ポップスエヴリデイ(00年12月)



00/12/25

「ハード・エイト」

ポール・トーマス・アンダーソン、96年のデヴュー作。とにかくバック
音楽のセンスがメチャクチャ良いのに感心しました。本当にイイ曲が
次から次に流れてきてその度に胸が疼いてしまって困りましたよ。
で、早速CDNOWで検索してみたんですが、ヒットしない!まさかサ
ントラ発売されてないんでしょうか。久々に個人的に大ヒットなサント
ラだと思ったのにもう廃盤?だなんて泣けてきます。

映画の方は泣かせるストーリーのフィルムノワールでなかなかナイス。
ただ、出だしの雰囲気からもっと奇妙な味の短編テイストを期待したん
ですが意外と手堅くオーソドックスな展開に若干拍子抜け。

ということで次は「マグノリア」に挑戦する予定。


♪「Area Code 615/ Trip In The Country」 Area Code 615

--------------------------------------------------------
00/12/23

「あんただけ死なない」

森奈津子の新作。今度はなんとハルキ・ホラー文庫で、いよいよメジャー
なフィールドに登場してきましたね。この人も来年こそはブレイクする筈。
今年発売されたあの超傑作短編集「西城秀樹のおかげです」が既に
絶版という信じられないようなこの現状はどう考えたっておかしいですよ。

しかし今作も絶好調。あとがきにある通り「恐怖とエロスと笑い」が融合した
実に変なホラーで、天才的なセンスを感じさせます。メジャーな場で、いつ
も通りの一切妥協がないエロ描写を貫く姿勢には感激。「あとがき」も凄い。
あれは今年度ベストエッセイ賞とか(あるかどうか知りませんが)に輝くべき
一文じゃないか。


♪「Playing Possum」 Carly Simon

---------------------------------------------------------
00/12/20

「なつこ、孤島に囚われ。」

異端の百合族作家・森奈津子を主人公にしたミステリー。西澤保彦という
人の小説読んだのははじめてですが、見事に森奈津子の文体を模写して
いてこれは爆笑。「東京異端者日記」とかホームページでお馴染みのあの
スタイルそのものです。相当キワものっぽいけど、バカバカしいオチも含めて
主人公が森奈津子でなければ成立しない作品を作り上げているのは見事
だと思います。ただ、普通の謎解きのシーンになると途端に退屈になるので
やはり僕は基本的に推理小説苦手なんだなー、と改めて認識してしまいま
した。祥伝社文庫。「無人島」というテーマで4人が競作したシリーズの一冊
のようです。ポップスでもこういうのやればイイのになー。


♪「Portrait Of The Originals」 Originals

------------------------------------------------------

00/12/17

「レコードコレクターズ1月号」

ついにニルヴァーナ特集かあ。今の若い人たちには「ネヴァーマインド」
って古典ロックなんでしょうかねー。っていくらなんでもそんなハズは
ないと思いますが。でも「ネヴァーマインド」とマシュー・スウィートの
「ガールフレンド」ってどちらもリアルタイムで聞いて好きになれなかった
アルバムで、しかもその後ロック史上記念碑的アルバムみたいに扱われて
いるということで、ある意味僕にとっては気になるアルバムなんですよ、
どちらも持ってないんですけど。そういうわけで高橋健太郎の記事をとても
興味深く読みました。この人の分析は本当に鋭いなあ。

あと、広告欄に出てる江戸裁判所というライブハウスの広告。最初、なんて
ダサい名前なんだろうと思って読み飛ばしてたんですが、ふと、それが
エド・サリヴァン・ショーのもじりだと気付いて爆笑してしまいました。
広告欄といえば、今月ジルベルト・ジルがまとめてドカッと出るみたいで
ウレシイです。これで未聴アルバム揃えられそう。


♪「Satisfacao」 Gilbert Gil

--------------------------------------------------------
00/12/16

「邪願霊」

アイドルのプロモーションを取材したドキュメンタリー、というつくりの
ホラー作品。45分という時間が効を奏してか、ワンアイデアを上手く
生かした引き締まったドラマに仕上がっていて、コレは意外な堀り出し
ものでした。88年ごろの作品ですが竹中直人が若い。作曲者不明の
謎の曲というのが物語のキーになっているんですが、しかし同じ曲で
もアレンジ一つで全然違う曲になってしまう、という例の典型のような
アレンジが印象に残りました。つまらないと思ってる曲もピアノ弾き語
りで歌われたらスゴイ名曲だったりするんでしょうねえ。それを思うと
ピアノを弾ける人って羨ましいな。


♪「Deserter's Songs」 Mercury Rev

--------------------------------------------------------
00/12/15

「千年紀末古事記伝説 ONOGORO」

「邪馬台国はどこですか」で衝撃的にデビューした鯨統一郎の、
「とんち探偵一休さん」に続く新作。今回はなんと「古事記」の
ノヴェライズに挑戦。イザナギ、イザナミから始まる日本の神々
の物語を冒険あり、ポルノあり、密室推理(!)ありのスリリングな
エンタテインメントに仕上げています。この人一体何者なんだ〜!
僕にとって今、次の作品が死ぬほど待ち遠しい作家のひとりです。


♪「あしたの黄色をつかみたい」 水谷麻里

--------------------------------------------------------
00/12/14

「スリー・キングス」

デイビッド・O・ラッセルという監督は、これまで知りませんでしたが
これはなかなか面白い戦争映画。金塊探しというB級戦争アクション
映画風のプロットをメインにしながらも、シリアスかつシニカルな政治
意識を感じさせるセリフやスタイリッシュな映像ギャグを頻繁に織り交
ぜて,これまでになかったような戦争映画を作り上げています。「プラ
イベート・ライアン」以後を感じさせるリアルな戦闘描写もうまく物語
に溶け込んでいますね。この作品をきっかけに面白い戦争映画が
これからたくさん出てくるといいなあ。


♪「Pick-up」 Brian Protheroe

--------------------------------------------------------
00/12/12

「敵」

筒井康隆の断筆解除以降の作品ってまだ読んだことがなかったん
です。妙な風に作風が変質してたらイヤだなと思って。でもこの「敵」
を読むと筒井康隆は相変わらず面白くて安心しました。
こんなに面白い老人文学って初めてだ!と最初は思ったんですが、
よく考えてみるとこの小説は老人文学の面白さ、楽しみ方のエッセン
スが詰まってるんですよね。だんだんボケていく感じとかかなりスリ
リング。これまで何となく避けてきた老人文学にもちょっと興味が沸い
てきて、とりあえず谷崎潤一郎あたりから入ってみようかななんて思っ
てみたりしています。まあ、多分読まないでしょうけどね(笑)。


♪「Invictus Dance Classics」 V.A.

--------------------------------------------------------
00/12/10

「科学の終焉」

科学ジャーナリストのジョン・ホーガン著。徳間文庫。世界12ヶ国語に
翻訳された大ベストセラーらしいのでみなさんとっくに読んでるかも
知れませんが、これは確かにメチャクチャ衝撃的な内容ですね。科学
の各分野を代表する科学者たちへの取材を通して(物凄くたくさんの
科学者が登場)現代の科学が陥っている袋小路を浮き彫りにしている
のですが、それが「科学はすでに発見すべき偉大なテーマを発見し
つくしてしまっていて、現代の文学や音楽等の芸術の世界と同じように
新しいものを生み出すというよりは、その手法についての自己反省を
繰り返し、その手法の洗練を追求する段階に来てしまっている」と言う
のだから驚きです。

ポップスの世界で、キャッチーなメロディというのは既に出尽くした、
というのはここ20年くらい言われつづけていることですが。科学的
発見が出尽くしたというのとはショックの度合いがかなり違いますよね
やっぱり。本文にも書かれていますが、鉄腕アトムやスターウォーズ
みたいな未来世界にはまだ人類は到達してないじゃないかと思われる
方も多いと思います。しかしこの本読んでると「科学と言うのは永遠に
進歩していくものである」という幻想が打ち砕かれてしまうこと請け合い。
人生観が変わってしまうかも。

それに読みやすい文章で物理学から宇宙論、進化論生物学から複雑
系まで様々な分野の最先端の成果が分かりやすく解説されているので
読み終わったあと、なんだか凄く教養が身に付いたような気分を味わえ
るし(笑)。これは一読の価値がある本だと思います。


♪「Relayer」 Yes

--------------------------------------------------------
00/12/07

「ラスベガスをやっつけろ」

テリー・ギリアム。ジョニー・デップ扮するジャーナリストが謎の弁護士と
二人連れで「ミント400」とかいうレースの取材に行くという話(ハンター・
S・トンプソンの小説が原作!) 。なのですが、二人は最初から最後まで
取材そっちのけであらゆるドラッグでトビ続けて暴れているだけという(笑)。
でも延々と続く幻覚映像はかなり爆笑モノで、意外と退屈しませんでした。
いや、と言うよりかなり好きですこの映画。ドラッギーなラリラリ映像に合わ
せて流れるジェファーソン・エアプレーンは最高にハマりますね。あと、ジミ・
ヘンドリックスのギターサウンドってやはりサイケの時代の音なんだなーと
改めて感じました。


♪「Listen Without Prejudice Vol.1」 George Michael

--------------------------------------------------------
00/12/04

「ゴースト・ドッグ」

ジム・ジャームッシュ。これは最高!フィルム・ノワール風の張り詰めた
ストイックさとオフビートな笑いが奇跡的に同居した傑作。「葉隠」に心酔
する黒人の殺し屋の話、ということでハズしたら結構辛そうだなあと思って
たんですが、ディティールに凝りつつ最初から最後までまったく芯がぶれ
ない見事なストーリーテリングに感激。音楽担当がウー・タン・クランの
RZAというのもハマりすぎです。最後の方で出てくる「殺しの烙印」ネタに
ニヤリとさせられましたが、他にも映画マニアをくすぐるネタがいっぱい
転がってるんだろうなあ。


♪「相棒」 藤本卓也

--------------------------------------------------------
00/12/02

「セレブリティ」

ウディ・アレン。しかし毎回同じような話、というか同じ話をいろんなヴァリエ
ーションで見せてくれますねえ。感服します。本当は「ブロードウェイと銃弾」
みたいな奇妙な短編テイストの作品をもっと作って欲しいんですけどね。
でもケネス・ブラナーに完璧にアレンを演じさせるというアイデアは悪趣味
だけどかなり秀逸。

あと、この映画のディカプリオはメチャクチャ良いですね。主役でもないの
にメインにフィーチャーされてるヴィデオのパッケージはなんとなくあざとい
感じがしましたが見終わった後は意外に納得してしまったりして。


♪「After The Lovin'」 Engelbert Humperdinck

--------------------------------------------------------
00/12/01

「クッキーズ・フォーチュン」

「プレイヤー」「ショートカッツ」「プレタポルテ」あたりは見てたんですけど
ちょっと最近はご無沙汰してたたロバート・アルトマン。。結構大きな風呂
敷きを広げてた感じの上記3作に比べると今回の作品は小じんまりした
印象でストーリーもいたってシンプル。おかげでこれまでのように必死で
ストーリーを追いかけるような感じじゃなくすごくリラックスして楽しめました。

前半のゆったりとした展開は地味なファミリー・ドラマみたいなんですが、
クッキーおばさんが突然自殺をしてから急に話しが転がりはじめて後は
最後まで一気に突っ走っていく感じ。複雑な血縁関係が次第に明らかに
なっていく展開は昔の大映ドラマみたいでもあります。しかしこのブラック
な結末には参りました。最後に悪が滅びるという勧善懲悪のストーリーな
がら非常に後味悪いです。

「すべてをあなたに」に出ていたリヴ・タイラーが出ていてどうやらこの人が
主役っぽかったんですが、あの役ってほとんどストーリーの展開に関係な
いような気もしたなあ。

♪「Night Passege」 Weather Report


--------------------------------------------------------


以前のポップスエヴリデイを見る


HOME