「高原へいらっしゃい」の峠

切通峠・パラジマ峠・山伏峠・浦安峠・恋路峠

* パパチャリ活用峠行 *

 八ヶ岳高原ホテルを舞台にしたテレビドラマ「高原へいらっしゃい」が視聴率低迷の中終了した。
いまどき、この手のドラマは流行らないのだろうか?

山中湖周辺はプチホテルやペンションで賑わっているが競争も激しいことだろう。
西丹沢の西の果てと境をなす平野村の民宿街は閑散としていた。
以前に「売り民宿」の看板も目にしたこともあるが、テニス民宿の景気は最近どうなのだろうか?

そんな観光地の中にありながら観光客が訪れることなどない峠を訪ねてみた。


切通峠 (吉政峠)

山伏峠のトンネル脇に車を置き、パパチャリで切通峠入口へ移動。
平野からテニス民宿街を抜けることになる。
最近は室内バスケット場を完備している民宿もあり、
テニス合宿客一辺倒から差別化を図っているようだ。

サッカー場と野球場のどん詰まりから山道となる。
木柵があり車両の通行を禁じている。
V字状にえぐられた山道を10分程で峠に辿り着く。

切通峠とは何か強い意志を感じる名前である。
道を切り開いてまでも、向こう側に行きたいという強い意志を感じる。
最近の自分にはそんな強い意志を感じることは
なくなってしまっている・・・


パラジマ峠

道標には浅瀬まで4時間、菰釣山まで3時間40分とある。
尾根道は歩き易く、MTBでも走れそうだが車両は通行禁止である。

俄かに黒い雲が迫って来て、雨が降り出したが、
お気軽峠行なので雨具の持参は無い。
雑木のトンネルの下で、しばしやり過ごすことにする。
雨雲も山に行く手を阻まれると一段低くなっている鞍部を越えるようだ。

雨に濡れた草道でズボンを濡らして高指山を越えればパラジマ峠。
「パラジマ」とはどういう意味なのだろうか?
道志村の今倉山付近にもバラシマ沢というのがあるが・・・


甲相国境尾根

対面に石割山から御正体山へ続く尾根が眺められるが、
乱立する別荘と崩壊地の砂防堰堤で痛々しい姿だ。

バラシマ峠から先はブナ、ミズナラ、カエデ類も多く
紅葉シーズンは期待できそうな尾根道である。

西群馬基幹線なる送電鉄塔を過ぎ、
ザレたコルを鎖で越せば山伏峠も近い。

かつて悪い山伏が村でワルサを繰り返し、
この峠で村人の手によって成敗されたという。
(『道志七里』に詳細が書かれている)


旧山伏トンネル

古道(山道)の山伏峠があるのかと思い、
周辺を探索してみたが見つからなかった。
「天壽神社」の社がひっそりと鎮座しているのみである。

道志側に下る道があったので、そこが峠と思われるが笹が深い。
傍らに腐った東海自然歩道の看板らしきものが打ち捨ててあった。

旧山伏トンネル前には
廃業して久しいと思われる「山中湖高原ホテル」がある。

まさに廃墟といった感じで、ガラスが割られ中も荒されているようだ。
このままでは「心霊スポット」になりかねない状態だ。
TVドラマ「高原へいらっしゃい」の山中湖高原ホテルバージョンが
あっても、とても復活できそうもない。【*1】


道志村の畑にてマネキン首の案山子

車に戻りパパチャリ回収後、「道の駅道志」に向かう。
まだ時間があるので、
道志村の浦安峠と恋路峠(越路峠)を訪れることにする。
「恋路」とはロマンチックな名前だが後世の脚色だろう。

昔の『山と高原地図・丹沢』(昭文社)には、
浦安峠の名は記載されていなかったので、
林道開削後の新しい命名なのだろうか?


パパチャリと城ヶ尾峠入口

三ヶ背室久保林道と越路林道をパパチャリで走り抜けることにする。

「道志ノ森キャンプ場」までは乗車可能であったが、
それ以後は石が多くて断続的に乗れるだけで、
ほとんど押して歩く状態であった。
やはり、ギアやサスの付いたMTBが必要か・・・

鳥ノ胸山の登山口を見送り、
水晶橋を通過すると鎖のゲートが出現する。
車両の乗り入れ禁止の看板があるが、
歩いている限りでは車両ではないのでさらに奥に進む。


浦安峠

キツイ勾配の坂を過ぎると、城ヶ尾峠への入山口がある。
ここからだと20分ぐらいで尾根に出れそうである。

さらに荒れた林道を自転車を押して進むと、
岩肌剥き出しの浦安峠の切り通しに到着する。
「浦安」とは何の意味だろうか?
地名か?「裏のサス(焼畑)」の転化だろうか。


林道越路線

再び鎖のゲートがあり、乗車可能な道を熊除けの笛を吹きながら
下ると横浜市の野外活動センターがある。

この先で左に折れて、「林道越路線」に入る。
この林道にも車止めがあるが、自己責任でパパチャリで進入する。

入ってすぐの所に、「山の神」の標識があり、笹を掻き分けると、
モミの大木の根元に山神様が祀られていた。
清酒が供えられているので、今も村人の信頼を得ているのだろう。

 
越路の山神様

越路林道は結構荒れているが自転車なら問題は無い。
車が通らないので所々落ち葉が深い。
沢を渡り、朽ちかけた東屋を過ぎても峠の位置は判然としない。

いつのまにか下り勾配の舗装路になり麓に出てしまった。
恋路峠には鳥ノ胸山への登路もあるはずだが
見落してしまったようだ。

ロマンチックな名前の恋路峠だが、
かえって見落してよかったのかもしれない。

想像していた姿とは大いに違っていたかもしれないし、
幻滅していたかもしれないのだから。
その姿に失望することが無かっただけでも良しとしよう。

勝手に描いた峠のイメージは、
いつまでも胸の奥に秘めておくことにしよう。
まだ見ぬ恋人のように。

【*1】 なんと!最近、営業を再開したらしい。

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