ドカ雪の峠 / 大峠

 

 お手軽登山を楽しもうと、河口湖で20cmの積雪をもたらした春の嵐の翌日、雁ヶ腹摺山へ向かった。
大峠まで車で行けば、標高差300mで1874mの山頂に楽々立つことができるはずだった。


大峠

峠の手前2qの地点で積雪のため車を捨てて歩く羽目となる。

大峠に辿り着いた時点でローカットの靴の中はびしょ濡れ状態。
おまけにお気軽登山ということで穿いてきたGパンは、
じゅわじゅわと濡れが足首から腿へ上がってくる有様だ。
登山口で既に戦意喪失気味だが、
青空であることがせめてもの救いだ。

大峠は黒岳と雁ヶ腹摺山を結ぶ鞍部で真木川と小金沢の分水嶺。
大峠の呼称は真木側のもので、
小菅、七保側では「鏡ガタワ・鏡タル」と呼ばれていたそうだ。
小金沢の谷から仰ぐと空が丸く切り取られて、
鏡の形に見えることによるという。
       (『甲斐の山山』小林経雄著・新ハイキング社 より)

峠の積雪は深いところで膝から腿あたり。
ゲートがガッチリ閉じられ小菅側に越えることはできない。
ダム工事のせいかと思ったら、道が大崩壊しているそうで、
復旧の見込みはナシという事だ。


旧き良き時代の 真木小金沢林道
オフロードバイクで駆け抜けていた・・・・

十数年前にバイクで越えた時は、
全線ダートでワイルドなロングコースとして楽しめた。
特に小菅側の切り立った岩肌と深い谷が印象的であった。

峠脇の登山口近くは深雪に残った足跡が多くあったが、
途中でみんなひき返したらしく、
いつのまにかただ一人の足跡が残るだけになった。

どんな物好きな奴が先を歩いているのかと思ったら、
なんと先を行くのは自転車を担いだ山岳サイクリスト氏であった!
林道の雪の上に車輪の跡があったので、まさかと思ったが・・・。
「山岳サイクリング」とは、かくも過酷なものなのか。

山岳サイクリスト氏に代わって先に出てラッセルをするも、
積雪は腰にまで達する。深いところでは胸まで埋まる。
勾配も加わり雪の中を泳ぐ状態だ。


雁ヶ腹摺山・山頂のパスハンター氏

山頂直下で再び山岳サイクリスト氏にトップを譲り、
登山口からのラッセルに感謝の意を示すことにする。

山岳サイクリスト氏の足跡がなければ、
ルートはまったくわからなかったはずだから
彼には山頂をトップで踏む権利があるだろう。

山頂からは富士の姿が美しい。
懐かしの500円札裏の富士はここからの眺めだということだ。
山サイ氏と、しばし語らいつつ、
MTBよりパスハン仕様のランドナータイプの自転車が
欲しくなってしまった。

山サイ氏は姥子山方面に颯爽と下っていった。
こっちはすっかりびしょ濡れになり重たくなったGパン姿で、
靴をグチャグチャいわせながら、
深雪の山道を跳ねるようにして峠へとひき返した。