感動、残っていたカワイイ峠 / 横根峠 (横峰峠)

 横根峠は『奥多摩』(宮内敏雄著・百水社)の中で初めて知った峠です。
現在の地形図には、その道が記載されていないので既に消滅してしまった峠なのではと
危惧していましたが、現地に赴くとひっそりとその姿をとどめていました。

馬頭観音もあり、感動すら覚える杉植林地の中のカワイイ峠です。
『日本山岳案内』(鉄道省・博文館)など、古い登山ガイドブックを紐解けば紹介されていることもあり、
当時はハイカーなどにも歩かれる道筋だったようです。

峠は星竹と本須を結んでいますが、
星竹側は星竹林道が開削されており、集落に下る路跡は不明でありました。

『五日市の古道と地名』(並木米一著・五日市教育委員会)によると、
「星竹の滝坂下り口から荻野に登り、金毘羅尾根の南端を横切る横根峠を越えて本須に下り
怒田畑で養沢道に連絡。古くは戸倉・五日市と養沢を結ぶ主要道」と書かれてます。

山間地で生産された繭玉や薪炭などが、馬の背につけられ峠を越えて、
定期市の開かれた五日市に運ばれたのかもしれません。

尾根を横切ることから「横尾根」が転化して「横根峠」となったようであります。
また別名を横峰峠ともいいます。

前出の『日本山岳案内』によりますと、
「小峰峠と誤り伝えられていた峠である。どうしてこのように誤ったか明らかではないが、
誰かが《ヨコミネ》と呼んだのを聞き違えて《コミネ》となったのではないか」との記述があります。

これを読んで五日市の南にある留原と上川町を結ぶ小峰峠を思い出し、もしかしたら小峰峠も
「ヨコミネ峠」が本来の呼び名であったのではないかと思ったりもしました。

さて、横峰峠訪問ですが二回目となりました。

一回目は星竹林道を歩き金毘羅尾根に至り、
金毘羅尾根の分岐から派生する尾根伝いに峠に辿り着きました。 【*1】

その時、「写ルンです」で撮影した写真は夕暮れの光量不足で、
現像すると真っ暗闇で「写ランです」状態になってしまいました。

あまりに悔しかったので峠表示の標識取り付けを兼ねて再訪を誓い、
二回目は本須の集落から峠道を辿ることにしました。


峠道の途中にある馬頭観音

本須のバス停近くの小沢沿いに峠道の入口があります。 【*2】
峠道は良好な状態で残され、傍らには古い石積みなどもあり、
かつて往来が盛んであったことを感じさせてくれます。
地図から消えてしまったのが惜しいかぎりです。

今や、山仕事をする人や送電線の巡視員しか歩かないらしく、いくつもの蜘蛛の巣が行く手を阻みます。
蜘蛛に謝って棒切れで巣を払いながら進みます。
杉植林帯の中のジグザグがはじまるあたりに、安政?と銘のある馬頭観音が一基あり、
峠へ向かう旅人を迎えてくれます。

ちょっとジメジメして、シャガの群落があるところもありますが、
植林帯の中にしては全体として明るい道です。
杉の樹間から馬頭刈山の大きな山体も望め、時折、心地好い風が流れます。
峠直前の倒木をくぐれば、カワイイ凹状の峠と再会です。


小さい切通し風の峠

峠には馬頭観音と馬頭観世音と刻まれた石板が人待ち顔で峠の訪問者を待っています。
すぐ横の小高い尾根上に送電鉄塔があり、少々目障りであるのが残念。
しかし、この鉄塔がなければ送電線巡視路の役を峠道が担うこともなかったわけで、
ある意味、峠道が草に埋もれることを防ぐ貢献を果たしたといえるのかもしれません。
ちょっと複雑な心境です。


峠名を記した標識を取り付ける

こういう素敵な峠には、標識など不要かもしれませんが認知度を高めるために取り付けてきました。
一年もすれば、ボロボロになる代物なので勘弁して下さい。
峠の反対側の星竹林道は足下に見えています。
わずかな距離なので杉の林の中を下り林道に降り立ち、「横根峠入口」の標識を取り付けてきました。


白いビニールヒモがぶらぶら揺れてます

これで、峠への訪問者が増えるでしょうか?
訪問者が増えて峠道がしっかり踏み固められた頃を見計らって目印を撤去して、
峠の観音様にまた静かな眠りの時をお返ししたいと思います。

【*1】 金毘羅尾根分岐には、真新しい公式の指導標が立っていますが、横根峠を指し示す表示はありません。
     踏み跡はしっかりとついています。

【*2】 本須側の入口にも「横根峠入口」という標識を取り付けてきました。
     リンクさせて頂いていますHP『NORIさんの小さな旅』様にも、横根峠のレポがあり大変参考になります。
                    (現HP『散歩路 峠路〜小さな旅を自転車で〜』様)

◆ もっといっぱい写真を撮影したのですが、二回目の訪問も「写ルンです」を使用してしまい、真っ暗写真ばかりでした。
  杉林の暗さ程度で、「写ルンです」は性能限界のようです。

◆ 本須の入口近くに「私有地につき入山禁止 無断で植物を採集したら50万円を貰い受けます」との看板を
  下山後に発見しました。 このての看板はよく見かけますが50万円という金額には驚きとともにビビッテしまいました。
  峠道も私有地だったのでしょか?だから地形図から姿を消してしまったのでしょうか?峠に行く方は自己責任で。