旧ヤビツ峠
かつて峠付近では、そこを越えゆく人々に、しばしば「ヒダル神」が取り付いたという。 峠付近で急に空腹感に襲われて、進むことも戻ることもできなくなった。 峠を這うようにして、やっとのおもいで通過すると、あれほどまであった空腹感が 嘘のように消えたという。
そんなことが度々あって、以来峠を越す人々は、まず持参した食べ物を、 姿無き峠の亡霊に供えてから通過したという。 いつしかこの峠道は餓鬼道とも呼ばれるようになったという。
現在はヤビツ峠から岳ノ台、二ノ塔へのハイキングコースとして、 休日は家族連れや中高年のハイカーが通り過ぎる適度な山歩き道の一部となっている。 空腹で倒れている人を見ることは無く、岳ノ台山頂では、 豪勢なお弁当をひろげているグループが多い。
【参考文献】 『峠と人生』 直良信夫著 旧ヤビツ峠の記載あり。