大山ひがし山麓の峠

山ノ神峠・唐沢峠・雷峠(日向越)・天神峠・七曲峠

最近良いこともないので、山神様にお参りして運気向上の願掛けでもしようと、
大山の東側山麓に点在する峠を周遊してきました。

 *


山ノ神峠

伊勢原市街のホカ弁屋で買ったのり弁当を
広沢寺温泉の駐車場で食べて歩き出す。
またもやお昼過ぎの出発となってしまった。

愛宕社前の道祖神の見送りを背に受け、
山神トンネルへ続く林道を進む。
ゲート近くに「七沢名水」なるものが流れ出ているが、
あまりおいしくはなかった。

トンネル脇の岩肌の剥き出した急な山道を登れば、
雑木に囲まれた山ノ神峠に辿り着く。
右に曲がれば鐘ヶ岳、
左には大山方面に行けそうなハッキリした踏跡が続く。


山ノ神峠の山神祠と神像

今回は直進して杉の植林の道を下り不動尻に向かう。
この峠道は林業や狩猟に利用されたというが、
今は下にトンネルもあり、訪れるのは鐘ヶ岳へ向かう
ハイカーぐらいだろう。

鐘ヶ岳と大山を結ぶ古道は修験の道であったという。
峠の傍らの山神様に手を合わせる。
何か独特の雰囲気がある峠だ。


心地好い稜線の樹林帯

工事整備中のキャンプ場の横を通り過ぎ、
不動尻からの登りにとりかかる。
杉の植林帯のジグザグの登りだ。
さほどきつくもなく高度を順調に稼ぐ。
上部で作業道が入り混じるが迷うことはないだろう。
杉林で花粉症を誘発したらしく、鼻がムズムズしてくる。

鹿の進入防止柵を跨ぐ橋を渡るが、
鹿も渡れそうな立派なものだ。
杉からヒノキに変り二つ目の防止柵を跨ぐ橋を渡ると、
明るく気持ちよい稜線に飛び出す。
唐沢川の谷を挟んで、長大な大山北尾根が対峙する。


唐沢峠の四阿

稜線を大山方向にちょっと下ると唐沢峠。
リョウブ・エゴノキ・アブラチャン・モミに囲まれた
稜線上の明るい峠だ。
唐沢川に下る道もあるようだ。
対面の美しい山並みを楽しみながら四阿でお茶休み。

ここから大山に向かう尾根道は、
両側が切れ落ちているので要注意だが、
東方の展望はすこぶる良好だ。

鹿の気配を濃厚に感じる笹道を過ぎると、
大山山頂への分岐が現れるが、
今回は峠巡りが目的なので雷ノ峰を下る。

途中にある見晴台のベンチで、のんびりとし、
阿夫利神社下社への道を見送って、
関東ふれあいの道を日向薬師へ向けて下降する。


雷ノ峰 (この先が雷峠)

左写真の標識には九十九曲とあるが、ここで曲がらず、
すこし先を行くと、お地蔵様が待っている雷峠だ。
追分地蔵と呼ばれている等身大のお地蔵様がやさしく微笑む。

雷峠の名称は鉄道省の古い山岳案内書にあったものだが、
この名前はあまり定着していないようだ。
『丹沢・大山絵図』(村松昭著)や他の古地図によると、
「日向越」の名がみられる。

運気向上を願ってお地蔵様にも手を合わせておこう。


雷峠 (等身大のお地蔵様が待っている)

雷峠から九十九曲の杉の植林帯を下る。
また花粉症が再発して鼻水が止まらなくなってしまう。

途中、舗装された林道まで五十六曲りだそうだ。
奇特な方が一曲りごとに札をつけているのである。
林道を横断して伊勢原青年の家まで下ると、
本当に九十九曲りぐらいありそうだ。
再び林道に合流して日向薬師へ向けて進む。


天神峠

石雲寺の門前を通り過ぎると、
左手より沢が流入する地点があり、
ここから天神尾根・天神平を経由して、
天神峠に辿り着くことができる。

峠には天神の祠などはなく、
防火用水が設置されているだけの静かな峠だ。

かつて日向集落の人々が
大釜弁財天に参詣するために越えた道だったという。
なら、「弁天峠」にすれば良かったのに・・・。


七曲峠 (奥に山神祠が見える)

日向山には弁天様が祀られる天明八年の石祠がある。
山頂からは厚木方面がよく見渡せる。
しかし同時に、周辺の里山の乱開発を
目の当りにすることにもなる。

七曲峠には山神様と石祠が訪れる人を待っている。
本日の峠巡りの山旅が無事に終わったことに感謝して
手を合わせて北側の広沢寺に向けて植林のジグザグを下る。
確かに七曲り程度で林道に出た。


広沢寺弁天岩上空の飛行機雲

林道脇の大沢川の巨岩に雨乞いの神様である
大釜弁財天が祀られている。
ここでも念のために手を合わせておく。

今日だけで、一体いくつの神様に手を合わせただろうか。
これで運気が向上すればよいがと思いつつ、
夕暮れ迫り冷え冷えした中、上空を見上げると、
飛行機雲がクロスしてバツ印を作っていた。

どうやらこれは、自助努力なしには「人生バツ印」という
山神様の啓示なのかもしれない。

                       ● 山ノ神峠の再訪へ