北高尾の峠 / 板当峠・狐塚峠・関場峠

 北高尾山稜は、とてもお薦めできるコースではない。
首都圏中央連絡自動車道の破壊的工事、いやらしいアップダウンのコース、
貧相な林相、近所の裏山にいるような雰囲気などなど。
登山者が少ないのはいいのだが、少ないことに素直に頷けるコースなのだ。


板当峠

高尾からのバスで蛇滝口に降り立った。
圏央道路の狂気的破壊工事で辺りは一変している。
古い地図はいけないと知っていながらも、
わずかな金を惜しんで使用し続けていると、
突然の登山道の変貌に驚かされる。

工事のせいで非計画的な迂回路を、
非人間工学的見地で設計されたと思われる
急傾斜の階段をまじえて歩かされて体力の消耗甚だしい。

高尾山の下を抜けるトンネル工事は
ストップしていると思っていたのだが、
周辺は既成事実よろしく着々と破壊が進められているのだ。

やっとの思いで辿り着いた杉沢ノ頭で
早くもビールを飲んでしまう始末だ。


狐塚峠

スタートの工事現場で興醒めしてしまった今回の
山歩きは一向にボルテージは上がらず、
どう景色を眺めてもそそるものはなく、
ご近所の裏山を歩いている感じがしてならない。

スギ・ヒノキの植生のせいもあるが、
平行して走る林道が目に入るのもよろしくない。

三本松山で小休止していると一匹のサルが近寄ってきて、
恨めしそうな視線を投げかけてくるが、
山をこんなにも荒廃させたのは私ではないので勘弁して欲しい。


関場峠

関場峠を過ぎた辺りから落葉樹の林が現れ、
なんとか見るに耐える景観となった。
堂所山あたりでは小笹も現れ、やっと標高を感じるに至る。
陣馬山への主稜線に飛び出すと幾人かのハイカーともすれ違い、
正常な気持で山歩きを楽しめる環境がやっと整った。

日暮れ近い陣馬山の山頂に辿り着いたとき人の姿は無く、
場違いの馬のオブジェを独り占めはできたが、
別段うれしくもなく山頂をそそくさと後にした。

北高尾山稜も、そこに点在する峠も、いまひとつであったが、
陣馬山から和田に下る山道は非常に心地好い道であった。

名も無き峠から、
落ち葉フカフカの落葉樹のジグザグを駆け下る。
短い植林帯を抜け、和田の集落に辿り着いた頃には日も沈み、
夕餉の明かりが窓から洩れる静かな佇まい。
蔵を持つ家々は幾世代前からこの生活を続けているのだろうか。

和田で一時間バスを待つ間、陣馬山と和田をつなぐ山道を
またいつの日か歩きたいと思ったと同時に、
もう二度と北高尾山稜は歩かないと心に固く誓った。

【後記】 尾根上の高ドッケという所の、東西どちらからの凹部を大久保峠というらしいが今回は見落してしまった。
     また、関場峠の手前、送電線が越えている所を
旧関場峠というらしい。

● 後日、旧関場峠を探索した時のレポートを見る。