはいないかと
探してみましたが、ただの岩でした。


マーキングもある

さらに傾斜のきつい斜面を下ると、幹に巻かれたテープを発見。
こんな尾根にも訪問者がいるようだ。

464m峰との鞍部付近は鹿の足跡や糞が多く見られる。
どうやら鹿のネグラとなっているようだ。

隣の尾根や背後から猟犬の鳴き声が聞こえてくる。
今日は猟師が入っているようだ。
誤って撃たれなければいいのだが、
こんな日に限って上下灰色の地味な服装だし、
鈴もホイッスルも持ってきていない。


464m峰

464m峰は平凡な小台地。
黄色テープが巻かれているが山名標示は無い。

木々間から高取山の下部、つまり、採石で痛めつけられた姿を
見ることが出来るが、その全容は望めない。

鹿除けの金網があらわれて、それに沿ってしばらく進む。


文化の年号のある秋葉社

次の標高点の無い台地状の端には、
秋葉社の石祠が祀られている。
文化の年号のある古いものだ。

ここで鹿除け金網の中に入るか進路選択に迷うところだが、
入ることなく右寄りに金網に沿って進むのが正解だ。

斜面を軽快に下るのだが調子に乗ってはいけない。
327m峰への左折点に注意していなければならないのだから。


327m峰付近

327m峰へ向けて左方向に折れるとすぐにモミの大木がある。
ここからはほぼ平坦な道を、尾根末端の寺鐘集落に向けて
緩やかに下るだけ。

背後からだんだんと猟犬の声が迫ってくる。
鹿ではなく、間違ってボクを追っているのではと心配になってくる。

そして、ついに「ワン!、ワン!、ワン!」だ。
でも、見るからに可愛いビーグル犬で拍子抜け。


猟犬 ビーグル号のカワイイお尻

首には小型のアンテナが取り付けられている。
電波発信機かGPSなのだろうか?
最近の狩猟事情は近代化しているようだ。

それにしても、こんな愛くるしいワン公で
無事に任務を果たせるのだろうか?

(その後、このワン公が仲間のワン公と協力して
二頭の大きな雌鹿を追い詰めていく姿を目撃しました。
可愛くてもヤル時はヤルようだ。)


住宅地や茶畑が見えれば尾根末端は近い 

寺鐘尾根は右手に煤ヶ谷の集落を見ながら
緩やかに下降を続ける。

途中、CATVのアンテナ施設や100mほどの笹ヤブ地帯もあるが
直進するのみ。 下るにつれ踏み跡も明瞭になり迷うことはない。

鐘ヶ岳山麓の清水ヶ丘住宅や
足下の茶畑、小鮎川の流れが見えてくれば尾根末端は近い。


寺鐘尾根(仮称)末端

尾根末端には鹿除け柵が設置されていますが、
黄色テープに従えば、それをくぐり畑に出ることが出来ます。

茶畑とお稲荷様(?)の祠に挟まれた農道をわずかに歩けば、
小鮎川を寺鐘橋で渡りバス道に出ます。

寺鐘尾根からは採石場と瀕死の高取山の姿をもっと見ることが出来ると思っていましたが、
入り組んだ地形と成長した植林によってほとんど望むことは出来ませんでした。
採石場はまるで隠されているかのような地形の中にあります。
厚木市民の中でも、その存在と、今問題となっている拡大構想を知っている方がどれほどいるか疑問です。

貴重な尾根がこれ以上削られ採石場が拡大されたとしても、いつか資源は取り尽し枯渇するはず、
はて、その時削り尽くされた跡地はどうなるのでしょうか?
住宅地でも造成して、ひと儲けするのでしょうか?
それとも残土処分場や産業廃棄物処分場に姿を変えるのでしょうか?

もう二度と雪の西山を歩ける機会は無いのではと心配しながらの山歩きでした。

 

 ●尾根名称について、華厳山南尾根とするか、煤ヶ谷尾根とするか、
  それともコージコーナー尾根、採石場ウンザリ尾根とするか迷いましたが、
  とりあえず便宜上【<仮称>寺鐘尾根】としました。

 ●464m峰付近は煤ヶ谷高取山と呼ばれているようです。
  そうすると、宮ヶ瀬、煤ヶ谷、荻野と三つの高取山が近接していることになります。
  「高取」の「高」は、やっぱり「鷹」のことでしょうか。
  昔は今以上に自然が豊かだったのでしょうね。

 ●バス道から寺鐘尾根を見上げるとガケ崩れ発生箇所のように見えるところがありますが、
  どうやら人為的な伐木のようです。

 

 ●「変更できない考えは、悪い考えである。」 (ルソー)

 

(2005.03.05)

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