ヤビツ峠


GWで賑わうヤビツ峠

少し昔のヤビツ峠を知っている人なら、今のヤビツ峠の変わりようには驚いてしまう。
神奈川県の中でも有名な峠の一つであるヤビツ峠は、行楽期の休日ともなれば渋滞が発生する。
バス便も増発されて、ちょっとした観光地並みだ。

GWに訪れてみたら、写真の有様で駐車場に溢れた車、ツーリングバイク、自転車、
バスに乗り遅れたのかタクシーで乗り付ける登山者、柄の悪い走り屋など、雑多混乱の状態であった。

いまや戦乱の昔に甲斐武田と小田原北条の戦がこの付近でも展開されたという面影はまるでない。
ヤビツ峠は漢字では「矢櫃峠」と書くらしい。
かつて林道開削時に戦乱に用いられた矢櫃が発見されたことによるという。

勝手に想像すると、その矢櫃は戦いの時に運び上げられたという代物ではなく、
山地に住む人々が、麓の米や塩を得るために、山の産物として作り上げた弓矢を櫃に納めて、
峠で無人交易をした名残物ではないだろうかと思ったりもする。

弓矢は交換産物であり、材木や薪炭などと同じく、山に住む人々の貴重な収入源で
あったのではなかろうか。
血生臭い戦乱の地と思うより、のんびりした峠を挟んだ交易があった地と思うこと
にしてもいいだろう。

「ヤビツ(矢櫃、谷櫃)」は地形語で、峠道あるいは沢の両側に崖が切り立ち、その間が凹地をなす地形。
「ウト・ウトウ」の地形に近い言葉ともいわれている。