消える石仏

 

最近、各地の峠から石仏やお地蔵さんがひそかに姿を消しているようだ。
知らず知らずのうちに何者かに連れ去られているようだ。

みずから歩いてどこかに行ってしまったわけはなく、
信仰心が薄れた昨今とはいえ里人が撤去したとも思えない。
不届き者が何かの目的で拉致しているのではないだろうか?

峠の石仏ではないが、
以前、山梨県富沢町で観光客に人気があった
町のシンボルの六地蔵が
姿を消してしまうという事件がありニュースでも放送された。
(その後、どうなったのだろう?)

有名なお地蔵さんや石仏なら話題にもなるだろうが、
峠道の名も無き石仏が消えたからといって、
取りたてて騒ぎ立てる人は少ないのかもしれない。
まして、ニュースになることは稀だろう。

しかし、峠を愛する人には顔馴染の石仏や大事に思う石仏や、
峠通の間では有名な石仏、愛着ある石仏というものがあるもので、
久しくあっていないと消息が心配されるのである。

例えば、
笹尾根・日原峠の石仏
浅間嶺・人里峠の石仏、
山中湖・内野峠の馬頭観音
山梨県蛾ヶ岳の西肩峠や栂ノ峠の六地蔵、
山梨県小楢山・焼山峠の子授け地蔵群
静岡県・釜石峠の歯痛鎮地蔵
山梨県・大鹿峠の道証地蔵
山梨県・御坂峠の天神様・・・・
などなど枚挙にいとまがない。

有名ではないけれど、あまり他人には知られてはいないけれど、
自分だけのお気に入りの峠の石仏、御贔屓にしているお地蔵様というものが
きっとあることだろう。

峠と石仏は、切っても切れない関係なのだ。

そんな中、穴路峠の石仏が消えてしまったという話を耳にしました。
水口峠の石祠や鶯宿峠の石祠も消えてしまったとか。
どこへ行ってしまったのでしょうか。
足が生えているわけではないので自力でどこかに行ったとは思えない。
夜間に徘徊するという校庭の二宮尊徳像でもあるまいし・・

峠と石仏の組み合わせは、
峠を旅するものにとって心和む風景です。
風景として楽しむだけでなく、
実際に手を合わせ実利的な願いをかけることもあります。
「無事に峠が越せますように」と。

先日、近所のお寺の境内で催されていた骨董市を覗いてみたら
数体の石仏が売られていました。
出所の怪しい石仏に思えてなりません。
いかにも、その辺から持ってきましたというような代物です。

どこぞの峠から
攫われてきたのではと心配です。


どこかの峠から拉致されてきた石仏が
闇のブローカーの手に渡り、
人身売買よろしく石仏売買のブラックマーケットを介して
骨董市に流出しているなんてことはないのでしょうか。

いま、個人宅の庭先に古くて味のある石仏を飾るのが
静かなブームであるといいます。
海外からも需要があるとか。

ちょっと心配です。
峠の石仏が拉致されないかと。
自分で歩いて戻ってくることはできませんからね。