『静岡県峠のハイキング』 神村清 静岡新聞社
(本文より)
四方を山に囲まれて暮らしていた昔の人々は、朝な夕な峠に合掌し、
まだ見ぬ峠の向こう側にどんな思いを馳せ、どんな願いを込めて峠路を切り開いたのでしょうか。
旅人は、峠に立って来し方を振り返りながら、行く手に希望を託して旅を続けたことでしょうし、
故あって同じ峠を再び越えることができなかった人もあったに違いありません。
峠は麓の人々にとっても、旅人にとっても一つの別れ道であるとともに、
新しい世界をひらく希望の道でもありました。
昔の哀歓を秘めた峠、文学があり、昔話が語り継がれ、歴史の足跡が残り、里人の暮らしや
祈りの跡がひっそりとしかも実に豊かに息吹を続けていました。
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