懐さびしい峠行
築坂峠・通り天神?・トズラ峠(葛籠峠・天神峠)・桜沢峠
| 通勤、通学途中や朝礼の時に、貧血で倒れる人にはある種の憧れ(?)を感じますが、 近頃の僕は貧血ならぬ金欠で倒れそうだ。 懐具合がさびしいとはいえ、峠歩きの欲求は抑えることができず、 |
|
|
駅の改札を出て、ローカル色濃厚な商店街へ。 時すでにお昼時。 腹ごしらえをしようと思い、数ある食堂をのぞいてみる。 どこの食堂も店先のサンプル食品が日に焼けていたり、 さりとて、今の僕の懐具合を勘案すると、 |
|
桂川を高月橋で渡り、公営の岩殿山観光駐車場を見送れば、 コンクリート階段地獄が待ち構えている登山口だ。 桜の蕾は固いし、平日だし、観光客は皆無だ。 飛び降りれば確実に死ねそうだが、 |
|
観光地の峠なので、築坂峠に期待はしていなかったが、 いざ訪れてみると意外にも感じの良い峠だ。 大月と畑倉を結ぶ峠道も健在で尾根を越えている。 南面の道に「高月橋まで25分」の標識があった。 築坂は昔、岩殿城の大手門があった跡で、 |
|
築坂峠から先はスリリングな尾根道を進むことになる。 高所恐怖症の人は避けられたし!! 鎧岩から兜岩へと進む。 難所通過のご褒美は絶景なり。 猿橋方向に視線を移すと、 |
|
山を削って宅地造成された空母「パストラルびゅう桂台」だ! なんとも痛々しい姿だ。 大月辺りまでは東京都心への通勤圏内なのだろうか。 毎朝、艦載戦闘機よろしくサラリーマン兵士が中央線に搭乗して 夢のマイホームを手に入れても、いささか遠距離通勤が過ぎる。 |
|
難所を通過してさらに西へ進むと、 浅利天神が祀られる天神山に至る。 西に望む梅久保山(花咲山)の姿が、 天神山山頂のコンクリ製の堅牢な祠の中に この天神様のあたりに、もうひとつの山越えの道である |
|
【通り天神】について文献によると、 「現在は中央自動車道が通って地形が全く変わってしまって、 と記されている。 (『あしなか245号・山に祀られた天神』杉崎満寿雄著より) |
|
天神山から先は送電鉄塔を辿る尾根道となる。 コナラ林や赤松林の中を進む。 斜面に設置されたプラスチック製の階段は ヤブもなく歩き易く、そのうえ鉄塔部分では眺望も良いとなると、 4号鉄塔のある見晴らしの良い向山(白岩)で昼食休憩をする。 |
|
雪の残る北斜面で二度ほどコケながらも下ると、 林道が越えるトズラ峠となる。 「トズラ」なのか「ツヅラ」なのか、 「九十九折り」の峠道から「ツヅラ」峠になったのかと思いきや、 |
|
「ツヅラ」は「葛籠」からきているようだ。 昔、鬼窪山に住んでいた鬼を浅利式部太郎義知が退治した。 |
|
トズラ峠は、西奥山遅能戸(オソノト)と東奥山日影を結ぶ。 遅能戸からの昔の峠道も残るが、 林道奥山線が開通してからは金山を起点にして、 日影とを結ぶ道筋が本道になりつつある。 ちなみに遅能戸(オソノト)という地名は「鬼の首」をあらわす 峠そのものは林道で切り崩されてしまっているが、 |
|
林道から北側斜面を上がったところに、 馬頭観音らしき石仏も安置されている。 文字は風化して読めないが トズラ峠は天神峠とも呼ばれるので、 失礼だがあまりいい作りの石像ではない。 |
|
トズラ峠からは尾根を忠実に辿り、 高ノ丸を経由して桜沢峠に至るのが常道と思われる。 しかし、1/25000地形図の破線道が気になって 左巻き水平歩道に挑戦してみることにした。 出だしは植林地の中の明瞭な道形で、なんら心配なかったが ヤブも少々あり、ダウンジャケットに穴が開かないかと心配になる。 三角点734m峰を巻き終え、北斜面に出ると |
|
ハイキング用のローカットの靴は雪の侵入を防げない。 というよりも長年愛用している為、底に穴が開いているので 靴下は難なく濡れてしまう。 お金があれば買い換えたいところだ。 自転車のパンク修理用の接着剤で穴を塞いではあるが、 効果はまるでないようだ。 破線道は後半、獣道のようになりもするが、 桜沢峠はモミ混じりの雑木尾根上にあり、 古い鉄道省のガイドブックや山村正光氏の著作物を見ると、 |
|
峠を金山集落へ向けて下ることにする。 植林地の中を走るように下ると、 わずかな距離で奥山林道に飛び出した。 入口には「セイメンバン登山口」の看板がある。 遅能戸のバス停に辿り着き時刻表を見ると とぼとぼと車道を歩いていると、 |
|
西奥山の浄照寺の脇に石の道しるべ(左写真)があり、 小高い丘の上に山道が続いていた。 たまたま山仕事を終えて下ってきた地元の方にお伺いすると、 「これは橋倉峠へ行く道ですか」と聞くと、 大月までは下り勾配で歩みも軽やかになる。 |
| 大月駅到着は思いのほか早かったが、高尾行きの列車の待ち時間は30分。 駅構内の立ち喰いソバのいい匂いは、クリームパン1個のお腹には少々酷というもの。 しかし、貧しい僕は我慢するのみ。 電車を待つ寒いホームの掲示板に、 「特賞入選・賞金20万円・・・」の文字が目に留まった。 |
|
*
| 【備考】 ●鉄道省の『日本山岳案内』や山村正光氏の著作物の中では桜沢峠を葛籠峠としている。
●トズラ峠は、天保7年の郡内騒動と呼ばれた大規模な農民一揆の際に、 (峠行2005.02.21) |