地域特集3 / 御坂山塊・芦川流域・天子山塊の峠

〜富士北麓・西麓の峠銀座を訪ねて〜

 見ていて飽きない地形図、見ていて夢膨らむ地形図というものがある。
1/25000地形図「市川大門」(山梨県)も、そんなワクワクする地形図の一枚だ。
地図中央に芦川が流れ、その南北に数多くの峠道を懐いた山脈が走る。
活字となって表記された峠は、北の峰々に4つ、南には6つだが、
地図には記載されていない峠が18ばかりある。 非常に峠密度が高い地域だ。
また、芦川に沿って点在する山峡の集落も自然景観と一体となって美しい調和をなしている。

そんな峠マニア垂涎のエリアとその周辺の峠を巡るべく、
「地域特集3」として富士北麓・西麓エリアの実地見聞をしてみることにした。
しかし、他の地域特集と同様に峠訪問は遅々として進まず、
まだ未知の峠が多いのが残念ではある。

あまりに峠数が多いので、以下の三地域に分けて見てみることにした。 
   1.御坂峠から右左口峠のエリア (便宜上、御坂山塊と呼ぶ)
   2.右左口峠から市川大門 南は精進湖のエリア (便宜上、日南山脈と呼ぶ)  
   3.本栖湖から南は富士川に至るエリア (便宜上、天子山塊と呼ぶ)

 

日南山脈
御坂山塊
  天
  子
  山
  塊

この区分や、山塊名、山脈名を示す設定も正確なものではない点はご了承ください。
御坂山塊主稜や支稜、日南山脈を日向山脈、天子山塊を天森山脈や毛無山地と呼んだり、
「天森」を「天守」と表記したりして、呼称や表記、領域設定も様々あるのが実状です。 
そもそも山地、山塊、山脈の定義も曖昧です。 また、蛾ヶ岳山脈などの言葉もあります。


御坂山塊
御坂峠から西の地域で左右口峠までの峠を拾ってみた。
南は御坂山塊からは外れているが、天神スキー場の天神峠までとした。
                  トビス峠
(イッポチ峠
・奈良原峠)
   
ハト口峠
(鳩口峠)
大峠 ツルキリ峠 鶯宿峠
(藤垈峠
・天神峠)
新倉峠 黒坂峠 古峠
(小峠
・芦川峠)
鳥坂峠 西峠 イリブキ峠 日向坂峠
(ドンベイ峠)
 
        お諏訪峠
(オオソウゲ)
            御坂峠
          鍵掛峠   大石峠   新道峠
(見附峠
・三ヶ尻峠)
すずらん峠
(二階峠)
 
                  淵坂峠
(千坂峠
・口坂峠)
天神峠
(中丸峠
・大沢峠)
 
              鳥坂峠
(鳥居峠)
       
              出口峠 天神峠      
                天神峠      

*『甲斐国誌』『山梨の峠』にある「中津峠」「セッサフライ峠」「芹沢峠」「ツクリ道峠」「金堀峠」は正確な位置不明瞭。


日南山脈 「日南」と書いて「ひなた」と読みます
左右口峠から市川大門に落ち込む山脈の峠と芦川を挟んで南側の蛾ヶ岳・釈迦ヶ岳から派生する尾根に点在する峠を拾った。
山間の集落風景を楽しみつつ峠を巡りたい。
    龍ノ口峠? 桜峠 東峠 弓立峠
(弓建峠・
弓張峠)
小峠 大鳥居峠 大峠 関原峠
(野坂)
七覚峠 柏尾坂峠
(迦葉坂)
左右口峠
        岩谷峠 湯峠?              
  帯那峠
(高田坂)
  四尾連峠 西肩峠   折門峠 栂ノ峠
地蔵峠
アンバ峠 八坂峠   ヌケド峠 女坂峠
(阿難坂)
    藤田峠     山神峠         三ッ沢峠 精進峠
(三ッ沢峠)
 
割石峠   掘切峠                 根子峠  
                      反木峠 笈ノ峠
(狼峠)
宇野尾峠
(烏能峠)
  蛭坂峠
(ひっさか峠)
    美咲佐和
の神峠
        中之倉峠    
      照坂峠             青湖峠    
地蔵原峠
(大石峠)
勝坂峠
(神ン坂峠)
蕨平の峠                    
芝山峠 地蔵沢峠
(栗山峠)
杵地蔵峠 浅間峠
(長塩坂)
        長坂峠
  佛峠    
中坂峠 大平峠                 御飯峠    
加羅田峠                        
鳩打峠                        

* ?は正確な位置不詳。湯峠は岩谷峠あるいは栂ノ峠の別名か?


天子山塊
本栖湖から南、毛無山・長者ヶ岳・天子ヶ岳を経て富士川に落ち込む山塊に点在する峠を拾った。
このエリアは一部を除いて山が深く、スズタケの猛攻を受ける。特に雪見岳から長者ヶ岳間は事前の予習が肝要だ。
まぁ、下部温泉につかりながらゆっくりと巡るべし。
          端足峠  
            割石峠
        中山峠    
          第二地蔵峠
(新地蔵峠)
 
          地蔵峠
(金山峠)
 
             
    大垈峠     猪之頭峠
(下部峠・湯ノ奥峠)
 
引核峠            
          湧水峠
(ヒトクチ峠)
 
和田峠     三石峠   富士見峠  
             
    大島峠
(佐野峠
・天神峠)
       
             
    佐野峠
(杉ノ木峠
・天杉峠)
  西沢峠
(官垈峠)
  大助峠
石神峠            
  藤切場     石神峠   布沢峠
    八木沢峠        
            桜峠  柚野峠
             
        葛屋峠
(十島峠)
  大間峠

* 「湯ノ沢峠」「大崩峠」「椿峠」の正確な位置不明の為除外。(場所の予想はできているが)


《注意》 ・上記、峠の位置はアバウトです。  ・(  )は別名です。 ・市町村表記は合併以後のものに対応していません。

【峠レポート一覧】

御坂山塊エリア
ナンジャモンジャのある峠 鳥坂峠(上芦川峠・天神峠)、古峠(小峠・芦沢峠)、黒坂峠(中芦川峠)
新倉峠、鶯宿峠(天神峠・藤垈峠)、日向坂峠(どんべえ峠)、お諏訪峠
釣瓶落としの峠 御坂峠、すずらん峠、新道峠(見附峠)、大石峠
風格ある峠 天神峠、淵坂峠、天神峠
湖と湖をつなぐ峠 天神峠、出口峠?、鳥坂峠(鳥居峠)
「カギカケ」の峠 鍵掛峠
未解明の峠 淵坂峠、大石峠、芦沢峠、ツクリ道峠、金堀峠、セッサフライ峠、中津峠
富士周辺の謎多き峠たち 出口峠
日南山脈エリア
蜘蛛の巣だらけの峠道
−芦川北稜尾根の峠を拾う−
迦葉坂峠(柏尾坂峠)、七覚峠?、関原峠(野坂)、大峠、大鳥居峠
小峠、弓建峠、東峠?、桜峠
石龕が見守る峠 帯那峠、藤田峠、掘切峠、割石峠、宇野尾峠
道祖神の微笑む峠 照坂峠、瀬戸坂(峠?)、美咲佐和の神峠?、蛭坂峠
甲斐常葉駅周辺の小さな峠
−地図から消えた峠と
     地図と異なる峠−
鳩打峠、加羅田峠、大平峠、中坂峠、芝山峠、地蔵沢峠(栗山峠)
勝坂峠、蕨平の峠
遭難してしまった峠行 三ッ沢峠、ヌケド峠、八坂峠、アンバ峠、岩谷峠、四尾連峠、西肩峠
折門峠、栂ノ峠(地蔵峠)
リベンジの峠 新八坂峠、八坂峠、アンバ峠、地形図の地蔵峠、栂ノ峠(地蔵峠)
学童も越えた峠 山神峠、折門峠、栂ノ峠(地蔵峠)
梅雨の中休みの峠 女坂峠(阿難坂)、精進峠(三ッ沢峠)、根子峠
本栖湖西岸の峠 反木峠、中之倉峠、青湖峠?、佛峠、御飯峠、笈ノ峠(狼峠)
トリノに行って来ました! ヌケド峠
蕾ふくらむ峠 桜峠、東峠、弓建峠
イサバ・ニガイの越えた峠@ 女坂峠(阿難坂)
イサバ・ニガイの越えた峠A 右左口峠・迦葉坂(柏尾坂峠)・七覚峠・関原峠
ひっそりと生き延びている峠 浅間峠・御飯峠・佛峠
天子山塊エリア
謎めく峠 謎の割石峠、端足峠、割石峠
天子山塊縦走路の峠 地蔵峠(金山峠)、猪之頭峠(下部峠・湯之奥峠)
湧水峠(ヒトクチ峠?)、富士見峠
手遅れだった峠 十里木峠、柚野峠、桜峠、石神峠(地蔵峠・亀石峠)、葛谷峠(十島峠)

《参考》 上記エリアの峠歩き・山歩きに役立つ参考文献(敬称略)

『甲斐国誌』・『日本山岳案内 3』(鉄道省)・『一日の山・中央線私の山旅』(横山厚夫)・『甲斐の山山』(小林経雄)
『甲斐の山旅・甲州百山』(蜂谷緑、小俣光雄、山村正光)・『中央線の山を歩く』(藤井寿夫)・『富士を見る山歩き』(工藤隆雄)
『続・富士を見る山歩き』『富士を見ながら登る山36』(工藤隆雄)・『富士を見る山』(小林経雄)・『甲斐の山々』(島田武)
『山梨の峠』(小林栄二)、『山梨百名山』(山梨日日新聞社)、『山梨のハイクコース』、『続山梨のハイクコース』(上野厳)
『甲州の峠』、『山梨百名山』、『静岡百山』等々。

日南山脈については文献が少ないですが、『山と渓谷』1996.3月号「御坂支稜の山並を歩く」(山村正光)や
『新ハイキング』の522号「鳥坂峠-鶯宿峠-右左口峠を行く」(小倉修)、570号「右左口峠から大峠・桜峠を行く」(小倉修)
280号「芦川流域の山」(田口隆二)が役立ちます。 また、『中央線の山を歩く』の御坂山塊西部の各山行記録や
『富士を見る山』の「釈迦ヶ岳から滝戸山」、「滝戸山から大峠」などが参考になります。

天子山塊については、竜ヶ岳、雨ヶ岳、毛無山などの単発レポや長者ヶ岳と天子ヶ岳のセットレポは豊富ですが縦走記録は
少ないのが現状です。富士川左岸の三石山、思親山も単発レポは豊富ですが天子山塊西域の縦走レポは少ないです。
『甲斐の山山』をはじめ、ヤブ山の強い味方である以下の『新ハイキング』が参考になります。
587号「地蔵峠から長者ヶ岳」(松浦理博)、500号「雪見岳-熊森山-長者ヶ岳」(竹内和義)、
589号「端足峠から雨ヶ岳-毛無山」(北村武彦)、553号「毛無山」(廣澤和喜)、552号「竜ヶ岳」(馬場洋彦)
385号「白水山と天子ヶ岳」(小林経雄)、414号「飛行機山と三石山」(小林経雄)
536号「五宗山越え」(竹内和義)、565号「五宗山」(廣澤和喜)、566号「三石山」(松浦理博)など。
また稲子周辺の研究として『上稲子の民俗』(早大第二文学部民俗調査団)があります。
『霜枯れの山』(土屋綱夫)では「三石山からヤブを漕ぎ猪之頭へ」「熊森山〜雪見山」「五老峰〜毛無山」「三石山」の記録あり。
『静岡市周辺の山々』の著者、馬場直之氏のHPでは天子山塊縦走の記録を公開している。
『岳人』でも地域特集として天子山塊の記述がありましたが内容は薄かったです。(号数忘れ)

◎『あしなか』(山村民俗の会)の第13号で天子山塊の地誌、民俗の詳しい採集記録があります。
 かなり詳しく山の名前、沢の名前について書かれています。
 その中に複数の未知の峠が見出されました。
  「入山峠」・・・大助峠のことか?
  「佐野越シ場」・・・湧水峠のことか?
  「大垈峠」
  「杵地蔵峠」
  「長塩坂」・・・浅間峠(地蔵峠)のことか?
  「佐野峠」・・・湯ノ沢峠のことか?
  「ヒトクチ峠」・・・湧水峠のことか?