1998.12.25
(ここには原告と被告及び原告代理人住所・氏名・連絡先が記載されている。略した。)
損害賠償請求事件
訴訟物の価額 金1億4525万8962円
貼用印紙額 金55万5600円
請求の趣旨
1、(ここには請求金額の内訳が記載されている。略した。)
2、訴訟費用は被告の負担とする。 との判決ならびに第一項につき仮執行の宜言を求める。
請求の原因
1.当事者等について(甲1.2)
(ここには原告と遭難したAとBおよび被告についての個人情報や原告とAとBとの血縁関係が記載されている。略した。)
二、本件事故発生に至る経過(甲3)
1.被告は神崎川沢登りを計画し平成10年7月○日、そのリーダーとして女性3名、A、Bを引率して沢登りを挙行した。
2.一行は、同日午前11時時30分頃、神崎川発電所から沢登りをはじめ、
徒渉をしたり泳いだりして遡行したが、午後0時すぎ頃、被告の判断、指示により滝のすぐ上の地点の徒渉を開始し、AとBは滝を背にして流れの激しい川の中に立ち女性3名を横断させていたところ、女性がバランス
を崩したためそのあおりを受けて両名とも滝つぼに転落してしまった。
3.神崎川は前日までの降雨により増水し流れも速く、水かさが増していた 滝つぼに転落したAとBは、滝つぼの渦に巻き込まれて滝つぼから脱出できずにまわっているうちに体力を消耗し、ついに力尽きてしまった。この間被告はロープを投げるなど両名を救助する手段を何もとらなかった。
4.その後しばらくして下流に流されたB、Aに対しそれぞれ人工呼吸が試みられたが、効を奏さず、両名とも死亡した。その直接死因は「溺水による窒息死」であった。
3、被告の責任
被告には本件事故につき以下のとおりの過失がある。
1.沢登りも登山である以上危険が予想されるのであるから、リーダーは参加者の経験、技術、体力等を十分に考慮し、特に初心者には十分安全を確保するよう細心の注意を払う必要がある。被告は、この日は初心者ばかり5人も引率するのであるから、沢登り地点の当日の天候のみならず前日までの気象状況も把握して判断すべきであるところ、この日の神崎川は前日までの降雨により増水し流速も増していたので、被告は危険を予測して計画を中止するかコースを変更するなど臨機応変の措置をとって事故発生を未然に回避すベき注意義務があるのにこれを怠り、漫然と沢登りを開始した過失がある。
2.沢登りに徒渉は欠かせないが、徒渉にあたってはまず徒渉地点の選定が重要であり、一般的にはできるだけ楽な徒渉点即ち水流が緩やかで水深が浅く、砂地で川幅の広い場所を選定すべきであり、特に滝のすぐ上を避けるのが常識である。特に初心者にとっては増水した谷や滝のすぐ上の徒渉は危険であるから 一行の徒渉点としては絶対に避けるべき注意義務があるのに被告はこれを怠り、一行の徒渉地点として本件事故現場の滝のすぐ上で流れの激しい地点を選定し、徒渉を指示した過失がある。
3.徒渉は流速が緩やかで膝下位までの水深の場合はあまり問題はないが、増水した川や滝のすぐ上を徒渉する場合は流されたり転落するなどの危険が予測されるので、リーダーは万一の場合を予測して一行全員の十分な安全確保策を構じて徒渉すべきである。被告は本件徒渉地点は滝のすぐ上であるから流されたり転落する場合があることを予測して、ロープを使用して安全を確保するなどの措置を取るべき義務があったのにこれを怠り、安全策を何も取らずにAとBに対して滝を背にして流れの激しい川の中に立たせて女性3名を横断させるよう指示した過失がある。
4.そのため横断中にバランスを崩した女性のあおりを受けてAとBは滝に流され滝つぼに転落してしまった。しかし、この両名に対し被告が直ちにロープを投げるなどの救助策を取れば両名を救命する可能性があったのに、被告はロープを携行していなかったため、ロープを投げることができなかった。被告はリーダーとして一行の安全確保のために最低限ロープを携行する 義務があるのにそれを怠った過失がある。そのため両名の救命の可能性が奪われたのである。
5.何らの救助策もとられないまま、滝つぼの渦に巻きまれてまわっているうち体力を消耗し力尽きたAとBは、その後しばらくして下流に流され引上げられた後、人工呼吸がなされた。ところが、人工呼吸はまず気道を確保したうえでしなければならないのに、被告は気道を確保する措置をとらなかった。リーダとしてこのような人工呼吸の初歩的知識すら身につけていない被告の過失により、両名にたいする人工呼吸は効を奏さず、結局救命の最後の機会も逸してしまった。 以上のように、被告が登山のリーダーとしての初歩的義務を果たさなかったため、両名を死亡するに至らしめたものであり、被告の責任は明らかである。したがって、被告は原告らに対し、民法七○九条に基づき本件事故により生じた損害を賠償する義務がある。
4、損害
(1)逸失利益
(ここには、請求額の内訳が記述されている。略した。)
(2)慰謝料
(ここには、AとBの個人情報が記述されている。略した。)
AもBも心身共に健康で前途洋々の未来に向かって大きく羽ばたきはじめた青年であり、両親にとっては誇りであり自慢の息子であった。したがって、AとBを突然失った原告らの悲しみ、苦しみ、空しさは 筆舌に尽くしがたく、その精神的打撃は計り知れない。本件事故により原告らの受けた苦痛は到底金銭で癒しがたいが、やむなく、慰謝料として原告らは各1OOO万円宛を請求する。
(3)葬儀費用
(ここには、葬儀費用額が記述されている。略した。)
本訴ではA、Bにつきそれぞれ金100万円宛、原告それぞれにつき各50万円宛を請求する。
(4)弁護士費用(甲6.7)
原告らは本訴提起前、平成10年11月17日付18日到達の内容証明郵便で、被告に対し本件事故による損害賠償について請求と協議の申し入 れをしたが、被告から同月30日付12月1日到達の内容証明郵便で拒否する旨回答があったため、やむなく原告訴訟代理人らに本件訴訟の遂行を委任し弁護士会報酬基準規程にしたがって弁護士費用を支払う旨約しており、同規程による着手金、報酬の範囲内である200万円(原告 各自につき50万円宛を本件事故との相当因果関係にある弁護士費用の内金として請求する。
5、結論
(ここには、請求額の内訳が記述され、この根拠として「原告らは不法行為による損筈賠償請求権に基づき」と記されている。)
証拠方法
1.戸籍謄本(甲1、2号証)
2.新聞記事(甲3号証)
3.給与所得の源泉徴収票(甲4、5号証)
4.原告の内容証明郵便(甲6の1、2)
5.被告の内容証明郵便(甲7の1、2)
添付書類
1.甲号各証の写し 各1通
2.訴訟委任状 四通
1998年(平成10年)12月25日
右原告四名訴訟代理人 弁護士 ○○○○、○○○○
地方裁判所 御中
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管理者からの訂正とお詫び
3/15の20:30までのこのページには以下の誤りがありましたので、訂正しました。上記の書面は訂正後のものです。
1.一行追加し、二ケ所訂正しました。訂正箇所は赤字となっています(2002.3.15,20:30)