渋沢の峠集落再訪


「峠マニア」にはお馴染みの渋沢の峠集落を再訪しました。

 以前、訪れた時にその場所がはっきりしなかった渋沢峠について、
折りたたみ自転車で峠巡りをされているMFP様より「渋沢峠里山林」という標識を
発見したとのメールを頂き、再訪してみることにしました。

(その標識の「峠」が集落名を表す‘峠’なのか、峠を表す‘峠’なのかはよく判りませんが・・・)


推定・渋沢峠

「渋沢峠」という表記は一部のガイドブックや
秦野市作成のハイキングマップなどに散見されます。
いずれも「峠隧道」の上あたりに、その表記があります。
しかし、現地を訪れても「渋沢峠」という標識はありません。

震生湖と頭高山を結ぶハイキングコースが通じているので
その類の標識はあるのですが、峠の位置を明示するものは見当たりません。

ご紹介頂いた「渋沢峠里山林」という標識は見つけられませんでしたが、
前回訪れた時に渋沢峠と推定した場所(左写真)を、
やはり今回も渋沢峠と推定しました。


トンネルの上付近にある峠配水場

推定・渋沢峠からは丹沢山隗の山並みが一望できます。

さらに頭高山方向に進むと、峠配水場があります。
その前の草叢に、山ノ神の石祠が祀られています。
ここにも乗り越す道があるので、
もしかしたらこの辺りが峠だったのかも知れません。

頭高山に向けて、舗装された農道が伸びていますが、
トンネルから離れてしまいますので探索は取りやめました。
「渋沢峠里山林」の標識は多分この先にあるのかもしれません。


草叢に眠る石祠

実は今回の再訪には、もう一つの目的がありました。
それは、一獲千金を狙った廃坑訪問です。

峠集落には、太平洋戦争前後の昭和10年頃から
数十年間に渡り操業をしていた鉱山跡があるのです。
主に石膏の採掘を中心に操業していたそうですが、
坑道の入口付近にはキラキラ光る鉱物を含んだ石が散乱しています。


写真では判り難いですが、
キラッと光る黄鉄鉱の結晶が
含まれています

素人目には金(Au)ではないかと心躍るのですが、
黄鉄鉱(FeS2)というどこにでもあるような鉱物らしいです。

峠集落の南、市見川沿いを探検気分で進むと、廃坑跡に辿り着きます。
坑道はいくつかあり、教育委員会の案内板も設置されています。
斜坑・水平抗・竪抗があり深さ70mもあったとか。(今は塞がれています)

滑り易いので長靴持参がいいでしょう。
崩れた川岸の粘土層にもキラキラ光る黄鉄鉱の結晶がみられます。
お盆を持って行って、川の水で粘土を流しながら
結晶を見つけてみるのもいいでしょう。
ちょっとしたゴールドラッシュ気分を味わえそうです。

峠鉱山採掘当初は、金(Au)を目当てに採鉱が始まったといいます。
伊豆から専門の抗夫が来ていたとのことです。
もしかしたら、金塊のヒトカケラぐらい落ちているかもしれません。

峠歩きや山歩きの際に、ふと手にしたガレ場の石が
大金に化けるということはないのでしょうか。

山梨県の水晶山の水晶や、鶏冠山の金、奥多摩のマンガン鉱なんかで
一獲千金を夢見る今日この頃です。

<参考文献>  『新版 神奈川県地学ガイド』(奥村清篇・コロナ社)

● 黄鉄鉱(パイライト)

各種の岩石、あらゆる種類の鉱床に含まれる最も分布の広い金属鉱物。
硬度は6〜6.5で金や黄銅鉱よりもはるかに硬い。 比重5.0。
成分はFeS2で純粋なものは46.6%の鉄と53.4%の硫黄よりなるが、
しばしば、Co、Ni、Cu、およびAsを含み、また金銀を含んで金銀鉱として採掘されることがある。
結晶は美しい正六面体や正八面体、五角十二面体。

● 渋沢峠付近には、妙見社やカリガネ(雁金)大権現なるものがあります。
  鉱山師の信仰と関係があったのかもしれません。